「20代で転職していいのか不安……」
「企業は20代での転職をどう評価している?」
このように20代ならではの転職の悩みがありますよね。
20代の転職者は大きな実績や経験がなくても、仕事に対する「やる気」や「ポテンシャル」が評価されやすい傾向にあります。
そのため同業種への転職はもちろん、未経験の業種への転職も十分可能なのです。
ただし20代前半・後半で、企業から求められるものは大きく違います。
転職活動をはじめる前に、20代前半と後半の転職事情について理解しておきましょう。
また自分のやりたいことや適性、将来のことを考えずに転職してしまうと転職後のアンマッチの原因にもなりえます。
20代での転職がその後の早期退職・転職を繰り返すきっかけになってしまうのは絶対に避けたいですよね。
そこでこの記事では、「20代で転職成功するためのポイント」や「20代前半後半の転職事情」、「20代で転職するリスク」について解説します。
20代で転職する際に知っておきたいポイントをまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
転職するということ自体、悪いことではありません。むしろ経験値が上がるという意味では、プラスになることもあります。ただ、応募する側も採用する側も慎重になる点ではありますね。そのために、転職の目的を明確にしましょう。あなたがなぜ転職したいのか、次の会社の何を求めるのか、そして入社したらどんなメリットをもたらせるのかを明確にし、それらを伝えることで、企業は安心すると思います。
目次
20代で転職成功するためのポイント4つ
20代ではじめての転職の場合、「転職活動は何からはじめればいいかわからない」という方も多いです。
そこでこの章では効率よく転職活動をすすめるために、転職成功のポイントを4つ紹介していきます。
1. 退職理由を明確にする
今の仕事で転職を考えたとき、まずは退職理由を明確にします。
自分がなぜ退職したいのか、その理由が何かわかれば、「働きたい会社の条件」もわかるので、求人探しの軸にしましょう。
20代の退職理由の例
退職理由 | 働きたい会社の条件 |
---|---|
人間関係の悩み ・上司からの指導に不満 ・先輩や同僚・後輩とうまくいかない |
・年功序列ではない ・若手が生き生きと働いている ・離職率が低い |
給与や福利厚生に不満 ・手取りが低い ・残業や土日出勤が多い ・住宅手当や通勤手当に不満 |
・平均年収が自分の希望以上 ・昇給がある ・年次有給休暇が取得しやすい ・各種手当がある |
キャリアアップが見込めない ・なかなか昇進しない ・より専門的な仕事がやりたい |
・社内評価の基準が明確 ・資格取得制度が整っている |
参考)厚生労働省
また退職理由を言語化すると「本当に転職しなくては解決しない問題なのか」客観視できるメリットがあります。
たとえば「上司からの指導の不満」は若手社員によくある退職理由でもあります。
ですがもう少し経験を積めば指導をうけなくても業務をこなせ、仕事の楽しさがわかってくるかもしれません。
仕事の楽しさを感じられれば、上司の存在や人間関係のストレスもいつのまにか気にならくなる可能性もあります。
このように、自分の中で退職理由を言語化し「働きたい会社の条件」「本当に転職すべきか」を明確にすることが重要です。
2. 十分な自己分析と情報収集で企業とのアンマッチを防ぐ
じつはエン・ジャパン株式会社の調査によると、「転職者の4人に1人は、転職前に聞いていた情報と転職後の実態にギャップがあった」と感じていることがわかりました。
参考)エン・ジャパン株式会社
もちろんよい意味でのギャップもありますが、ほとんどは「風土・社風が悪かった」「教育制度が整っていない」など、悪い意味でのギャップを感じている人がほとんどです。
このように企業とのアンマッチが生じる理由は、「自己分析」と「情報収集」が足りなかったせいであるといえます。
「自己分析」は、自分自身が他者からどんな視線で見られているか冷静に受け止め、自分の強み・弱みに気づくための作業です。
応募書類の自己PRや志望動機を書く際にも自己分析は行う必要があるので、この段階で行っておくと履歴書や職務経歴書の作成がスムーズにできるでしょう。
「情報収集」については、つぎの方法を参考にしてみましょう。
転職における主な情報収集
- 企業HPを見る
- 口コミサイトで評判を調べる
- 周りの友人・知人に評判を聞く
- 企業のIR情報を調べる
- ソーシャルメディアなどの投稿を見る
- 企業の社員と実際に合う
応募した企業すべて調べるのは大変な場合もありますが、妥協することなく確認することが重要です。
自分で転職活動をすすめるのが難しいと感じたら、転職エージェントを利用すると解決できるかもしれません。
3. 転職活動のスケジュールを組む
転職活動をするにあたりスケジュールをきちんと立てないと、転職活動が長引いたり、急に転職先が決まって十分な引き継ぎができないまま、慌てて会社を退職することになります。
転職活動をはじめる前に、大まかで構わないのでスケジュールを立てましょう。
転職活動には3カ月~半年が必要といわれています。
20代の人は需要が高く、求人数も多いため30代40代の人に比べると比較的転職先が見つかりやすいと考えられます。
また空白(無職)の期間が長いと採用担当者の印象があまりよくないことから、転職活動の期間は3カ月を目標にしましょう。
仮に3カ月で転職先を探すとなると、情報収集と応募書類の作成に2週間、面接に1カ月などのスケジュールが組めるはずです。
転職活動のスケジュールについては、「転職準備を進める手順」の記事を参考にしてください。
4. 転職活動はできれば在職中に行う
転職活動が長引いて生活が困窮すると、再就職先を妥協してしまうことがあります。
そのため、転職活動は今の会社に在籍したまま行いましょう。
もしも会社を辞めてじっくり転職先を探したい人は、無職の期間中、最低でも3カ月分の生活費を用意しておくと安心です。
このほか在職中の転職活動のメリットとして、仮に結果が不採用でも、今の会社に勤務し続けて不足しているスキルを補える点があります。
退職後の転職活動が長引くと「なにか転職できない理由があるのでは?」「転職できるほどのスキルがないのでは?」と思われがち。
こういった観点からも、できれば在職中に転職活動をするほうがいいでしょう。
20代前半と後半で異なる転職事情
同じ20代の転職といっても、20代前半・後半では企業側の求めるものが大きく違います。
このように年代別に企業がもとめる人材を理解することも、転職成功の大きなポイントです。
企業が20代前半・後半の求職者について、それぞれどこを見ているかくわしく説明していきます。
転職年代 | 企業が見ているポイント |
---|---|
20代前半 | ・社会人マナーを習得している ・前職のやり方に染まっていない柔軟性 |
20代後半 | ・実務経験を活かして即戦力になる ・将来性やポテンシャルがある |
20代前半の転職は「社会人マナー」と「柔軟性」を重視
20代前半の転職のキーワードとなるのが「社会人マナー」と「柔軟性」です。
20代前半の転職者は社会人経験が少ない、いわゆる「第二新卒」の人材として捉えられます。
第二新卒の明確な定義はありませんが、一般的には「学校卒業後、一度就職をしたが2~3年の間に離職し、就職活動をしている若手求職者」を第二新卒とすることが多いようです。
企業にとっての第二新卒の魅力は、新卒と違い社会人としてのビジネスマナーを習得している点。
企業側も入社してからビジネスマナーを教える研修コストや時間を削減できるので、大きなメリットがあるのです。
加えて20代前半は、新卒同様の「柔軟性」を兼ね備えています。
ここでいう柔軟性とは、いままでの会社の社風に染まらず、柔軟に物事をとらえる能力のこと。
たとえばミドル世代(30代中盤~)の転職では、「今までの仕事のやり方を持ち込もうとしてしまい、周囲に馴染めない」という失敗例も少なくありません。
一方で第二新卒は、わからないことがあれば素直に質問でき、新しい環境に馴染みやすい傾向にあります。
以上2つのキーワードをよく理解し、企業へのアピールポイントにつなげましょう。
20代前半の転職は「職務経歴書に書くことがない」という悩みも多いですが、専門的なスキル以外にもアピールできることはあります。
たとえば「社内マニュアルを作って業務改善を図った」など、仕事に前向きに取り組んできた経験も20代前半では評価の対象となるでしょう。
20代後半の転職はスキルに加えポテンシャルも見られる
20代後半は、新卒から働きはじめたとすると入社5年前後の時期ですね。
入社5年目ともなると、一通りの仕事のやり方を身につけ、さらに後輩の指導やチームリーダーを任される立場の人も出てきます。
じつは若年層の中途採用で、最も評価が高いといわれるのが20代後半です。
なぜなら20代後半は、まだ若いのでポテンシャルがあり、ある程度の実務経験やスキルを身につけているから。
20代後半の人はキャリアアップや年収アップをねらった転職も期待できます。
「前職の経験で得たスキル」をどのように活かせるかを中心に、「今後の活躍イメージ」もアピールしていきましょう。
また女性の場合、20代後半は結婚や出産など人生のイベントと重なりやすい時期でもあります。
仕事を続けていきたいのでれば、会社の福利厚生や、勤務形態の柔軟性(短時間勤務など)・職場での女性の比率なども確認しておきましょう。
ちなみに20代後半でも未経験の業種へ転職できる可能性は充分にあります。
30代以降になるとキャリア変更は難しくなるといわれるので、本来やりたい仕事への挑戦を考えているなら、20代後半は転職の転機となるでしょう。
20代の転職で知っておくべきリスク3つ
20代という年代は若さやポテンシャルがあるので、転職成功率も高いと言われます。
ですが「すぐに次の仕事は決まるだろう」と安易に転職すると、後々後悔することも。
20代の転職はメリットがある一方で、つぎのようなリスクがあることを理解しておきましょう。
20代の転職のリスク
- 社会人経験の浅さが評価を下げる
- 転職先にミスマッチ企業を選ぶ可能性がある
- 退職金が少なかったり支給されない可能性がある
1. 社会人経験の浅さが評価を下げる
20代では勤続年数が短く、キャリアが浅い状態で転職をすることになります。
そのため、たとえば勤続3年未満では「実務経験が足りない」と判断されることも。
またどの企業でも「長く働いてくれる人材」を求めています。
たとえば20代の転職で、前職の勤続が1年に満たなければ「忍耐力がない」「ストレス耐性が低い」とマイナスの印象を与えることは覚悟しておきましょう。
20代の転職は、そういった経験不足やマイナスを補うだけの「ポテンシャル」や「やる気」をしっかりアピールする必要があります。
2. 転職先にミスマッチ企業を選ぶ可能性がある
20代では「会社を見極める目」がまだ十分ではないため、転職先に自分とはミスマッチな企業を選んでしまう可能性があります。
とくに今の仕事から逃げたい気持ちだけで辞めてしまうと、とにかく次の仕事を早く決めたいという気持ちだけで「未経験OK」など、いわいる採用条件が低い求人に飛びついてしまいがち。
やりたいことやキャリアプランがあやふやなうちは、転職をしない決断も大切です。
企業の職場環境を判別するひとつの材料に、離職率があります。
離職率が高ければ、社員があまり長続きしないことを意味するため、何か職場環境に問題がある可能性が高いと考えてよいでしょう。
離職率は四季報に掲載されているので、参考にしてみてください。
3. 退職金が少なかったり支給されない可能性がある
2018年の厚生労働省調べでは80.5%の企業に退職金制度があります。
退職金は、会社の規模や退職理由(自己都合・会社都合)によっても変わりますが、共通点は長く働き続けるほど多くもらえるという点です。
大学卒で入社し自己都合退職の場合、退職金の相場はつぎのとおりです。
勤続年数 | 年齢 | 大企業 | 中小企業 |
---|---|---|---|
3年 | 25歳 | 34万円 | 24万円 |
5年 | 27歳 | 65万円 | 44万円 |
10年 | 32歳 | 192万円 | 115万円 |
参考)エン転職「転職大辞典」
退職金制度がある会社は、「勤続年数3年以上」で退職金を支給するのが一般的です。
もう少しで勤続年数3年であれば、転職を先延ばしする方がよいかもしれません。
このように20代前半の転職では退職金の額はそう多く望めません。または退職金がゼロの可能性も十分あります。
もし退職金を転職活動の費用にあてようと考えている場合は、会社の退職金制度を確認しておくことが必要です。
退職金制度については、会社によって内容も大きくことなりますので、くわしくは就業規則などをご確認ください。
20代の転職を効率的に行うには転職エージェントが便利
20代で今の仕事を続けながらの転職活動するのは、時間が限られますよね。
そんなときは転職エージェントの利用を検討してみましょう。
転職エージェントを使って、内定もらうまでの流れはつぎのとおり。
転職エージェント利用の流れ
- 申し込み・登録
- 転職エージェントの担当者と面談
- 求人紹介や書類の添削
- 応募・書類選考
- 企業と面談
- 内定
転職エージェントは、転職を希望する人と採用を考えている企業の間に立ち、マッチングを行ってくれます。
応募書類の添削や、面接の際のアドバイスをもらえるので、一人で転職活動を行うより効率的かつスピーディーに転職を進められますね。
とくに20代の転職でオススメのなのが、「マイナビジョブ20’s」です。
24歳から29歳までの方向けの求人が豊富に揃っており、キャリアアドバイザーが面談を通してあなたにピッタリの転職先を紹介してくれます。
就活のプロであるマイナビの転職支援サービスなので、安心して利用できますね。
「まだ転職するか決めていない」という方は、相談だけでもかまいません。
サービスは無料で利用できるので、お気軽にご相談ください。
※マイナビジョブ20’sのサービス対象地域は東京、埼玉、神奈川、千葉、愛知、岐阜、三重、京都、滋賀、大阪、兵庫、奈良に限られています。これら以外の地域にお住まいの方は、マイナビエージェントをご利用ください。
20代の転職に関するよくある質問
20代の人が転職活動をするにあたって疑問に思うことをQ&A形式で答えていきます。
20代の転職は何回までOK?
キャリアが短い20代の転職は、1回~2回目までが望ましいでしょう。
どの年代でも転職は3回目以上になると転職成功率は一気に下がると言われています。
転職回数が多い人は、それぞれの職歴で得たこと、学んだことやスキルをアピールしましょう。
会社の倒産で転職したなど、明確な理由があれば、転職回数に関係なく採用される可能性はあります。
また企業が転職回数を気にするかどうかは、職種によっても違います。
たとえば専門性の高い職種は、求められるスキルを備えていれば転職回数が多くてもマイナス評価にならないことが多いでしょう。
さらにクリエイティブ系などは複数の会社での経験が、逆にプラスの評価となるケースも。
その場合は転職回数を気にするよりも、自分のスキルが活かせることをアピールすれば転職成功につながるでしょう。
20代が転職するのに有利な資格はある?
とくに20代の転職で「この資格が有利」というものはありません。
転職の際は、資格よりも実務経験のほうが大切なことを理解しておきましょう。
資格をアピールしすぎると、「資格しかアピールするところがない」と取られてしまうリスクもあるので注意が必要です。
とくに20代の転職では、資格よりポテンシャルを重視されます。
たとえば英語テストTOEICの転職基準は600点と言われますが、20代では入社後に英語力が伸びる可能性も充分ありますよね。
もちろん外資系企業や英語に携わる仕事であれば、英語の資格を持っていて損はありませんが、それよりも実務経験や成長の可能性を感じてもらうことが重要です。
ですが「経理の実務経験は3年あるけどそれだけで本当に転職できる?」「20代後半で未経験の仕事に挑戦するけど、年齢が足かせにならないかな?」など不安要素がある場合には、補助的な意味あいで資格を取るのはよいことです。
資格を取ることで専門性が高まりますし、未経験の場合はより「働きたい」という熱意が伝えられるでしょう。
資格取得を検討している方は、「転職に有利な資格」の記事も参考にしてください。
【まとめ】20代前半と後半それぞれの強みを生かして転職を成功させよう
20代の転職において、大切なポイントをまとめます。
20代転職成功のポイント
- 若くてポテンシャルのある20代の転職でもリスクはある。
- 20代の転職成功のためには退職理由を明確にすることが大切。
- 転職スケジュールをしっかり立て収入がゼロにならないように計画。
- 20代前半・20代後半の転職の違いを意識して対策を練る。
また効率よく転職活動を行うには「転職エージェント」の利用も検討しましょう。
とくに転職経験が少ない20代では、転職エージェントの担当者からの書類添削やアドバイスは貴重なものになるでしょう。
新卒で思うような企業から内定がもらえなかった人も、これまでの経験やスキルをアピールし、20代での転職成功を勝ち取ってください。
- 監修者:石峰朱実(キャリア・コンサルタント)
- 各種学校、公共事業にて主に就職支援を担当。また転職エージェントでの面接指導にもあたっており、人材業界での10年の勤務経験も含め、就転職支援では20年超のキャリア。>>詳細はこちら