メーカー業界と聞いて、皆さんが想像するのは、どのような企業名でしょうか。
トヨタ自動車?日立製作所?味の素?
たしかに、自動車メーカーや食品メーカーなど、我々消費者に向けた製品を売っているメーカーには、親近感がわきますよね。
みんながよく知っている有名な会社に就職したいという就活生も多いと思います。
ただメーカー業界には、一般消費者向けに商品を作っている企業以外にも、企業向けの商品を作っている企業もあるんです!
メーカー業界についてしっかり業界研究すれば、あなたがまだ知らない魅力的な企業に出会えるかもしれませんよ。
今回は知れば知るほど奥深い、メーカー業界について徹底解説します!
目次
そもそもメーカー業界ってどんな業界?
メーカー業界とは、「私たちの身の回りにある、ありとあらゆるものを作っている業界」のことで、製造業とも言われます。
私たちが身につけている洋服、今あなたが使っているスマートフォン、街を走っている自動車など、私たちの身の回りにあるモノはすべて、この世界の何処かのメーカーが作ったものなのです。
また、B to C(一般消費者向け)のものだけでなく、B to B(企業向け)の商品を作っている会社もあります。
メーカー業界には4つの種類がある
作っている商材の種類や、商品を売っている顧客によって、メーカー業界は4つの種類に分類することができます。
それは、素材メーカー、部品メーカー、既製品メーカー(B to B)、既製品メーカー(B to C)の4つです。
「B to B」とは、「Business to Business」という言葉の略語で、「企業間取引」という意味です。
すなわちB to Bのメーカーは、企業向けの製品を作っているわけです。
素材メーカー、部品メーカーも基本的にはB to Bなので、既製品メーカー(B to B)も合わせると、4種類のうち3種類はB to Bメーカーになります。
このことから、皆さんが想像していた以上に、B to Bメーカーの市場規模は大きいということがわかっていただけると思います。
また、「B to C」とは、「Business to Consumer」の略語で、これは「企業と消費者の間の取引」を指します。
B to Cのメーカーは、消費者向けの製品を作っているということです。
例えば食品や化粧品など、私たちの手元に直接届くような製品を作っている企業が、B to Cメーカーに当たります。
僕はてっきり、メーカーと言うとB to Cしかないものだと思っていました。
気になるので、1つ1つ解説してください!
わかりました、まずは素材メーカーから解説しましょう。
1. 素材メーカーと平均年収
素材メーカーとは、最終製品を作るために必要な素材(化学素材、樹脂、ゴム、鉄鋼、非鉄金属、紙、ガラスなど)を作っている企業のことを指します。
製品の特性上、顧客は基本的に企業なので、B to Bメーカーの一種です。
鉄板や化学素材は、スーパーでは売っていませんよね。
代表的な企業としては、化学メーカーの三菱ケミカル(995万円)や旭化成(928万円)、繊維メーカーの東レ(880万円)や帝人(947万円)、鉄鋼メーカーの新日鐵住金(1,020万円)やJFEスチール(933万円)、そしてガラスメーカーのAGC(1,095万円)などが挙げられます。
※企業名(平均年収)
2. 部品メーカーと平均年収
部品メーカーとは、素材メーカーが製造した素材を加工して、部品(自動車部品、電子部品など)を作っているメーカーのことを指します。
部品メーカーも基本的には企業に向けて製品を作っているので、B to Bメーカーです。
代表的な企業としては、自動車部品メーカーのデンソー(812万円)やブリヂストン(865万円)、電子部品メーカーの京セラ(802万円)や村田製作所(744万円)が挙げられます。
※企業名(平均年収)
素材メーカーと比べれば、まだ馴染みのある企業が多いかもしれませんね。
3. 既製品メーカー(B to B)と平均年収
既製品メーカーとは、素材・部品メーカーが生産した半製品(素材や部品など、製造途中にある製品のこと)を組み立てることで、既製品を作っているメーカーのことを指します。
ここで紹介するのは、消費者向けの製品ではなく、企業向けの製品を作っている既製品メーカーです。
ただ「既製品」と言われたら、自動車や電化製品など、消費者向けの商品しか思い浮かばないという人も多いかもしれませんね。
そこで、企業向けの既製品の1つである、工作機械を例に挙げて説明しましょう。
工作機械とは、金属や木材などの素材を削ったり、穴を開けたり、磨いたりして、素材から部品を作る機械のことです。
スマートフォンから自動車に至るまで幅広い商品の製造を支えているため、工作機械は「機械を作る機械」「マザーマシン」と呼ばれています。
さてこの工作機械ですが、一般消費者が購入したところで、使いみちは全くなく、工場現場でこそ一番輝く製品だと言えます。
そのため工作機械は、消費者向けの既製品ではなく企業向けの既製品なのです。
このように、企業向けの既製品を作っているメーカーは多くあります。
代表的な企業としては、建設機械メーカーのコマツ(782万円)、工作機械メーカーのDMG森精機(767万円)、重工業メーカーの三菱重工業(845万円)や川崎重工業(853万円)、電機メーカーのキーエンス(2,088万円)などが挙げられます。
※企業名(平均年収)
4. 既製品メーカー(B to C)と平均年収
最後に、消費者向けの既製品を作っている企業について紹介します。
B to Cの既製品メーカーが作っている製品は、電化製品や自動車、食料品などで、私たち消費者の生活に密着したものが多いです。
そのため、知名度は今まで紹介した3種類のメーカーと比べてもダントツに高く、顧客は消費者もしくは既製品を売る小売店になります(B to C)。
また化粧品メーカーや医薬品メーカーは、自社で素材を開発し、それを組み立てることで製品を作っています。
このように、自社で原料加工から製品化まで一貫して行うメーカーのことを、「自社生産・加工メーカー」と呼びます。
そして既製品メーカー(B to C)の代表的な企業としては、電機メーカーの日立製作所(872万円)や三菱電機(792万円)、自動車メーカーのトヨタ自動車(831万円)や本田技研工業(808万円)、飲料メーカーのサントリーホールディングス(1,127万円)やアサヒビール(992万円)、食品メーカーの明治(755万円)や味の素(945万円)、化粧品メーカーの資生堂(723万円)、医薬品メーカーの武田薬品工業(1,038万円)やアステラス製薬(1,079万円)などが挙げられます。
※企業名(平均年収)
B to BメーカーとB to Cメーカーの違い
ここまで、一口にメーカーと言っても、素材メーカー、部品メーカー、既製品メーカー(B to B)、既製品メーカー(B to C)の4つに分かれていることを説明してきました。
この4種類をさらに大雑把に分類すると、B to Bメーカー(素材メーカー、部品メーカー、企業向け既製品メーカー)か、B to Cメーカー(消費者向けメーカー)の2種類に分ける事ができます。
B to BメーカーとB to Cメーカーではビジネスモデルも異なってくるので、ここからはそれぞれの違いについて、解説していきましょう。
B to BメーカーとB to Cメーカーの違いについて、まとめたものが以下の表です。
B to Bメーカー | B to Cメーカー | |
---|---|---|
対象顧客 | 人、組織(固定的) | 人(不特定多数) |
営業スタイル | ルート営業がメイン | 新規開拓営業がメイン |
購入決定者 | 複数 | 個人 |
購入決定までの時間 | 長い | 短い |
購入決定の要因 | 論理(安全性、性能 etc) | 感覚(ブランド、価格 etc) |
1契約あたりの単価 | 高い | 安い |
リピート注文の割合 | 高い | 低い |
宣伝広告費の比重 | 低い | 高い |
B to BメーカーとB to Cメーカーでは、結構違うんですね。
B to Bメーカーのビジネスモデル
B to Bメーカーは、対象顧客は企業で、その相手も比較的固定されているため、既存の顧客のもとに営業をかけるルート営業という営業スタイルであることが多いです。
また商品の購入にあたっては、複数の購入決定者の合意が必要なため、購入が決定するまで、非常に時間がかかります。
顧客は、製品の安全性、コスト、性能など、様々な側面を検討し、製品を購入するか否か、論理的に決断を下すのです。
ただ、1契約あたりの単価が高く、リピート注文の割合も高いため、一度契約が結ばれれば、安定した収益が見込まれます。
そのためB to BメーカーはB to Cメーカーと比較して、経営基盤が安定しているというメリットがあります。
ですが企業相手に製品を売っていることから、一般消費者向けの広告宣伝を行っていないため、B to Cメーカーと比較して知名度が低いという特徴もあります。
「知名度の高い企業で働きたい、モテたい!」という人にとっては、その点はデメリットかもしれませんね(笑)。
B to Cメーカーのビジネスモデル
一方B to Cメーカーのビジネスモデルは、B to Bメーカーとかなり異なってきます。
B to Cメーカーの場合、対象顧客は不特定多数の個人で、営業スタイルも1つでも多くの小売店に自社製品を置いてもらうために、新しい顧客をどんどん開拓していく新規開拓営業であることが多いです。
商品の購入を決定するのは個人であるため、購入に至るまでの時間も短いです。
また顧客が製品購入を決定するときの要因は、「この製品安い!」「このパッケージ可愛い!」「このブランドのCMが好き!」といった、感覚であることが多いです。
1契約あたりの単価がB to Bメーカーと比べて安く、リピート率も低いことから、1人でも多くの消費者に自社の製品を知ってもらうこと、自社のファンになってもらうことを狙って、一般消費者向けの広告宣伝に多額の費用をかけています。
それゆえに会社の知名度が高い点、自分たちの作った商品が店舗に並んでいるのを見ることができる点は、B to Cメーカーの魅力ですね。
B to BメーカーとB to Cメーカーに向いている人の違い
ここまでの説明で、B to BメーカーとB to Cメーカーのビジネスモデルの違いについては、わかっていただけたかと思います。
はい、詳しく説明してくださったので、大丈夫です。
ただこれだけビジネスモデルが異なるということは、同じメーカーであっても、B to BメーカーとB to Cメーカーでは、企業が求める人物像も変わってきますよね。
たしかにそうですね…
そこでここからは、B to Bメーカーに向いている人、B to Cメーカーに向いている人、それぞれの特徴について、解説していきます!
B to Bメーカーに向いている人の特徴
まずはB to Bメーカーに向いている人の特徴について説明していきます。
全部で3つあるので、1つずつ紹介しましょう。
1. 顧客と長期的な信頼関係を築くことができる人
まず顧客と長期的な信頼関係を築くことができる人は、B to Bメーカーに向いているでしょう。
なぜなら先述の通り、B to Bメーカーは既存顧客と長期的な取引をすることが多いからです。
顧客と長期的な信頼関係を築くことができなければ、契約を打ち切られてしまいますよね?
「狭く深い」人間関係を築いて、顧客をつなぎとめる能力が求められます。
2. 勉強熱心で論理的な人
勉強熱心で論理的な人も、B to Bメーカーに向いています。
なぜなら企業を相手に自社製品について説明しなければいけないため、文系社員であっても、その製品についての理系知識を身につけている必要があるからです。
そのため、自社製品について熱心に勉強できる人材が求められます。
そして企業を相手にわかりやすく説明する必要があるため、論理的思考力も求められるでしょう。
3. 縁の下の力持ちとして働くことができる人
縁の下の力持ちとして働くことができる人であれば、B to Bメーカーの仕事にやりがいを感じることができるでしょう。
B to Bメーカーが扱っている商材は、素材、部品、機械など、言ってしまえば地味なものが多いです。
そのため「自分が中心でいたい!」「目立ちたい!」という人は、もしかしたらB to Bメーカーの仕事にやりがいを感じられない可能性があります。
「素材を安定供給してモノづくりを支えたい」
「新素材、新部品を開発することで、最終製品のイノベーションを陰からサポートしたい」
こにょうに考えられるような人であれば、B to Bメーカーの仕事にやりがいを感じて、輝くことができるでしょう。
B to Cメーカーに向いている人の特徴
続いては、B to Cメーカーに向いている人の特徴について説明していきます。
こちらも全部で3つあるので、1つずつ紹介しましょう。
1. 強靭な精神力と体力を持ち合わせている人
まず強靭な精神力と体力を持ち合わせている人は、B to Cメーカーに向いています。
なぜならB to Cメーカーの営業は、様々な顧客のもとに足繁く通い、自社製品を扱ってくれるかどうかを交渉するのが仕事だからです。
当然無下に扱われたり、断られたりすることもあるでしょうが、そのときにどんなに断られてもへこたれない強靭な精神力を持っていれば、仕事をする上で非常に強いです。
また純粋に外回りも多いので、体力があればあるほど有利になります。
2. マーケティング能力に優れた人
マーケティング能力に優れた人も、B to Cメーカーに向いていると考えられます。
B to Cメーカーは顧客が不特定多数であり、顧客一人一人に営業をかけているようでは効率が悪いため、マーケティング戦略が求められます。
「顧客が本当に求めているものはなにか?」
「この商品を売り出す際に、どの層をメインのターゲットとすべきか」
このように顧客の心に寄り添って物事を考えられる、マーケティング能力に優れた人材がB to Cメーカーで重宝されます。
B to Cメーカーでは、論理的と言うよりは情緒豊かな人が求められているのです。
3. 自社製品に愛着や誇りを持てる人
自社製品に愛着や誇りを持てる人は、B to Cメーカーでの仕事にやりがいを感じることができるでしょう。
働き始めると、どうしても辛い時や逃げ出したくなる時があると思います。
しかしそんな時に、自分の普段営業している食料品が陳列されていたり、自分の会社で作っている車が街中を走っていたりする光景を目にすることもあるでしょう。
そのときに自社製品に愛着や誇りを持っている人であれば、「素晴らしい自社製品を世の中に広めるために、もっと仕事を頑張ろう」と活力がみなぎってくるはずです。
メーカー企業のものづくりの流れ
メーカー業界を志望するなら、メーカー業界のものづくりの流れをきちんと理解しておきましょう。
ものづくりの流れが曖昧だと、面接で勉強不足が見抜かれてしまいますよ。
製造過程はしばしば川の流れに例えられ、「川上・川中・川下」という3つの段階に分けられます。
1台の自動車が出来上がるまでの流れを例に挙げて、説明しましょう。
まず、川上では原材料を生産します。
例えば、新日鐵住金(日本製鉄)やJFEスチールが自動車用鋼材を作り、三菱ケミカルや旭化成がエチレンなどの基礎化学品を作ります。
続いて、川中では川上のメーカーが作った原材料をもとに、部品を作ります。
例えば、デンソーが車用エンジンを作り、ブリヂストンがタイヤを作ります。
最後に、川下では川上のメーカーが作った素材や、川中のメーカーが作った部品を組み立てることで、完成品を作ります。
例えば、トヨタ自動車や本田技研工業が、車用エンジンやタイヤを組み立てることで、1台の完成車を作ります。
また、先ほどお話ししたとおり、完成品は一般消費者向けと企業向けの2種類があります。
一つの製品ができるまでに、様々なメーカーが関わっているんですね。
そうですね、ただメーカー以外にも様々な業界が関わっていますよ。
たとえば、メーカーとメーカーの間のやり取りを代行しているのが商社、メーカーが製品を作るために必要な資金を融資しているのが銀行です。
そして、メーカーが作った製品を実店舗で売っているのが小売店ですし、小売店まで製品を輸送するのは物流会社です。
世の中では、様々な業界が複雑に絡み合っているんですね…
メーカーと商社、小売店それぞれの違い
一つの製品ができるまでにメーカーのみならず金融や商社、小売店も関わっているという話をしました。
ですが、メーカーと商社、メーカーと小売店の違いがよくわからないという方もいるのではないでしょうか?
メーカーも商社も小売店も、モノを扱って利益を得るという点では共通していますが、それぞれのビジネスモデルは全然違います。
そこで、ここからはメーカーと商社の違い、メーカーと小売店の違いについて解説します。
メーカーと商社の違い
メーカーと商社の違いは、大きく分けて2つです。
1つ目の違いは、自社で製品を作っているか否かです。
メーカーは工場という巨大な生産設備を持っているので、自社で製品を製造することが主な仕事になります。
しかし、商社は工場を持っていないため、自社で製品を製造することが出来ません。
そのため、原料を調達してメーカーに販売することや、メーカーと小売店の間に入ることで流通を円滑にしたりすることが主な仕事になります。
2つ目の違いは、顧客に提案できる商品の幅です。
メーカーは自社で製品を製造しているため、基本的に自社製品しか売ることが出来ません。
一方で商社は、自社で製品を製造していないため、いろいろな企業の商品を売ることができます。
商社業界についてもっと詳しく知りたいという人は、以下の記事を参考にしてください。
メーカーと小売店の違い
メーカーと小売店の違いは、大きく分けて2つです。
1つ目の違いは、自社で製品を作っているか否かです。
先述の通りメーカーは工場を持っているため、自社で製品を製造することが出来ます。
一方、小売店は工場を持っていないため、自社で製品を作ることが出来ません。
2つ目の違いは、製品を売る顧客の対象です。
メーカーの場合、製品を売る相手は取引先のメーカー、取引を代行してくれる商社、コンビニや家電量販店といった小売店などの企業がメインです。
メーカーが消費者に直接商品を売るということはありません。
私たち消費者は、資生堂の本社に行って化粧品を買うということはありませんよね?
一方、小売の場合、製品を売る相手は消費者です。
私たち消費者は、味の素や日本ハムの食品をスーパーで買ったり、武田薬品工業の薬品や資生堂の化粧品をドラッグストアで買ったりしますよね?
小売店は、製品と消費者を直接つなげるという重要な役割を担っているのです。
ここまでの内容をまとめると、メーカーはモノを作ること、商社は企業相手にモノを売ること、小売は消費者相手にモノを売ることが仕事だということになります。
メーカー業界の近年のトレンド
それでは続いて、メーカー業界の近年のトレンドや最新ニュースを紹介します(2019年1月現在)。
就活でメーカー業界を受ける場合、前もってメーカー業界の最新の動向を頭に入れておくと、選考で有利に働くこと間違いなしです。
全部で3つ紹介するので、キチンとおさえておきましょう。
1.「モノづくり」にさらなる付加価値を付与
以前の社会では、モノを作ればその分だけ売れるという状況でしたが、現代社会では、市場のニーズとマッチしていなければ、モノが売れなくなってきてきました。
また製品開発のスピードが加速しているため、新製品を出しても話題性や新規性が失われるのも早くなっています。
そこで各メーカーは、ただ単にモノを作るだけではなく、サービスやソリューションといった付加価値を付与することで、より良い商品提供を図っているのです。
例えば、ある健康機器メーカーでは、インターネットに接続された機器から利用者の健康状態を把握し、適切なアドバイスを行うサービスを提供しています。
そうすることで、長期間に渡って顧客と接点を持ち続けることを可能にしているのです。
2. オープンイノベーションの推進
オープンイノベーションとは、組織の枠組みを超えて幅広く知識や技術を結集させることで、新技術や新製品を開発しようという動きです。
他の企業や研究機関を巻き込んで起こすオープンイノベーションの推進を、多くのメーカーが経営課題として捉えています。
そのような動きが活発になっている理由は、デジタル化の流れから、デジタル人材の育成や確保が各企業の課題となっているからです。
そのためベンチャー企業と手を組んで新技術を開発する大手企業や、開発に要する時間を短縮化するオープンイノベーションを推進する企業が増えています。
3. IoTへの積極的な取り組み
IoTとは、「Internet of Things」の略語で、モノのインターネット化とも呼ばれる技術のことです。
モノに通信機能をもたせ、遠くからでも位置確認や操作、情報交換などを可能にします。
例えば、橋にセンサーを埋め込んで、振動などの情報を集めて最適な時期に整備を行ったり、不安定な振動、音、温度変化などの情報を集めて、設備保全に活用したり、様々な分野で取り組みがなされています。
メーカー業界に就職するメリットとデメリット
さて、ここまでメーカー業界について色々と紹介してきましたが、記事を読んでいるうちにメーカー業界に興味を持った人も多いのではないでしょうか?
ここからはメーカー業界に興味を持った人に向けて、メーカー業界に就職することのメリットとデメリットを、中立的な立場から解説していきます。
メーカー業界のメリット
まず、メーカー業界に就職するメリットを3つ紹介します。
1. 目に見える形で社会に貢献できる
例えば、金融業界は無形商材を扱いますし、商社業界は自社製品を持っていないため、自分の頑張りが目に見えることはあまり多くないでしょう。
ですがメーカー業界は、自社製品を製造して、その製品を世に送り出す事によって、目に見える形で社会の役に立つことが出来ます。
そのため、自分の頑張りが目に見えることにやりがいを感じる人、自社製品を愛している人は、仕事へのやりがいを感じられるはずです。
2. グローバルに働ける
近年、国内市場の縮小に伴って、海外進出を進めているメーカーが多いです。
特に自動車メーカー、機械メーカー、電子部品メーカー、素材メーカーなどは海外売上比率も高く、積極的に海外進出しています。
上記のようなメーカーでは、海外出張や海外駐在に関われる可能性も高いため、グローバルに働きたいと考えている方は、メーカーも志望業界の一つに入れておきましょう。
3. 他業界と比べるとホワイト
激務な業界と比べると、きちんとお休みが取れる、有給休暇の消化率も比較的高い、福利厚生がしっかりしているという傾向があります。
その理由は、メーカー業界は工場を持っていて、多くの工場労働者を抱えているため、労働組合も完備されていることが多いからです。
そのため他業界と比べて、休みが取りやすく、福利厚生も整っているといえるのです。
メーカー業界のデメリット
続いて、メーカー業界に就職するデメリットを3つ紹介します。
1. 高給な業界と比べると年収が低い
金融、商社、コンサル等の高給な業界では、早ければ30歳前に年収が1,000万円を超えます。
しかしメーカーで年収1000万円を超えるのには、もう少し時間がかかるでしょう。
大手メーカーでも、40代でようやく年収1,000万円を超えるというのが平均的です。
そのため年収を業界選びで最優先とするのであれば、メーカーでは少し物足りないかもしれません(キーエンスなどの高給メーカーは除く)。
2. 良くも悪くも年功序列
まずいい意味での年功序列とは、どれほど仕事ができなくても、年齢が上がるにつれて、ある程度は給料も上がっていくということです。
そのため、非常に安定していると言えるかもしれません。
一方でやはり年功序列なので、若い時にどれほど仕事を頑張っても、周りと待遇や地位にあまり差がつかないという現状もあります。
「優秀だから、飛び級で管理職!」というのは、メーカー業界ではほぼないでしょう。
「若いうちから出世したい!金をいっぱい稼ぎたい!」という人にとっては、メーカー業界は少しミスマッチかもしれません。
3. 工場や研究所勤務の場合、田舎に飛ばされることも
工場や研究所は、都市部から少し離れたところに位置していることが多いです。
そのため工場や研究所に配属される場合は、田舎に飛ばされることもあります。
勤務地に強いこだわりがある人は、この点に抵抗を覚えるかもしれませんね。
ただ総合職志望で勤務地に強い制限をかけてしまうと、選択肢が非常に狭まってしまうということは頭の片隅に入れておいてください。
メーカー業界の選考対策
メーカー業界に興味を持っている学生さんに向けて、メーカー業界の選考対策について解説します。
メーカー業界の選考は、他業界の選考とも大差なく非常にスタンダードなものです。
ですが、それゆえに以下の2つのことを意識しておくべきでしょう。
1. 志望動機をしっかり練っておく
メーカー業界への就職を狙うのであれば、志望動機対策はマストです。
なぜならメーカーは、終身雇用を想定して就活生を採用するという傾向があるからです。
会社としては自社への愛がある、長く働き続けてくれるであろう学生を採りたいと考えていています。
その結果、就活生の志望動機を非常に重視することになるのです。
メーカー業界の選考を勝ち抜くためには、クオリティの高い志望動機を作るということが必須です。
1つ注意するべきことは、「御社の製品が好きだから」という志望動機はNGだということ。
なぜならその志望動機は、社員目線ではなく消費者目線だからです。
企業は自社の製品のファンではなく、自社をさらに成長させることができるような人材を求めています(好きなだけではダメだということ)。
「その会社に入社してどのような価値を提供したいのか」
「どのように自分は活躍できるのか」
このような視点を意識して、志望動機を練り上げましょう。
2. 早いうちに面接に慣れておく
またメーカー業界への就職を狙うのであれば、出来るだけ早く面接に慣れておくことも重要です。
なぜなら企業によっては面接解禁となる6月以前に、「リクルーターとお茶でも飲みながらお話しましょう」という名目で学生を呼び出して、事実上の面接(リクルーター面接)を行うことがあるからです。
そのため面接に全く慣れていない状態でリクルーター面接に臨むとなると、選考に落ちてしまう可能性が高くなります。
就活解禁の3月頃までにある程度面接慣れしておくことで、選考を有利に進めましょう。
文系はメーカー業界に就職できない?
メーカー業界を志望している文系の学生さんの中には、「文系の自分は理系知識を持っていないし、メーカーに就職できないんじゃないかな…」と心配している方もいるかもしれません。
しかし、その心配はいりません。
確かにメーカー業界では理系学生のほうが採用人数は多いですが、文系学生を冷遇するような風潮は全くありません。
なぜなら営業や経理、人事など、文系社員が活躍できるフィールドはたくさん広がっているからです。
文系の学生さんも安心してメーカー業界を志望してくださいね。
B to Cメーカーだけではなく、B to Bメーカーにも目を向けよう
今回の記事ではメーカー業界の業界研究をして、メーカーの種類やものづくりの流れ、選考の対策について解説しました。
メーカー業界というと、自動車メーカーや食品メーカーなど、私たち消費者のもとに直接届くような製品を作っている、B to Cメーカーに目が行きがちだと思います。
ですが既製品ができるまでの流れを担う、素材・部品メーカーなどのB to Bメーカーも、たしかに我々の生活を支えているのです。
そのため、「モノづくりを通して社会を支えたい!」と考えているメーカー志望の学生さんは、B to Cメーカーのみならず、B to Bメーカーにも目を向けてもらえたら、更に選択肢が広がると思います。
メーカー業界は「薄給だ」「工場勤務だと良くないイメージ」だと言われがちです。
ですが自分たちの手がけた製品をとうして、目に見える形で会社に貢献できるというのは、メーカー業界のしごとの大きなやりがいです。
メーカー業界の仕事内容に興味を持った皆さんは、ぜひメーカー業界を目指してみてください。
また、メーカー業界についてもっと詳しいことを知りたいという人は、以下の書籍も読んでみることをおすすめします。
※出典)Amazon
図解入門業界研究 最新自動車業界の動向としくみがよ~く分かる本[第3版]黒川文子著
日本の「モノづくり」の代名詞とも言える、自動車業界について知りたい人は、この本を読んでみましょう。
※出典)Amazon
図解入門業界研究 最新化学業界の動向とカラクリがよ~く分かる本[第5版]田島慶三著
B to Bメーカーの1つである、化学業界について知りたい人は、この本を読んでみましょう。
新卒向け就活エージェント キャリアスタート
「なかなか内定が決まらない」「自分に合った職業・職種がわからない」と悩んでいる方、新卒・既卒向けの就職支援サービス「キャリアスタート」に相談してみませんか?
「キャリアスタート」は、マンツーマンで20代の就職活動をサポートしてくれる就活エージェントです。
これまで3000人以上の就職支援を行ってきており、入社後の定着率が92%と高い定着率を実現しています。
キャリアスタートのサポートは、就職活動の相談と企業の紹介だけでなく、履歴書やエントリーシートの添削、面接対策にも対応しており、これらのサポートが無料で受けられます。
さらにキャリアスタートのメリットは、内定までの期間がとてもスピーディー!最短2週間で内定ゲットできる可能性もあります!
相談はZoomまたは電話でできるので、全国どこに住んでいても利用可能です。