女性こそIT企業への転職がオススメ

最近はフレキシブルな働き方ができる職種が注目されており、パソコンさえあればどこでも業務ができる、IT系のお仕事は男女問わず人気となっています。

IT企業と聞くと、「学生のころからプログラミングを専門に学んだ人が働くところ」というイメージが強いかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

プログラミングやWEBデザインは、オンライン講座で学べる機会も増えたので、未経験の女性も多くチャレンジしている職種です。

また女性が増えたことから、女性が働きやすい環境づくりに積極的な会社も増えてきました。

今回は女性のIT業界への転職事情について紹介するので、「IT系の仕事にチャレンジしたいけれど、迷っている」という方は、一度この記事を読んでみてください。

石峰朱実石峰朱実

女性が働き続けることが浸透し、女性の活躍分野がどんどん広がっていますね。ITの分野もその一つです。
パソコンが得意で長時間使っていても苦ではない、エクセルの関数を組める、自分でネットショップを立ち上げたことがあるなど、実はIT分野との接点を持つ女性も多いはず。
仕事にするとなると知識をつける必要もありますし、未経験の職種に挑戦するにはある程度年齢の考慮が必要であることも否めませんが、可能性の選択肢として挙げてもよいのではないでしょうか。
この記事では、IT企業への転職を検討するうえで参考になる情報を記載しています。可能性の芽が見つけられると思いますよ。

働く人はやはり女性より男性が多い?IT業界の現状

IT業界はほかの業界と比べて働く人の年齢層は若く、男性の多い業界です。

少し前のデータになりますが、経済産業省による「IT人材を巡る現状について(平成27年)」に、労働者の平均年齢が記載されています。

職業全体で見る労働者の平均年齢は42歳ですが、システムコンサルタント・設計者の平均年齢は38歳、ソフトウエア作成者は37歳。

さらに女性に限定すると、システムコンサルタント・設計者、ソフトウエア作成者として働く人の中で多い年齢層は、25〜29歳というデータがあります。

全職業における年齢別の就業者構造で、一番多い年齢層は35~39歳ということを考えると、IT業界で働く女性はとても若いことがわかりますね。

またIT業界における女性の割合は、女性のシステムコンサルタント・設計者が全体の11.9%、ソフトウエア作成者は14.4%、その他の情報処理・通信技術者は3.3%です。

女性の事務従事者が59.7%、サービス職業従事者が67.5%というデータと比べると、IT業界で働く女性は著しく少ないといえるでしょう。

※参照)IT人材を巡る現状について

IT業界は仕事の性質上、最新の技術に常に敏感でないといけない、夜中の作業など就業時間が不規則になりがちなど、考え方が柔軟で体力がある若い世代の男性が活躍しやすく、このような結果になったと思われます。

以上のことから「やはりIT業界は女性が働きにくい環境だから女性が少ないのでは?」と思った人も多いはず。

ですが多くのIT企業は女性が働くことに積極的で、女性が働きやすい環境作りを行っているのです。

女性も働きやすい環境へ!IT業界の取り組み3つ

ここではIT企業が行っている、労働環境を改善するための取り組みを紹介します。

1. 長時間労働の改善

IT業界は、労働時間が長いもしくは不規則というイメージがありますよね。

本当にIT業界で働く人の労働時間は、他の業界と比べて長いのでしょうか。以下は、情報通信業と業界全体の平均的な労働時間を比べたデータです。

日本全体 情報通信業
年間総実労働時間 1,734時間 1,955時間
年間所定外労働時間 132時間 213時間
長時間労働者(週60時間以上)の割合 8.2% 9.2%

こうして比較してみると、情報通信業が日本全体の労働時間よりもかなり長いことがわかりますね。

IT業界の労働時間が長くなりがちな理由は3つ考えられます。

IT業界長時間労働の原因

  1. 開発や管理においてトラブルが発生すると作業時間が長くなってしまう
  2. 業務の繁閑差が激しく繁忙期の労働時間が長い
  3. 仕事の性質上、顧客がPCを使わない就業後など所定外の時間でしかできない作業がある

※ IT業界でも職種によっては上記の内容が当てはまらない場合もあります。

現在この長時間労働に対して、各企業でさまざまな取り組みが行われています。

上司による面談等を行う

  • 長時間労働の原因把握と改善策の立案
  • 長時間労働の従業員に対する面談の実施
  • 時間外労働、休日出勤の事前承認など手続きの厳格化

長時間労働になる原因を追求し、それに対する改善策を考え、長時間労働を減らす方法を模索する目的があります。

また、残業や休日出勤の承認が厳しくなることで、働く人が時間内で仕事を終わらせる意識を持って取り組むことが期待されているのです。

従業員が休みやすい制度を取り入れる

  • ノー残業デーの設置
  • 記念日休暇、配偶者出産休暇等の従業員が利用しやすい休暇制度の取り入れ
  • 半日休暇・時間単位の有給休暇制度を作る

これらの制度により、働く人が気軽に休暇を取れる環境になることを目指します。

英会話やスポーツジムなど仕事後の時間を自分のために使いたい女性や、小さいお子さんがいて、子育てと両立している方にとっても、残業がなかったり休暇が取りやすいのはとても嬉しいですよね。

取引先や顧客関係を見直す

  • 開発着手後に顧客より仕様変更の要求があった場合、納期や価格等に関する契約内容を見直す
  • 契約締結時における開発期間、必要工数、開発環境等に関する顧客との交渉を怠らない

つまり、契約締結時はもちろん、開発着手後の変更は交渉をしっかり行い無理のない日程・予算で遂行できるようにしようということ。

無理のない工程で契約を結び、時間外労働等を防ぐのが目的です。

※参照)厚生労働省「働き方改革の背景と取組の実際」

2. 働く女性をバックアップしてくれる福利厚生の導入

女の子の手を引いて出勤する女性

働く女性をバックアップしてくれる魅力的な福利厚生のある企業が、IT業界にはたくさんあります。

女性が「働きたい!」と思える魅力的な福利厚生を取り入れているIT企業を一部紹介しましょう。

サイバーエージェント

サイバーエージェントでは、女性活躍促進制度「macaron」を設けています。

ママ(mama)がサイバーエージェントで(ca)長く働く(lon)という思いから名付けられたmacaron。

macaronの例

  • 女性特有の体調不良の際に月1回取得できる特別休暇「エフ休」
  • 不妊治療の通院等で月1回取得できる「妊活休暇」
  • 子どもの急な発病など子どもの看病時に在宅勤務できる「キッズ在宅」
  • 子どもの入園・入学式など、年に半日休暇2回取得可能な「キッズデイ休暇」

ママになる前もママになってからも働きやすいうれしい制度ですね。

メルカリ

株式会社メルカリは、「社員が大胆におもいっきり働ける環境」を充実させることを目標に掲げています。

その中の取り組みの一つが、2016年2月に導入されたmerci box(メルシーボックス)という人事制度です。

メルシーボックスの内容は、産前10週と産後約6ヶ月間の給与を会社が100%保障する、産休・育休支援の拡充などがあります。

また子どもの看護または家族の介護で休暇を取得する場合は、1年あたり5日間を特別有給休暇とし最大で10日間まで休暇取得が可能な、育児・介護休暇の有償化などを実施しています。

ヤフー

ヤフーでは、子どもが1歳に達するまでの育児休暇や、子どもが小学校を卒業するまで1日の所定労働時間を5時間までに短縮する育児短時間勤務を実施しています。

また、子どもが小学校を卒業するまで1日あたり1時間半までの時差出勤を認める育児時差出勤などの制度で、働く女性をバックアップ。

出産や育児をしながらいきいきと仕事を続けられるような制度で、利用者数は増加傾向にあるのだそうです。

3. 柔軟な働き方で理想のワークライフバランスを実現

IT企業では、従来のような9時から5時の働き方にとらわれない柔軟な働き方ができる企業がたくさんあります。

ライフワークバランスを大切にしたい女性にも、IT企業はオススメです。

フレックスタイム

ライフスタイルに合わせて、自由に出退勤時間を変えられるフレックスタイム制度

一般的にコアタイム(1日のうち必ず勤務する時間帯)を設けている企業が多く、たとえばコアタイムが11時〜15時であれば、1日の所定労働時間を満たすように、その前後で自由に出退勤時間を決められる制度です。

子供のいる家庭なら子供の見送りや、親の介護など都合にあわせて働くこともできますね。

フレックスタイム制度は、個人でできる業務が多いほど取り入れやすいといわれています。

たとえばスマートニュース、DeNA、ChatWorkなど大手企業をはじめ、中小企業でも多くの企業で導入されています。

テレワーク勤務

新型コロナウイルスの感染対策として、近年導入する企業が増えたテレワークリモートワーク

どちらも同じ、オフィス以外の場所で就業する、という勤務形態です。

IT企業は場所にとらわれない仕事内容が多いという背景もあって、早くからテレワークの導入が行われてきました。

総務省のデータ業界別のテレワーク実施率(令和3年)によると、1位は「情報通信業」で55.7%。2位は「学術研究、専門・技術サービス業」で43.2%です。

日本全体の導入率24.7%と比較しても、IT業界のテレワーク導入率の高さがうかがえます。

女性がIT企業で働くメリット4つ

長時間労働の見直しや充実した福利厚生を紹介しましたが、女性がIT業界で働くメリットはほかにもあります。ここでは、女性がIT業界で働くメリットを4つ紹介しましょう。

1. 成長産業なので需要が高い

IT業界の人材は長らく不足の状態が続いています。

情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2017」概要によると、2007年度の調査において、人材が「大幅に不足している・やや不足している」と回答した企業の割合は87.4%、2010年には48.9%までその数値は下がるものの、以降は再び不足の状態が続き、2016年度は、86.9%が「不足」と回答しています。

ITの技術は情報通信業だけでなく、医療・福祉や金融、運輸、娯楽などすべての産業で活用されているため、今後もIT業界の需要は拡大する見通しです。

売り手市場が続くIT業界では、未経験でも人材を確保したい企業も多いので、女性でも目指しやすいというメリットがあります。

2. 手に職をつけられる

手に職があれば、離職後の再就職もスムーズです。男性の離職率13.0%に対して、女性の離職率は17.6%と男性に比べて女性の方が離職しやすい傾向にあります。

※参照)厚生労働省 平成28年雇用動向調査結果の概要

結婚や出産などを機に、退職を選択する人もいるからでしょう。キャリアにブランクが生じると、再就職の難易度は上がります。

そんなとき、もしプログラミング言語の知識があり、システムを組める技術があれば転職時、有利に働くでしょう。

また、ITの技術を習得すれば、自分で仕事を受注するフリーランスや業務委託として働くことも可能。

転職に強い、手に職をつけたいならIT業界(IT系のスキル)がオススメです。

3. 他の業界や職種に比べて給与が高い

IT業界は、他の業界と比べて給与水準が高いというデータがあります。

産業別に見た賃金では女性の場合、「教育・学習支援業」がもっとも高く30万4,200円ですが、情報通信業はその次に高い30万円となっています。

女性の就業率が高い「宿泊業・飲食サービス業」は19万6,700円、「生活関連サービス業・娯楽業」は21万3,800円ですから、やはり他の業界に比べると給与が高いといえるでしょう。

※参照)厚生労働省 平成28年賃金構造基本統計調査

もちろん未経験からの転職で、はじめから高い給与を見込めるわけではありません。どの業界でも同じように、未経験者の場合はまずは様子を見たいという企業が多く、初年度から高い給与を得ることは難しいです。

ですがIT業界全体の給与水準は高いため、キャリアを積んでいけば、将来的には高い年収も見込めるでしょう。

4. 若い世代の多い業界でのびのびと働ける

年功序列の文化がのこる企業では、若い世代の成果が正当に評価されにくいなど、不利に感じることもあるようです。

その点、若い世代が多く働くIT業界では、年齢や性別にとらわれず、スキルを発揮して会社に貢献できます。

またIT業界はまだまだ女性が少ないため、女性向けのネットサービスやアプリなどの開発時に意見が採用されることもあり、やりがいを感じられるでしょう。

オフィスカジュアルでの出社が可能だったり、ネイルOKなど服装自由な企業が多いのも、女性にとってはうれしいポイントかもしれません。

女性が多い職場と男性が多い職場、どちらが働きやすい?

男性が多い職場を「女性だからといって雑用ばかり任されそう」「昇給や出世は男性が優先されるのでは?」などの理由から敬遠する人もいるようです。

しかしマイナビウーマンのアンケートによると、女性が多い職場のほうが働きやすいと答えた人は22.9%、男性が多い職場の方が働きやすいと答えた人は77.1%と、男性が多い職場の方が働きやすいと考える女性が意外と多いことがわかります。

女性の多い職場では「体の不調」や、「プライベートの変化を踏まえたキャリアプラン」など、女性ならではの悩みに共感してもらえることや、「女性だけなので気を使わなくていいからラク」などの意見が見られました。

一方、男性が多い職場の方が働きやすいと答えた人の理由は、「女性が多いと人間関係が複雑そう」という理由のほかに、「女性が少ないと気を使ってもらえそう」「仕事面で助けてもらえそう」などの意見が挙げられました。

どちらの方が働きやすいかは、個人の価値観によって違うようです。

IT業界が向いている女性の特徴3つ

IT業界が女性に向いていると紹介してきましたが、もちろん女性なら全員IT業界が向いているというわけではありません。

IT業界で働くのに向いている性格、というのがあるからです。そこで、IT業界で働くのに向いている女性の特徴を3つご紹介します。

1. 細かい作業が得意でコツコツと取り組める

たとえばプログラマーの仕事は、システムエンジニアが書いたプログラムを読み取ること、プログラミング言語を入力すること、と細かい作業がメインです。

さらにプログラミング作業では、たったひとつ小さな間違いがあっただけで作動しないことがあり、正確性が重要視されます。

そのため、細かい作業が得意でコツコツと取り組める人は向いているといえるでしょう。

事務職の経験者は、データ入力や売上管理など入力ミスが許されない作業が多かったはず。

面接や履歴書では数字のズレがないか何度も確認するなど確認を怠らない癖がついているといったことが、アピールになりそうです。

2. 好奇心旺盛である

スマートフォンであれこれ調べる女性

常に新しい技術が取り入れられるIT業界では、好奇心を持って新しい知識を身につけようとする意欲が大切です。

経済産業省の資料によると、「先端IT従事者」は「先端IT非従事者」にくらべ、より多くの時間や費用をスキルアップにかけているというデータも。

日々進化するIT技術を取り扱う、IT業界ならではの特徴といえるでしょう。

入社後も継続的に知識を習得できる人材が求められ、そのためには仕事に好奇心を持って取り組むことが重要です。

転職の際の面接では、「わからないことがあれば徹底的に調べる」など知識に対して貪欲なところもアピールポイントになりますよ。

3. コミュニケーション能力がある

「IT関係の仕事」というと、パソコンに向かって黙々と作業をするイメージがあるかもしれませんが、意外とそうではありません。

たとえばプログラマーの仕事はパソコンでの作業の他に、他のプログラマーと連携して作業を行う必要があり、スムーズに進めるためにはコミュニケーション能力が不可欠です。

また顧客にシステムの説明をする際、相手がITにくわしくない場合が多いため、いかにわかりやすく相手にストレスなく説明できるかも、重要なコミュニケーションスキルとなります。

選考では社内の人間関係を円滑にするために行ったことや、働きやすい環境づくりのために気をつけていたこと、問題が起こったときに他の人と協力しながら解決した経験などを伝えて、コミュニケーション能力をアピールしましょう。

IT業界が未経験の女性が働きやすいのはWebプログラマー

IT業界にはさまざまな職種があるので、未経験の人はどのような仕事(職種)を選べばいいか迷いますよね。

初めてIT業界に転職する方は、プログラマーと呼ばれる職種がおすすめです。

プログラマーは、システムエンジニアが設計したシステムに対してプログラミング作業を行うことが主な仕事。

一般的にプログラマーは、自社システムの構築やショッピングサイト、アプリの開発、家電機器を制御するプログラムなどさまざまなものに対してプログラミングを行います。

その中でWebプログラマーという職種になると、プログラミング作業はインターネット上のものに限られるので、未経験者にはより始めやすい職種です。

IT業界で働いた経験がなく「採用してもらえるか不安」という人は、RubyやJavaScriptなどのプログラム言語の知識を身につけておくとよいでしょう。

プログラミング言語は、ハローワークが主催する職業訓練やWebスクールなどで学べるほか、書籍などから独学で知識を得る人もたくさんいます。

その他のIT業界の職種についての詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

IT系の職種一覧!IT業界の将来性やオススメの資格などIT業界について徹底解説!

文系出身の私もIT業界で働ける?IT業界の文系・理系問題

「IT業界=理系」というイメージがありますが、それは大学の情報系や工学系の学部でIT技術に関連した授業があるため、就活時に他の学部の学生よりIT関連の知識が豊富なことが理由のひとつにあります。

つまり、文系・理系というよりもプログラミングの知識があるかないかの問題なのです。

プログラマーやSEとして働くために必要な能力は、顧客の要望を正しく理解するための理解力や、どのようなシステムを作ってほしいのかをプログラマーにわかりやすく伝える伝達力です。

文系・理系に関係する能力ではありません。パソコン操作が苦手な人でなければ文系でも理系でもOK!なにかでつまづいたときに「私は文系だから」と苦手意識を持たなければ、文系出身の人でも十分活躍できる業界です。

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女性がIT業界へ転職する方法(おすすめの転職エージェントと転職サイト)

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【まとめ】IT業界は女性の転職にオススメ!

女性のIT業界への転職について紹介しましたが、いかがでしたか?

「IT業界は長時間労働で女性にはキツそう!」
「男性が多いから女性は働きにくいのでは?」
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これらのイメージが払拭されたのではないでしょうか。

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監修者:石峰朱実(キャリア・コンサルタント)
石峰朱実
各種学校、公共事業にて主に就職支援を担当。また転職エージェントでの面接指導にもあたっており、人材業界での10年の勤務経験も含め、就転職支援では20年超のキャリア。>>詳細はこちら