「外資系企業って仕事ができる人ばかりのイメージだけど自分はやっていける?」
「外資系企業に入社して社風が合わなかったらどうしよう」
これから外資系をふくめて転職活動をする人は、このような不安がありますよね。
外資系といえば華やかなイメージですが、そもそも社風や職場環境が自分にあわなければ、長く働き続けることはできません。
外資系企業の特徴を知らずに入社してしまうと、日本企業の常識とのギャップにとまどい、また転職を繰り返す恐れも。
そこで今回は「給与」「雇用形態」「休日・休暇」のポイントから、外資系企業の特徴と日本企業との違いについてしっかり解説していきます。
また「外資系のメリットやデメリット」についても紹介していきますのでぜひご覧ください。
この記事を参考に、あなた自身が外資系に向いているかどうかを確かめてみましょう。
転職活動をするうえで、企業研究が大事といわれますよね。
企業の事業内容はもとより、概要・沿革(歴史)もしっかりみて、その企業がどのような歩みをしてきたのかを調べてみましょう。
外資の企業がどのような目的で日本で事業展開しているのかも知らべてみてもおもしろいかも知れませんね。
今回は外資系企業の総体的な特徴について触れています。参考にしていただき、興味のある企業の特徴は個々に調べてみましょう。
目次
日本にある外資系企業には3つのタイプがある
「外資系企業」というと外国人の社員がいたり、オフィスでは英語が飛び交っていたり、といった光景を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ですが会社によっては日本企業と同じ文化が根付いている場合もあり、「この会社は外資系?外資系じゃない?」という判断が難しいです。
一般的には外資系企業とは「海外に本社がある日本法人」を指し、主に次の3つのタイプにわけられます。
外資系企業3つのタイプ
- 外国企業が日本に子会社を設立した純外資会社(最も一般的)
- 外国企業と日本企業が共同で会社設立した合弁会社
- 外国企業が日本企業を買収した外資導入会社
それでは順番に見ていきましょう。
1. 外国企業が日本に子会社を設立した純外資会社
まずは海外の企業が100%出資して、日本に子会社を設立する純外資会社。
有名なところでは、コストコホールセールジャパンやイケア・ジャパン、スターバックスなど、日頃商品やサービスを利用している人も多いのではないでしょうか。
IT関連でいえば、アップルやマイクロソフトなども、大手外資系企業ですね。
アクセンチュアなどコンサルティングや、アフラックなど保険業界も外資が多く参入することで知られています。
また、これら外資系企業の大手企業は、多くの従業員を日本法人にかかえています。
つぎの表は、従業員数が多い純外資会社型の外資系企業ランキング(2017年調査)です。
企業名 | 業界 | 親会社国籍 | 日本法人の従業員数 |
---|---|---|---|
ジブラルタ生命保険 | 保険 | アメリカ | 13,541人 |
メットライフ生命保険 | 保険 | アメリカ | 9,086人 |
コストコ・ホールセールジャパン | 卸売・食品 | アメリカ | 8,500人 |
アクセンチュア | コンサルティング | アイルランド | 7,600人 |
アクア | 家電メーカー | 中国 | 6,235人 |
UDトラックス | 自動車 | スウェーデン | 5,575人 |
ボッシュ | 自動車 | ドイツ | 5,228人 |
プルデンシャル生命保険 | 保険 | アメリカ | 5,197人 |
ファイザー | 製薬 | アメリカ | 4,935人 |
注)従業員は原則、単体の臨時・パートタイマー等を除く正社員数。親会社との兼任を含む。
参考)東洋経済オンライン「日本法人の従業員が多い」外資トップ100社より抜粋
ランキングでは、世界的にビジネスを展開する「欧米企業」が目立つことがわかります。
つまり外資系とは、欧米系の企業が100%出資して日本に設立した子会社をイメージするのが最も一般的なのです。
2. 外国企業と日本企業が共同で設立した合弁会社
つぎに外国企業と日本企業の共同で会社を設立している合弁会社が2つめのパターンです。
ニベア花王、富士フイルムビジネスイノベーション、モルガン・スタンレーMUFG証券などがそれにあたります。
外国企業が日本に合弁会社を設立するメリットは、現地企業のネットワークを活かして、スムーズに日本進出を図れる点です。
合弁会社は出資比率によって、「日本資産優位型」と「外国資本優位型」に区別する場合もあります。
前者の場合は、企業文化が日本の会社に近いような企業もあるでしょう。
3. 外国企業が日本の企業を買収した場合
台湾企業である鴻海(ホンハイ)が2016年、経営不振に陥ったシャープを買収したことは大きな話題となりました。
日本の大手電機メーカーで初めて外資の傘下に入り、再建を目指すこととなったのです。
シャープの例のように日本企業として設立したものの、買収されて外資系になったのが外資買収会社です。
外国資本となることで経営陣も外国人に一層されるなど、組織にも大きな変化が加えられます。
ただしこれまでの日本企業としての歴史があるので、外資買収会社の場合は、それほぞすぐに外資系の企業文化にならない傾向があります。
一般的に外資系企業として想像する企業文化とは違い、日本企業色が多く残っているでしょう。
このように外資系には3つのタイプがあり、一番最初の純外資会社が「外資系」としてイメージする会社に近いものになります。
外資系の大きな特徴3つ!日本企業との違いは?
一口に外資系といっても、社風や働き方などの特徴はさまざまです。
ですが外資系としておおよその特徴は挙げられるので、日本企業との違いを含め、事前に知っておきましょう。
働く上で大切で気になるポイント、給与・雇用形態・休日・休暇の3つの特徴を紹介します。
1.【給与】外資系は年俸制で徹底した成果主義
外資系企業の賃金体系は「ベース給+インセンティブ」とするところが多いです。
ベース給とは、日本でいう基本給のことですね。
これに評価に応じたインセンティブが加えられ、外資系企業によっては成果次第ではインセンティブが青天井などと言われます。
こういったインセンティブの高さが、外資系企業の年収を押し上げているひとつの要因です。
徹底した実力主義なので、若いうちからインセンティブを稼いで高年収が望めます。
また「月給+年にボーナス2回」の形が定着している日本企業に比べ、外資系は年俸制にしているところが多いです。
そもそもボーナスというのは日本独特の文化なので、外資系で導入しているところはほぼありません。
外資系企業では退職金や福利厚生の手当がない代わりに高い年俸を提供するので、あと(の運用)は個人に任せるというのが外資系の考え方です。
つまり、転職後の待遇に関してまで総合的に考えなければ、可処分所得(手元に残るお金)が減ることもあるので要注意です。
2.【雇用形態】外資系は終身雇用を前提としていない
年収と同じく、外資系と日系企業の大きな違いが「雇用形態」です。
近年日本でも終身雇用制度の見直しを耳にすることが多いですが、じつは世界的に見れば終身雇用制度は少数派。
多くの海外企業では1社にとどまらず、経験やスキルを積み上げ、転職によってより上のポジションや年収アップを測るのが普通です。
そのため外資系企業のほとんどに終身雇用を前提とした制度がありません。
外資系企業の雇用契約書では、一般社員から役員まで、すべて雇用期間の具体的な日付が明記されていることからもわかりますね。
一度入社したら、家族同然のような扱いをする会社もあるような日本企業とは違い、従業員と雇用主はあくまで契約関係という根本的な考え方の違いがあるのです。
ちなみに、外資系企業にも日本の労基法が適用されますので、外資系だからいきなり契約を切られるということはありません。
労働基準法に基づき、社員の解雇は容易に行えることではないのは、外資系も日系企業も同じです。
3.【休日・休暇】外資系は有給消化率が高い
最近では日本企業でも有給消化を義務付けるなどの動きがありますが、外資系企業の有給消化率はとても高いです。
また外資系企業では、長期休暇があるところも多いです。
とくにヨーロッパ系の外資系企業では、夏季に社員がローテーションで1ヶ月のバカンスをとることも。
外資系企業では休みが取れないということは、「仕事の効率が悪い」とみなされることもあります。
長時間労働をよしとする日本企業とは正反対の特徴といえますね。
ちなみに外資系企業は、親会社の国のカレンダーで働くことが多いです。
したがって、日本の年末年始の一斉休暇はないところもあるので、チェックしておきましょう。
外資系企業に転職するメリット3つ
外資系企業のメリットは「高収入」だけではありません。転職活動をはじめる前に、外資系企業で働く利点を知っておきましょう。
ここでは3つのメリットを紹介していきます。
1. 意思決定が早く仕事にスピード感がある
外資系企業は組織がフラットで意思決定が早く、スピード感をもって仕事ができます。
たとえば一つのプロジェクトを始動するのに、資料作成や会議など長い準備期間が必要な日本企業に比べ、個人にある程度の裁量がある外資系企業では直属の上司の承認で即実行というケースも多いです。
とくに英語圏の外資系企業では、日本企業のように「課長、係長、○○代理、○○代行」など細かい役職の分類はありません。
組織がフラットな分、承認も早く、現場の意見が通りやすい風通しのよさがあります。
「自分の考えを即実行に移せる環境」は外資系企業ならではの魅力です。
2. グローバルな視点や語学力が身につく
外資系企業は世界を相手に仕事をするので、多様性のある環境で働けます。
日本以外の多様な文化や宗教、生活習慣を背景とする相手との仕事は、自分の視野を広げてくれます。
たとえば外国人にとって「会議」とは、真剣に討論し問題を解決する場であって、日本企業のように何かを承認するだけの場ではありません。
そのため会議の中で自分の意見を出さない人は、参加する意思がないまたは、発言するようなアイデアがない人間だと誤解されます。
ほかにも国内企業のやり方とは違うことはたくさんあり、頭を切り替えなければいけない場面はたくさんあります。
自分とは違う価値観を受け入れるグローバルな視点は、今後の自分のキャリアに大きく役立つでしょう。
また、外資系で働くためには「TOEIC 730点以上の英語力」が必要といわれますが、入社前から英語が得意な人ばかりではありません。
英語を使わざるをえない環境の中で、実践をつんで英語力を身に着けていく人も、じつは多いのです。
外資系といっても職場では日本語が飛び交っている企業も多いですが、やはり本社や海外支社のスタッフと会議やメールでやりとりする場面では英語が公用語です。
外資系企業に入社してから英語を学んでも、即座に仕事で使えることで、習得率が高いのです。
3. ワークライフバランスがとれる
外資系企業はオンとオフの切り替えがはっきりしています。
日本では長時間労働をよしとする文化がまだありますが、逆に業務時間内に仕事が終わらないのは能力不足と評価される外資系で、残業はあまりありません。
「休日出勤」や「接待ゴルフ」などもなく、労働と休暇の線引がはっきりしています。
また外資系企業では、仕事より家族を優先することはあたりまえ。
日頃から家族のことを話題に出し気遣う文化があり、妻や子供などが体調不良のときは早く返される光景も見られます。
日本企業では、男性が「家族の用事で休む」とは言い出しにくい雰囲気がありますが、外資系では妻ではなく夫が休みを取ることも多いです。
結婚して共働きや、小さな子供がいる家庭では、家族の用事で休みやすい環境はメリットですね。
ワークライフバランスがとれていると、仕事への意欲も高まるでしょう。
外資系企業に転職するリスクやデメリット2つ
「今まで日本企業に勤めていたので、外資系企業に興味はあるが不安」という方は結構多いです。
転職して失敗したと感じないためにも、外資系企業で働くデメリットについても確認しておきましょう。
1. 成果次第では給与が激減してしまう
外資系企業は、日本企業にくらべて給与水準が高めですが、そのほとんどがインセンティブによるもの。
つまり成果を出せなければ、前年度にくらべ年俸が激減するという恐れもあります。
成果が出せるうちは、報酬も高く、仕事のモチベーションも上がるでしょう。
ですが入社後、過度なプレッシャーによって、実績を残せないことも予想できます。
そこへ給与が下がるという心理的ストレスも加わり、本来持っている力を発揮できなくなると転職成功とはいいがたいですね。
「成果主義だから給与の増減は当然」と割り切ることができなければ、外資系には向いていないかもしれません。
2. 責任に耐える力が必要
外資系企業は自分の裁量で仕事ができる反面、責任もまた自分でおわなければいけません。
組織を重んじる日本企業に比べ、外資系では完全に個人主義。わかってはいたものの、実際に働いてみると働きづらさを感じることもあるでしょう。
また年齢・年次にかかわらずすべての人が、即戦力として責任ある仕事を任されます。
もちろん周囲のサポートも受けられますが、「自分の力でやっていく」というメンタルの強さが必要です。
外資系企業の転職に向いている人
自分が「外資系」に向いているのか、セルフチェックをしてみましょう。
- 自己管理力が高いタイプ
- 自分でキャリア形成をしていくタイプ
- どんな状況にも柔軟に対応できるタイプ
3つすべて当てはまったら、外資系企業に転職しても活躍できる可能性が高いです。
まずは外資系転職の専用エージェントへ相談してみましょう。
1. 自己管理力が高いタイプ
自己管理力とは、「自分を律し、コントロールする能力」です。
外資系企業では、時間管理からモチベーション管理まで自分が責任を持って行います。
「外資系は17時できっちり帰る人が多い」といわれますが、これも高い自己管理力があるから。
もちろん中には残業をする人もいますが、日本企業のように残業を前提で多くの仕事をうけるような社員は少ないです。
なぜなら残業が続く人は時間管理ができていない、自己管理力の低い人と評価されるからです。
このように外資系では自己管理力がないとパフォーマンスは発揮できません。
「ある程度会社に管理される方が楽だ」と感じる人には、外資系企業よりも日本企業が向いているかもしれません。
2. 自分でキャリア形成をしていくタイプ
外資系に向いているのは「自分のキャリアは自分で作る」という考え方の人です。
外資系企業には、社員一人ひとりがどうキャリアを築いていくか考えてくれる会社は少ないでしょう。
なぜなら雇用は終身雇用を前提としておらず、契約関係という考えに基づいているからです。
また外資系でも新卒採用を行うのは大手企業だけ。
大学生を一人前の社会人に育てるには、時間と費用がかかるので、即戦力になる中途採用を好む傾向にあります。
「なるべく早く仕事に慣れて、利益を生み出してほしい」というのが多くの外資系企業の本音かもしれません。
そのため外資系に向いているのは、「会社に依存せずに自分でキャリア形成ができる人」、たとえば自分のスキルを磨くため、プロジェクトや研修に積極的に手を挙げられるタイプです。
3. どんな状況にも柔軟に対応できるタイプ
予想外の変化があったとき、「しょうがない、今できることをしよう」と考えられる柔軟性は、外資系で働くうえで重要な資質です。
外資系では日本企業に比べて短いスパンで方針転換が行われ、現場レベルで大きな業務内容の変化がしばしばあります。
「自分の考えとは違う」と頑なになっていては、迅速に対応ができません。
外資系企業では意思決定権が本社にあるため、日本支社の考えや訴えはとおらないことも多くあるでしょう。
どんな事態でも切り替えが早い人は、素早く対応して結果を残せます。
感情的にならないのは難しいことかもしれませんが、外資系企業で働く人に一番大切な資質かもしれません。
外資系企業の転職に迷ったときは転職エージェントに相談しよう
ここまで外資系企業の特徴や、外資系企業に向いている人材について紹介しました。
この記事を読んで、あなた自身が外資企業に転職したいかどうか、判断できた人もいるでしょう。
一方で、外資企業に転職してもうまくできるかどうか、自分では判断できない人もいると思います。
そんなときは、外資系企業の求人を多く扱っている転職エージェントに相談してみましょう。
あなたの希望やこれまでの経歴を伝えることで、どういった企業、職種に向いているか、ヒントがもらえるはずです。
ここでは外資系企業の求人が豊富な転職サイトと転職エージェントを紹介します。
ビズリーチ
キャリアアップの転職を目指すなら、ビスリーチがおすすめです。登録することで企業やヘッドハンターからスカウトが届きます。
またスカウトを受け取ることで、あなたのことを評価する企業がどんな企業か、知ることもできます。
外資系企業や日系グローバル企業の求人も多いので、グローバルな活躍を目指す方はまず登録しておきたい転職サイトです。
ロバート・ウォルターズ
ロバート・ウォルターズでは、専任のキャリアコンサルタントが転職のサポートをしてくれます。
企業を紹介するだけでなく、キャリアプランの相談にも応じてくれるので、今後のキャリアプランを立てるのにも大変役立ちます。
専門分野は製造業、IT、金融、小売、ヘルスケア、自動車、不動産など。
英語面接や英語の履歴書の相談もできるので、外資系企業を目指している方に大変オススメの転職エージェントです。
【まとめ】外資系企業の特徴は良くも悪くも成果主義
いかがでしたでしょうか、今回は「外資系企業の特徴や日本企業との違い」を解説しました。
- 海外企業が100%出資して日本に設立した会社や、日本と共同で設立した会社を「外資系企業」と呼ぶ。
- 外資系企業には、「年次・年齢に関係ない成果主義」「給与水準が高め」「終身雇用を前提としない雇用」などの特徴がある。
- 外資系企業には、「即実行に移せる仕事のスピード感」「ワークライフバランスがとりやすい」などのメリットがある。
- 外資系企業に向いているのは、自己管理力、キャリアに対しての能動的な姿勢、考え方の柔軟性を兼ね備えている人。
外資系企業は日本企業とはまったく違う特徴や文化があることが多いので、「転職するには一歩踏み出せない」という人も多いですよね。
そんなときは外資系企業に強い転職エージェント、ロバート・ウォルターズに相談をしてみるのもよいでしょう。
外資系企業の転職のノウハウをもっているので、求人選びから選考についてのアドバイスももらえますよ。
- 監修者:石峰朱実(キャリア・コンサルタント)
- 各種学校、公共事業にて主に就職支援を担当。また転職エージェントでの面接指導にもあたっており、人材業界での10年の勤務経験も含め、就転職支援では20年超のキャリア。>>詳細はこちら