就活の軸とは?就活成功者が実践した見つけ方や面接での伝え方(例文)を紹介

「就活を成功させるために、必要なことってなんだろう?」

就活を控えた学生の皆さんは、誰しもこの悩みを抱えていることでしょう。

その問いに対して1つの明確な答えを述べるなら、「就活を成功させるためには、就活の軸を確立させることが必須」ということ。

「そもそも、就活の軸って何?」

「就活の軸の見つけ方、作り方がわからない…」

「ESや面接で就活の軸について答えるときに、注意すべきことを教えて!」

迷える就活生の皆さん、ご安心を。

この記事を読めば、就活の軸とは何か、就活の軸の見つけ方や作り方、そしてESや面接で就活の軸について答えるときのポイントをすべてを理解することができますよ。

4社内定した就活の先輩の体験談をすぐに読む

目次

そもそも、就活の軸とは?

「就活の軸って何?」と考える若い男性

そもそも、就活を成功させるために大切だという「就活の軸」とは、一体何なのでしょう。

就活の軸とは、「志望する業界や企業を選ぶにあたって、最も重視する基準」のことです。

具体的には、「グローバルに働きたい!」「地域に貢献したい!」などの基準や価値観が、就活の軸にあたります。

ESや面接では、「あなたが企業を選ぶときの基準は何ですか」という聞かれ方をする場合もありますが、就活の軸とほとんど同義なので、同じ内容を答えればOKです。

就活の軸と志望動機の違い

ここまでの内容だけでは、就活の軸についてぼんやりとはわかっても、志望動機との違いがよくわからないという人がいるかもしれません。

そこで、ここからは就活の軸と志望動機の違いについて説明します。

その違いは大きく分けて「生起する順序」と「対象となる企業の数」の2つあります。

まず1つ目は「生起する順序」です。

一般的に、就活の軸が固まってから特定の企業の志望動機を考えつくことはあっても、特定の企業の志望動機を考えついてから、就活の軸が固まることはほとんどありません。

その証拠に、志望動機が出来上がるまでの流れを明示すると、以下の通りになります。

  1. (様々な業界、企業に共通する)自分の就活の軸を見つける

  2. 就活の軸と合致する企業を見つける

  3. 自分の就活の軸とその企業の事業内容、事業体制等が合致していることを根拠に、志望動機を述べる

就活の軸が固まってから、志望動機が出来上がることがわかると思います。

また、2つ目の大きな違いは、「対象となる企業の数」です。

就活の軸は複数の業界や企業にまたがって向けられたラブレターである一方、志望動機は1つの企業に向けられたラブレターであるという違いがあります。

例えば、「世界を舞台に働きたいから、グローバルメーカー、商社、海運会社を志望しています」は就活の軸で、「世界を舞台に働けるから、〇〇商社を志望しています」は特定の企業への志望動機にあたります。

より俗っぽい例えをするのであれば、「ショートカットで笑顔が素敵な女性が好き」というのが就活の軸にあたり、「ショートカットで笑顔が素敵だから、女優の〇〇さんが好き」というのが志望動機にあたるでしょう。

志望動機についてもっと詳しく知りたい方はこちら

企業が学生に就活の軸を聞いてくる2つの理由

2人の男性面接官と、緊張気味で面接を受ける若い男性

さて、そんな「就活の軸」なのですが、就活の面接で聞かれないことのほうが少ないくらい、面接で頻出な質問です。

それほどまで多く質問するのであれば、企業側にも「就活の軸」を学生に聞くメリットが何かしらあるはず。

それでは、就活の軸について企業が深く掘り下げてくる理由は何なのでしょうか。

1. 明確な仕事選びの基準を持って自社を受けているのかを判断するため

1つ目は、「明確な仕事選びの基準を持って自社を受けているのかを判断するため」です。

例えば、「三菱UFJ銀行、野村證券、東京海上日動、三菱商事、トヨタ自動車、新日鐵住金、三菱地所、電通、読売新聞、JAL、JR東海を受けます!」という就活生がいたら、皆さんはどう思いますか。

おそらく、「何を考えて企業選びをしているのかわからない…」という感想が残るのではないでしょうか。

まさにそのとおりです。

そのような感想は当然企業の面接官も抱くため、超一流企業をたくさん受けたところで、就活の軸を明確に答えられなければ、「ミーハーだ」という烙印を押されて選考に落ちてしまいます。

どの会社も、業界や企業について理解を深めていて、仕事に熱い想いを持っている学生に入社してほしいと思っているため、自分の中で確固たる就活の軸を持っていないと、就活はうまくいかない可能性が高いのです。

2. 企業と学生の間のミスマッチを防ぐため

2つ目は、「企業と学生の間のミスマッチを防ぐため」です。

もし、就活の軸を持っていなかったり、就活の軸が会社と合っていなかったりする学生が入社した場合、その学生が早期離職してしまう可能性はかなり高いですよね。

これは、企業にとっても学生にとっても、喜ばしいことではありません。

そこで、ESや面接の段階で学生に「就活の軸」を聞くことで、企業は学生の志向と自社の事業内容や社風が合っているのかを判断するのです。

その結果、企業と学生の間でミスマッチが起こる確率はかなり低くなるため、どちらにとってもメリットとなります。

学生が就活の軸を考えておくべき3つの理由

とはいえ、「就活の軸」に関するメリットは、企業側にのみあるわけではありません。

学生が就活の軸を考えておくことにも、十分すぎるほどのメリットがあります。

全部で3つあるので、1つずつ順を追って紹介します。

1. 自分にあった業界、企業を見つけるため

1つ目は、「自分にあった業界、企業を見つけるため」です。

もし就活の軸を固めないままに入社してしまえば、「思い描いていた環境と違う」、「やりたい仕事ができない」とストレスを感じてしまうことが考えられます。

これではイキイキと働くことができませんよね。

そこで、就活の軸を自分の中で確固たるものとして、自分のやりたいことや能力、適性を見つめ直し、自分にあった仕事を見つけることが大切なのです。

2. 興味のある業界、企業を絞ることが出来るため

2つ目は、「興味のある業界、企業を絞ることが出来るため」です。

もし就活の軸を持っていないと、どの業界・企業も魅力的に思えてしまいますよね。

その結果、志望業界がバラバラにもかかわらず、エントリーした企業の数だけはどんどんと増えていき、結果的に非効率的な就職活動になってしまいます。

しかし、自分の就活の軸を持つと、その軸に合致しない業界や企業は選択肢から外すことが出来るため、興味のある業界・企業への対策に専念することができ、就活をスムーズに進められるのです。

3. 一貫性のあるアピールをするため

3つ目は、「一貫性のあるアピールをするため」です。

1つの業界のみを受けている場合はいいかもしれませんが、もし複数の業界にまたがって選考を受けている場合、例えば「うちのような金融業界以外に、なぜメーカーも受けているの?」と突っ込まれてしまうかもしれません。

このときに口ごもってしまうようでは、「考えがしっかりしていない」とみなされて、選考に落ちてしまいます。

そこで、複数の業界に共通する「就活の軸」を用意しておけば、一貫性をもたせた自己PRをすることが可能です。

また、志望動機を語るときに、「私は〇〇という軸で就職先を選んでおり…」と述べると、より説得力が増しますよ。

就活の軸の作り方

ここまでで、就活の軸を考えておくことの重要性はわかっていただけたと思います。

ただ、「どうやったら就活の軸なんて作れるんだよ!」と怒り出してしまう人がいるかもしれません。

そこで、ここからは就活の軸の作り方について、「自己分析」「業界研究・企業研究」「建前の軸と本音の軸を作る」の3つのステップに分けて説明します。

1. 自己分析

「就活の軸を作りたいのに自己分析?」と思った人がいるかも知れませんが、自己分析を侮ってはいけません。

就活の軸を作るためには、自己分析は必須です。

なぜなら、「自分がどういう仕事をしたいのか」を決めるためには、「自分はどんなことに喜びを感じているのか」「自分は何が得意なのか」を把握している必要があるからです。

それを把握するために、今までの人生で自分が経験してきたことを振り返って、ノートやパソコンに全て書き出してみましょう。

自分は何が得意なのか、どんなときに達成感を覚えたのか、何が周りと比べて苦手だったのか、どんなときに辛かったのかを幾度となく自問自答するのです。

また、何かに打ち込んだ経験があるのであれば、「なぜ頑張ることができたのか」「そのモチベーションの源泉は何か」も考えてみましょう。

そうすることで、「自分はこういう仕事をしたい」や「こういう仕事は絶対にしたくない」という思いが浮かび上がってくるはずです。

自己分析について詳しく知りたい方はこちら

2. 業界研究・企業研究

業界研究と企業研究も、就活の軸を固める上では必須です。

世の中にどのような業界・企業があるのかを知らなければ、自分の働きたい業界や企業は見つからず、就活の軸も確立しようがありませんよね。

就職四季報などの書籍や、Vorkersなどのネットの口コミサイトを使って情報収集しましょう。

なかでも「OB訪問」は、業界研究・企業研究をする上で最も有用な方法です。

OB訪問では、自分が興味を持っている業界で働く先輩に話を聞くことができ、仕事の話はもちろん、プライベートの話や業界の裏事情の話もしてもらえます。

いろいろな先輩から話を聞くことで、人生のロールモデルを見つけることが出来るかもしれませんし、就活の軸も固まっていくこと間違いなしです。

業界研究について詳しく知りたい方はこちら

企業研究について詳しく知りたい方はこちら

3. 建前の軸と本音の軸を作る

自己分析と業界研究、企業研究を経たことで、「自分はどんな仕事を望んでいて、どんな仕事を望んでいないか」ということがわかってきているはずです。

そこで最後に、「建前の軸と本音の軸を作る」段階に移りましょう。

建前の軸とは「面接で語ることができる就活の軸」のことで、これは「どんな仕事をしたいか」「仕事を通して誰にどんな価値を提供したいか」ということに関する、自身の優先事項です。

本音の軸とは「面接では語れないような就活の軸」のことで、これは会社の待遇や社会的地位に関する、自身の優先事項です。

例えば前者は、「ものづくりに携わりたい」「文系社員が中心となってビジネスを回したい」「海外に日本の良さを発信したい」等が挙げられます。

一方後者は、「30歳で年収1000万円以上は絶対ほしい」「転勤のある企業は嫌だ」「とにかくモテたい」等が挙げられます。

どうしてもやりたいことがない人は、本音の軸から企業を絞っていくのも良いかもしれませんね。

就活の軸の例文

就活の軸の作り方についてはお分かりいただけたと思いますが、具体的にどのような就活の軸があるのかまだピンとこない、という人もいるのではないでしょうか。

そこで、過去の先輩たちが使っていた就活の軸の例文を紹介しましょう。

1.「建前の軸」編

まず、「建前の軸」編から見てみましょう。

  • 「海外事業に携わりたい」
  • 「専門性を活かしたい」
  • 「尊敬できる経営者のもとで働きたい」
  • 「一緒に働きたいと思える社員さんが多い」
  • 「お客様の悩みを解決したい」
  • 「形のないものに価値を見出したい」
  • 「日本を元気にしたい」
  • 「成長市場で働きたい」
  • 「将来の起業を見据えて働きたい」
  • 「仕事での裁量権がある」
  • 「人々の生活を支えられる」
  • 「成長スピードが早く、実力主義」

自らが実現したい「将来の夢」に関して、熱く語っているのが分かります。

2.「本音の軸」編

続いて、「本音の軸」編です。

本音の軸は、ある意味では建前の軸より重要ですが、決してESや面接で答えないようにしてくださいね。

  • 「給料の高い仕事がしたい」
  • 「転勤のない仕事がしたい」
  • 「大手企業が良い」
  • 「旧財閥系が良い」
  • 「合コンでモテたい」
  • 「安定した企業で働きたい」
  • 「ワークライフバランスを取りたい」
  • 「残業が少ない企業が良い」
  • 「住宅補助や時短勤務など、福利厚生が優れている」

こちらの「本音の軸」ですが、胸の奥にしまっておくだけならいいのですが、一度外に出してしまうと、一気に評価が落ちてしまいます。

たしかに、条件面から業界や企業を絞るという選択は良いです。

ただ自身の就活の軸として、「給料が良い企業」「残業が少ない企業」と面接で答えると、「待遇面しか見ておらず、働く意欲が感じられない」と企業から思われてしまい、面接ではウケがよくありません。

そのため、「本音の軸」を面接で言うのは控えましょう!(大切なことなので2回言いましたよ!)

面接では、就活の軸を「3つ」アピールしよう!

また、就活の軸を面接で伝えるときは、必ず複数の軸を話すようにしてください。

理想は、3つの就活の軸をスラスラと話せるようになることです。

その理由は、就活の軸が1つだと、その軸に合致する企業があまりにも多くなってしまうからです。

「その軸だったら、〇〇業界にも当てはまるんじゃないの?」と反論されたときに、何も言い返せなくなってしまいますよね。

また、就活の軸が5つを超えてくると、その就活の軸に合致する企業の数が絞られすぎてきますし、面接で話す時間も長くなってしまいます。

そのため、用意しておく就活の軸は3つ程度(3±1)が理想です。

「成長できる企業」という軸はNG!

また、「成長できる企業」や「人と関われる企業」というような就活の軸もNGです。

なぜならこれらの軸は、どの企業、業界であっても使い回せるような就活の軸だからです。

このような軸を語ってしまうと、「この学生は、表面的なことしか考えていないな」と思われてしまって、選考に落ちてしまいます。

より具体的で、いくつかの業界に絞れるような「就活の軸」を用意しましょう。

就活の軸をESや面接で伝えるときのポイント4つ

2人の男性面接官の前に座って明るく話す若い女性

就活の軸は、時々ESで聞かれることがあるものの、主に面接で問われます。

ESや面接で聞かれたときには、うまく答えて志望企業の内定を手繰り寄せたいですよね。

そこで続いては、就活の軸をESや面接で伝えるときのポイントを説明します。

1. 単刀直入に就活の軸を説明する

まず1つ目は、「単刀直入に就活の軸を説明する」ということです。

ESでも面接でも、相手に伝わりやすいように結論から話すというのが基本でしたね。

「私の就活の軸は3つあります。1つ目は~~、2つ目は~~、3つ目は~~」という流れで話すと、わかりやすく自分の言いたいことを伝えられますよ。

2. その軸を持つに至った理由を説明する

2つ目は、「その軸を持つに至った理由を説明する」ということです。

このときに意識すべきなのは、一般論に終始するのではなく、自分の過去の経験と紐づけて説明すること。

たとえば、以下の2つの文章があったとして、どちらのほうが印象に残りますか?

イ…「今後世界中でエネルギー問題が深刻になるとニュースで読んだので、その問題を解決するために、電力会社を志望している」

ロ…「バックパッカーとして東南アジアを回ったときに、何度も停電を経験し、社会インフラが日本ほど整っていないことを知った。この経験に強く衝撃を受けて、発展途上国の社会インフラ整備に寄与すべく、電力会社を志望している」

おそらく、95%の人は後者だと答えると思います。

イの文章は、ニュースで語られていた内容の受け売りであるため、語り手の人となりが見えてきません。

それに対してロの文章では、「バックパッカーとして世界中を旅していた」、「その経験から、社会インフラが整備されていない現状に問題意識を持った」という、語り手の価値観が色濃く反映されています。

つまり、イは誰にでも語れる内容ですが、ロは「その人にしか」語れない内容です。

だからこそ、ロの文章のほうが印象に残りやすいですし、面接官の心をぐっとつかめます。

3. 自分の就活の軸と志望企業の共通点を説明する

3つ目は、「自分の就活の軸と志望企業の共通点を説明する」ということです。

つまり、自分の就職活動の軸と志望企業の事業内容、組織体制などが合致することを説明すれば良いわけです。

  1. 私は〇〇という就活の軸を持っている

  2. 御社は〇〇である

  3. 私の就活の軸と御社の事業内容や組織体制が合致しているため、私は御社を志望している

この流れで話すことで、論理的に説明することができますよ。

4. 他の志望業界・企業について述べる

4つ目は、「自分の就活の軸に合致している、他の志望企業・業界について述べる」ということです。

こちらに関しては必ずしも言う必要はないので、聞かれたときに答えましょう。

万が一聞かれた場合には、「人々の生活を支えるという軸で金融業界と食品メーカーを志望していますが、目に見えない商材を扱って自身の人間力を試したいという理由から、金融業界を強く志望しています」というように、必ず面接先の業界や企業が第一志望だとアピールしてください。

ただ、就活の軸に合致しない業界や企業を受けている場合は、一貫性を疑われてしまう可能性もあるため、伝えないようにしましょう。

就活経験者Aくんが赤裸々に明かす!本音の軸3つと建前の軸3つ

 

菊地 絵理奈

いろいろ教えてくださって本当にありがたいのですが、どうしても就活の軸が思い浮かびません…!

新山 保

今回「悩める学生さんのために、少しでも参考になれば…」と、就活を経験したAくんがインタビューに応じてくれましたよ。是非参考にしてください。

Aくんのプロフィール
大学生Aくん

  • 志望業界
    B to Bメーカー、インフラ(電力、ガス、通信、物流)
  • 学歴
    関西の某国立大学文学部4年(19卒)
  • 大学での活動
    音楽サークル(役職あり)、アルバイト(飲食店、塾講師)
  • 就活の軸
    「ものづくりを通して人々の生活を広く支えられること」
    「海外で活躍できるチャンスがあること」
    「会社や社員さんの雰囲気と自分の雰囲気が合うこと」
  • 内定先
    素材メーカー、中間部品メーカー、機械メーカー、物流会社の計4社
大学生 Aくん大学生 Aくん

こんにちは、Aです。
私自身も就活の軸がなかなか決まらずに焦った記憶があるので、悩んでいる皆さんの気持ちがよくわかりますよ。
そこで、少しでも皆さんの不安や悩みを解くために、私の就活の軸について説明したいと思います。

新山 保

Aくん、よろしくお願いします。
それでは早速、就活の軸を固めて、志望する業界や企業を決めるまでの流れを解説してもらえませんか。

大学生 Aくん大学生 Aくん

はい、わかりました。
ただ、正直な話、私の就活は褒められたものじゃなかったんですよね。
本音を言うと、「そこまでバリバリ働きたいわけではないし、やりたい仕事も特にない」という感じでしたから(笑)

新山 保

そうだったんですね。そんな中、どうやって就活の軸を固めていったのでしょうか。

大学生 Aくん大学生 Aくん

私はずばり、「消去法」で就活の軸や志望業界を決めていました。
そして、「本音の軸」で業界・企業を絞り、「建前の軸」(多少は本音が入っていますが、本音の軸ほど強いものではありません)を面接のときに語るという形で、2つの軸を使い分けて就活をしていました。

新山 保

「本音の軸」と「建前の軸」をうまく使い分けたんですね。
それでは、それぞれの具体的な内容を説明してもらっていいですか?

本音の軸1.「ある程度のお給料がもらえること」

大学生 Aくん大学生 Aくん

まず、本音の軸から説明しますね。
私は3つの本音の軸を持っていて、そのいずれも絶対に譲れないと考えていました。
1つ目は、「ある程度のお給料がもらえること」です。

新山 保

ある程度ってのはどれくらいですか?30歳で1000万円くらい?(笑)

大学生 Aくん大学生 Aくん

いや、そんなにもらえなくてもいいです(笑〉
ただ、将来に結婚、子育て等が控えているのを考えると、40歳で最低でも700万、できれば800万円は稼ぎたいと考えていました。
そのため「平均年収700万円以上」というボーダーを設けて、そのボーダーに達さない業界、企業はハナから受けないことを決めました。
業界名を上げるとするなら、小売・サービス業(教育、飲食、介護など)です。

新山 保

なるほど、非常に現実的かつ冷酷な選択をしましたね。2つ目の軸は何ですか?

本音の軸2.「営業ノルマがきつすぎないこと」

大学生 Aくん大学生 Aくん

2つ目の軸は、「営業ノルマがきつすぎないこと」です。

新山 保

なぜそのように考えたのですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

私自身、そこまで体育会系の人間ではなく、かつメンタルもあまり強い方ではないため、「営業ノルマが厳しく、ノルマ未達では激しく叱責される」ような業界は全く合わないと感じていました。

新山 保

なるほど。

大学生 Aくん大学生 Aくん

そのため、形のない商材を扱っていて他社との差別化がしにくく、個人相手の厳しい営業を強いられる金融業界(銀行、証券、生保、損保など)、消費者相手に高額な商品を営業しなければいけない不動産業界と住宅メーカーは、志望業界から消去しました。

新山 保

就活生に人気な金融業界をここで外したのは意外でした。
3つ目の軸は何でしたか?

本音の軸3. 「ワークライフバランスがある程度保てること」

大学生 Aくん大学生 Aくん

3つ目の軸は、「ワークライフバランスがある程度保てること」です。
なんというか、ゆとり世代丸出しですね笑

新山 保

なぜそのように考えたのですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

私自身、仕事に対してやりがいや誇りを持って真剣に取り組みたいと思ってはいるのですが、それと同じくらい、仕事以外のプライベートな時間を充実させたいという考えもあったんです。
つまり、労働時間が長すぎるのは嫌だったんですね(笑)

新山 保

ふむふむ。

大学生 Aくん大学生 Aくん

そこで、昼夜問わずに仕事をするなど、時間的拘束の厳しいマスコミ業界(TV、新聞、広告、出版)とコンサル業界、そして四季報を読んで残業時間が長いと感じた建設業界は、選択肢から外しました。

新山 保

かなり選択肢から外しましたね。
もう選択肢から消えた業界は、小売、サービス、金融、不動産&住宅メーカー、マスコミ、コンサル、建設ですね。
その一方でまだ残っているのは、メーカー、商社、IT、インフラ(電力・ガス)、物流(空運・海運・陸運)くらいでしょうか。
ここからは、どのようにアプローチしていきましたか?

建前の軸1.「目に見える形で、人々の生活を支えられること」

大学生 Aくん大学生 Aくん

ここからは、「建前の軸」を使って、それに合致する業界を絞り込んでいきました。
1つ目の軸は、「目に見える形で、人々の生活を支えられること」というものです。

新山 保

なぜその様に考えるようになったのですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

まず、「目に見える形で」に関しては、「目に見える商材のほうが、その商材に愛着や誇りを持って仕事ができそう」という価値観が私の中にあったんです。
ただ、その価値観は、もともと自覚していたわけではなくて、いろいろな業界で働く人の話を聞いていくうちに見つかったものでした。
この例からも、多くの人の話を聞くことが、自身のキャリアを考える上で非常に有益であることがわかると思います。

新山 保

ふむふむ。

大学生 Aくん大学生 Aくん

また、「人々の生活を支えられること」という点に関しては、高校の文化祭を裏方として運営したり、大学のサークルで合宿係を務めて100人以上のサークル活動を支えたりという経験から導き出されました。
自分自身、「縁の下の力持ち」(月並みな表現ですが笑)の立場に回ることが多く、その立場でみんなをサポートすることにやりがいを感じていたんです。
以上の理由から、形のある商材を有していないIT業界、インフラ業界、物流業界は選択肢から外れることになりました。

新山 保

なるほど。2つ目の軸は何でしたか?

建前の軸2.「海外で働くチャンスが多く、提案型の営業ができる企業向け(BtoB)の仕事であること」

大学生 Aくん大学生 Aくん

2つ目の軸は、「海外で働くチャンスが多く、提案型の営業ができる企業向け(BtoB)の仕事であること」です。

新山 保

なぜそのように思うようになったのですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

自分自身、海外に行った経験はほとんどないのですが、「だからこそ新しい環境に飛び込んで、社会人として成長したい」と考えて、海外勤務できる企業を希望しました。

新山 保

素晴らしいですね。

大学生 Aくん大学生 Aくん

また、個別指導塾のアルバイトで、「生徒に応じて教え方を変えたところ、生徒の成績が大幅に上がった」という経験をしたことから、既成品をただ売るのではなく、相手のニーズに合わせて柔軟に商材を提案することができる仕事をしたいと考えました。

新山 保

その結果、どのような決断をしたんですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

業界研究をした結果、BtoCのメーカーはBtoBのメーカーと比べて海外売上比率が低く、かつ提案できる商材の幅が狭いと感じたため、BtoCメーカー(自動車、電機、日用品など)は選択肢から除外しました。

新山 保

残ったのは、BtoBメーカーと商社ですね。最後の軸は何でしたか?

建前の軸3.「社風が自分の性格と合っていること」

大学生 Aくん大学生 Aくん

3つ目の軸は、「社風が自分の性格と合っていること」です。

新山 保

具体的には、どういう社風が良かったのですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

「穏やかで落ち着いているが、仕事に対しては真剣で向上心のある人が集まっている環境」を理想としていました。
先述したとおり、私はどちらかというと非体育会系の人間ですので、我が強かったり、闘争心をメラメラと燃やしていたりする人よりは、穏やかで優しい人に惹きつけられるということがあります。

新山 保

そうなのですね。

大学生 Aくん大学生 Aくん

ただその一方で、大学受験やサークル活動を通して、仲間と切磋琢磨して一つの目標を達成することにも喜びを感じていたので、穏やかで優しいだけではなく、真面目で向上心のある人と一緒に働きたいと考えていました。

新山 保

続けてください。

大学生 Aくん大学生 Aくん

そこで、商社とメーカーの社員さんや内定者さんの話を聞きました。
その結果、商社の社員さんや内定者さんたちは、仕事に真剣で向上心があり、ギラギラとした熱意やパワフルさを持ち合わせている事がわかりました。
非常に魅力的な方ばかりだなと感じましたが、相性という面に関しては、「この人たちとうまくやっていけるのかな」と一抹の不安を感じたことを覚えています。

新山 保

メーカーの社員さんと話したときは、どうだったんですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

一方メーカーに関しては、理系出身の技術者が多い業界ということもあって穏やかで優しい社員さんが多く、自分と雰囲気は合っているのではないかという印象を受けました。
そして、OB訪問やリクルーター面接の際に、社員さんが自分の仕事を熱く語っていらっしゃる様子を見て、「この人達と一緒に働きたい」と強く思ったことを覚えています。

新山 保

その結果、Aくんはどのような決断をしましたか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

商社を選択肢から外し、BtoBメーカー(素材、中間部品、機械など)を第一志望業界とすることを決めました。

就活の軸を固める上で、Aくんが大切にしていたこと

新山 保

そうだったんですね。ちなみに、Aくんが就活の軸を固めるときに大切にしていたことは何ですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

私が大切にしていたことは2つあります。
1つ目は、「自分の本音ととことん向き合う」ということです。

新山 保

どのようなことなのか、具体的に教えてください。

大学生 Aくん大学生 Aくん

就職活動の面接では、「自己成長したい」「海外でバリバリ働きたい」と耳障りのいい言葉を並べなければいけないので、ともすれば「自分の本音と建前が混ざり合ってよくわからない」という状況に陥ってしまうかもしれません。

新山 保

ふむふむ。

大学生 Aくん大学生 Aくん

しかし、面接では「バリバリ働きたい」と言っている一方で、本心では「ワークライフバランスを保ちたい」と考えている人がいた場合、運よく志望していた企業に入社できたとしても、入社後にミスマッチを起こしてしまうことはほぼ間違いないでしょう。
これでは、企業にとっても学生にとっても、不幸せになってしまいますよね。

新山 保

たしかにそうですね。

大学生 Aくん大学生 Aくん

そこで私は、自分の醜い本音とも向き合ってみることを大事にしていました。
具体的には「ある程度のお金はほしい」「きつい営業ノルマで詰められるのは嫌だ」「ワークライフバランスを保てないのは嫌だ」ですね(笑)

新山 保

入社後のミスマッチを防ぐために、とことん自分の本音と向き合ったということですね。
2つ目は何ですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

2つ目は、「その就活の軸に至った根拠を明確にする」ということです。

新山 保

なぜそのようなことをする必要があるのですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

就活の軸に至った根拠を明確にしておかないと、他の受験者と自分を差別化できないからです。
例えば、「私の就活の軸は金融機関で働くことです」と答えたとしましょう。
このとき、面接官は「なぜそう思ったんだろう、それを知りたいな」と思うはずですよね。

新山 保

たしかにそうですね。

大学生 Aくん大学生 Aくん

その面接官は、同じように金融機関に興味を持って面接を受けに来た多くの学生の話を聞いているわけで、「私の就活の軸は金融機関で働くことです」と答える学生の話など、聞き飽きているはずです。
そのため、面接官は就活の軸自体にはさほど興味がなく、そこに至るまでの経緯や背景に関して、より興味があります。
そこで、その就活の軸に至った根拠を明確に伝えて、面接官に「自分」という人間を印象づける必要があるのです。

新山 保

経緯や背景を伝えるために、どうしたんですか?

大学生 Aくん大学生 Aくん

そこで私は、「自分は~~を就活の軸にしています。なぜなら、過去に〇〇という経験をして、△△と思うようになったからです」と述べていました。
自身の経験に基づいて語ることで、面接官に自分の人となりや将来のビジョンを伝えることを意識していたのです。
その甲斐あってか、面接で落とされることはそう多くはなく、何度か褒められることもあったので、この戦略は間違っていなかったかと思います。

新山 保

わかりました、Aくんどうもありがとうございました。

就活の軸を固める上で大切なこと

グッドポーズをする若い男性

「就活の軸」についてここまでいろいろ話してきましたが、最後にお伝えしたいことが2つあります。

1つ目は、「学生の就活の軸と、志望企業の事業内容や社風などがマッチしていてはじめて、内定をもらえる」ということです。

確固たる就活の軸を持っているのにもかかわらず選考に落ち続けているのであれば、もしかしたら、その就活の軸と志望する業界や企業の相性が悪いのかもしれません。

就活がどうもうまくいかない場合には、志望業界や志望企業を変えてみるというのも一つの選択肢です。

2つ目は、「就活の軸は変化していく」ということです。

いろいろな先輩から話を聞いたり、今まで知らなかった業界と触れたりすることで、自分の中の就活の軸が変わってくることがあります。

なかなか就活の軸が固定できなくて焦ってしまうかもしれませんが、安心してください。

就活の軸はともすれば変わっていくものですし、その過程を経て、ますます磨かれていくものなのです。

新山 保

それでは、自分だけの「就活の軸」を見つけて、就活を有利に進めましょう!

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