「就活」と聞いて、皆さんが一番最初に思い浮かべる光景は、どのようなものでしょうか?
おそらく多くの人は、「学生 VS 社会人の面接」を一番はじめに考えると思います。
ただ、最近の就活では、「学生 VS 社会人の面接」とは異なる、ニュータイプの「面接」が採用されはじめていることをご存知でしょうか。
それが、「学生 VS 学生の面接」である、グループディスカッション(通称 GD)です。
「グループディスカッションって何?初めて聞いたんだけど!」
「学生のどこを見ているの?評価基準が分からないよ…」
「落ち続けるのはもう嫌だ!グループディスカッションを通過するためのコツを教えてくれぇ!」
ニュータイプの面接に四苦八苦し、すっかりグループディスカッション恐怖症になっている就活生の皆さんは多い模様。
そんなグループディスカッション恐怖症の皆さんの症状を改善するため、今回はグループディスカッションの「概要」「評価基準」「テーマ」「流れ」「役割分担」という 5 つの処方箋をご用意しました!
目次
グループディスカッションとは何か?その内容を徹底解説!
グループディスカッションとはそもそもどのようなものなのでしょうか?
僕は今日はじめて聞きました…
グループディスカッションとは、「学生を数人のグループに分けて、テーマを与えて議論させ、グループとしての結論を出させる選考方法」のことです。
基本的に選考の初期段階(1 次面接)で使用されるため、優れた学生を選ぶというよりは、多すぎる応募者数を減らす「足切り」を目的に使用されています。
数人のグループとのことですが、平均的な構成人数はどれくらいですか?
4~7人が基本ですね。
マイナビ2017の情報では、91.8% の学生が、4 ~ 7 人の GD を経験したと答えています。
人数は多すぎず少なすぎない、丁度よいくらいなのですね。
平均的な所要時間はどれくらいですか?
リクナビの調査によると、20 分 ~ 30 分未満という回答が一番多く、全体のうち 36.9% を占めています。
その後は 10 分~ 20 分程度が 22.3%、30 分~ 40 分程度が 21.9% と続いています。
制限時間が 10 分未満のものも 8.7% あったそうですよ。
8 割以上のグループディスカッションが 40 分未満に終わっているなんて、かなり時間がシビアなんですね…
最後に、どのくらいの企業が選考フローにグループディスカッションを採用しているのか教えてください。
近年、グループディスカッションを選考フローに採用する企業はぞくぞくと増えているのです。
HR 総研の調査によると、中小企業では 9%、中堅企業では 20%、大手企業では 38% の企業が、グループディスカッションを採用していることが分かっています。
このことから、大手企業を目指す学生にとって、グループディスカッション対策は必至だということが言えるんですよ。
さて、ここまで読んだところで、「なぜ最近になってグループディスカッションが急速に使われるようになったのだろう?」と疑問を持った人がいるのではないでしょうか。
その答えは、「面接の弱点を補うため」です。
近年、面接が学生の能力を正しく測ることができないために、入社後に学生と企業がミスマッチを起こすという事例が増えてきていて、面接への信頼性が低下しています。
そんな状況で、面接だけでは測れない能力を測定することを目的に編み出されたのが、グループディスカッションでした。
つまり、面接だけでは測れない能力が、そのままグループディスカッションの評価基準になっているのです。
採用担当者は何を見ている!?グループディスカッションの評価基準
グループディスカッションの評価基準は、たった 1 つだけ。
それは「チームの議論に貢献できたか?」です。
ただ、これだけでは抽象的過ぎてわからないと思うので、印象、積極性、協調性、議論展開力、論理的思考力という 5 つの要素に分けて説明します。
1. 印象
グループディスカッション中の身だしなみ、表情、態度が与える、第一印象のことです。
採用担当者が学生のことを知らない以上、学生が与える第一印象が、その学生の評価に影響することは避けられません。
そのため、相手に不快な印象を与えない程度には、身だしなみ、表情、態度に気を付けるべきでしょう。
印象がいいと評価される学生と、印象が悪いと判断されてしまう学生の違いは、以下の通りになっています。
良い例 |
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悪い例 |
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ここで見られているのは、社会人としての基本的な態度はもちろんのこと、集団内での(議論中の)態度です。
また、対大人の面接と違って、グループディスカッションは対同年代であるために気が緩んでしまい、ペン回し、頬杖を突く、髪をいじるなどの癖は無意識のうちに出ていると考えられます。
つまらないことで採用担当者からの評価を下げないように、自分の癖は早めに治すようにしてください。
2. 協調性
「チームワーク」とも言い換えられる、グループで生産的な議論をするために、メンバーと助け合って議論を進める姿勢のことです。
仕事は基本的にチームで行うものなので、企業に入ってからは複数人の社員と協力して一つのプロジェクトを進める必要があります。
そのため、メンバーと助け合って一つの目標を達成する協調性は、社会人になってからも絶対に必要な能力で、それゆえグループディスカッションでは特に重点的にみられていると考えてよいでしょう。
協調性があると評価される学生と、協調性に欠けていると評価される学生の違いは、以下の通りになっています。
良い例 |
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悪い例 |
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協調性を示すうえで重要なポイントは、周りのメンバーを敵と思わずに、全員で受かるつもりで協力することです。
自分一人が目立たなければグループディスカッションで通らないと思っている学生がいるかもしれませんが、グループディスカッションは勝ち抜き戦ではありません。
自分一人で目立とうとすると、自己中心的な発言をしたり、自分の意見に固執してしまったりするため、かえって「協調性がない」とみなされて落とされてしまう可能性が高くなります。
そのため、同じグループのメンバーは同志だと思って、グループディスカッションに取り組むようにしましょう。
3. 積極性
少しでもグループの議論に貢献しようと考え、主体的に行動する姿勢のことです。
企業からしてみれば仕事を自分事として引き受けてくれる人材がほしいですし、社会人になってからも、積極的に仕事へ取り組むことで成功に結び付きやすくなります。
積極性は、就活を成功させるためにも社会に出てからも、ずっと必要な能力になってきます。
積極性があると評価される学生と、積極性、主体性がないと評価される学生の違いは、以下の通りになっています。
いい例 |
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悪い例 |
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4. 議論展開力
「リーダーシップ」とも言い換えられる、新しい視点を提供することで、停滞した議論を前に進める能力のことです。
効率的な議論を進めるためには、グループを仕切っているリーダー(司会)だけではなく、メンバー全員がこの意識を持つことが重要になってきます。
議論展開力があると評価される学生と、議論展開力が低いと評価される学生の違いは、以下の通りになっています。
良い例 |
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悪い例 |
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議論を進めるうえで正しい方向づけをしたり、議論が混乱した時に軌道修正したりすると、「議論展開力が高い」と判断されるのですが、実際にグループディスカッションに参加したことがある人なら分かるように、そのようなことは非常に難しいです。
グループディスカッションの経験を積んで経験値を上げることで、物怖じせずに議論を前に進められるようになりましょう。
5. 論理的思考力
効率的な議論を進めるために、論理的な思考、発言をする能力です。
いくら発言量が多くても、その意見の9割が的はずれなものであったら、大したプラスにはならず、議論に貢献できませんよね。
短い時間で最大限の結果を出すためには、論理的思考力に基づいて意見することが必要不可欠なのです。
論理的思考力が高いと評価される学生と、論理的思考力が低いと評価される学生の違いは、以下の通りになっています。
良い例 |
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悪い例 |
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論理的思考力は、一朝一夕では身につかないものです。
グループディスカッションでも対応できるように、普段から情報をインプットし、自分の頭で論理的に考える癖をつけましょう。
論理的思考力に自信がない方は、結論→理由という順序で発言することを意識してみてください。
それだけで大分違ってきますよ。
お題はどんなもの?グループディスカッションのテーマ例
印象、協調性、積極性、議論展開力、論理的思考力という 5 つの視点から「チームの議論に貢献できたか?」が見極められ、それが評価基準になることは述べてきましたね。
ただ、グループディスカッションの評価基準がわかったところで、実際にどのような議題が出題されるのかがわからなければ、対策のしようがありませんよね。
ここからは、グループディスカッションのテーマ例についての話です。
大きく分けて 5 つあるので、1 つずつ順を追って解説します。
1. 自由討論型
答えがない問いについて、自由に討論するものです。
明確な答えがないためにグループで出した結論のレベルはあまり問われず、それよりも結論にたどり着くまでの過程、議論への取り組み方に、評価の重きが置かれています。
そのため、先ほどの 5 つの評価基準に当てはめると、論理的思考力というよりは、「自分の意見をしっかり述べているか」「相手の話をきちんと聞いているか」「相手を否定してばかりいないか」などの積極性や協調性がみられていると言えるでしょう。
テーマが抽象的なことが多いので、最初に定義付けしてしまうことがコツです。
具体的な出題例には、「いい会社とはどんな会社か」「働くとは何か」「成功を定義せよ」などの設問があります。
2. ディベート型
賛否の分かれるテーマについて、グループ内で賛成派と反対派に分かれて議論するものです。
自分が賛成派と反対派のどちらの陣営に入るのかについては、自分で好きな方の陣営を選べる(自分の意志が反映される)場合と、あらかじめ振り分けられていたり、くじ引きで当日決めたりする(自分の意志が反映されない)場合があります。
ディベートという言葉から連想されるように、「論理的に意見がまとめられるか」「相手の論理の穴を見抜けるか」などの論理的思考力が主に見られていると言えるでしょう。
ディベート型グループディスカッションでは、事前に相手の論理を予測しておき、反論となる事柄を考えておくことが、「相手の論理の穴に気付き、かつ論理的に自分の意見を発信できる学生」という高評価を得られるコツです。
ただ、相手の意見を論破することに意固地になると、自己中心的で協調性がないと判断されてしまうため、相手の意見に反論するときは、Yes – But 法を使うことで攻撃的な口調にならないように心がけましょう。
Yes – But 法
相手の話をいったんは受け入れ(Yes)、その後に相手の意見を踏まえたうえで自分の意見を述べる(But)という会話のコツのこと。
一度相手の意見を受け入れているため、角があまり立たない。
例)たしかに、あなたの意見は〇〇という点で素晴らしいと思います(Yes)。ただ、◇◇とは考えられませんか(But)?
具体的な出題例には、「終身雇用制度の是非について」「大企業と中小企業どちらがいいか」などの設問があります。
3. 選択型
複数の選択肢の中から、特定の選択肢を選び出すことが求められるものです。
選択型グループディスカッションで特にみられているのは、チームの中でうまく合意形成する過程なので、「全員が納得できる結論を出す」「選択にあたって、確固とした根拠がある」などの協調性、論理的思考力が重要な評価対象になります。
そのため、多数決で結論を出し、少数派を等閑視することは極力避けてください。
お題の目的を達成するために重視すべき選択基準(例えば実行容易性、コストなど)を決めることが、グループでうまく合意形成するコツです。
具体的な出題例には、「日本列島の中の 1 つの島を海外に売却しなければならないとしたらどれか」「地球滅亡の危機に際して 5 人をロケットに乗せるとしたらだれを選ぶか」「健康、愛、家族、仕事、趣味、金の中で大切なものを 3 つ選び、その理由を考える」などの設問があります。
4. 課題解決型
課題が与えられて、その問題を解決するための施策を議論するというもので、グループディスカッションの中で最もポピュラーなタイプです。
最終的に発表するアイデアの質も問われるため、「グループで活発に話し合えるような雰囲気を作る」「何もない状態から自分たちのアイデアをまとめ、発表する」などの協調性、議論展開力が特に求められます。
また、最もポピュラーであるにもかかわらず非常に時間制限がシビアなため、効率的に議論を進める必要があります。
「時間配分→課題定義→アイデア出し→アイデア整理、選択→ブラッシュアップ→発表」というフレームワークにのっとることが、スムーズな議論を展開するコツです。
具体的な出題例には、「外国人観光客を倍に増やすにはどうすればいいか」「ある居酒屋に対する販売企画」「夏の新製品パンを企画する」などの設問があります。
5. フェルミ推定型
実際に調査することが難しいようなお題について、いくつかの手がかりをもとに論理的に推論し、短時間で概算するものです。
フェルミ推定型のグループディスカッションを採用する企業はあまり多くありませんが、外資系企業やコンサルティングファームではよく出題されるため、その業界を狙っている学生は対策必須と言えます。
実際に調査することが難しいものについて答えを出すわけですから、「正確な答えを出すこと」は重視されておらず、それよりも論理の抜け漏れなしに議論を展開していく論理的思考力がみられています。
フェルミ推定型のグループディスカッションで高評価を得るコツは、フェルミ推定の書籍を購入し、事前学習して慣れておくことと、頻出の事例にかかわる数値やデータを前もって暗記しておくことがあげられます。
下の表に、覚えておくと便利な数値をまとめたので、参考にしてみてください。
日本国内の情報 |
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人口:1 億 2500 万人 平均寿命:83 歳 世帯数:5000 万戸 国土面積:38 ㎢ 小学校の数:20000 校 中学校の数:10000 校 高校の数:5000 校 大学の数:750 校 平均年収:400 万円 フリーター平均年収:100 万円 フリーター人口(若年層):200 万人 大企業の数:1 万社 中企業の数:50 万社 市の数:800 箇所 町の数:750 箇所 村の数:200 箇所 |
世界規模の情報 |
人口:72 億人 地球の直径:12000 ㎞ 地球の円周:40000 ㎞ |
このような数値をすべて暗記していなくても仮定してしまえばいい話ですが、頭に入れておくと議論をスムーズに進められるでしょう。
具体的な出題例には、「日本にコンビニは何店舗あるか」「新宿区内のすべてのマクドナルドの年間売上を求めよ」「世界にピアノの調律師は何人いるか」などの設問があります。
これが進め方の鉄板!グループディスカッションの流れ
ここまで、評価基準や出題されるテーマを解説してきましたが、こんな声が聞こえてきそうです。
「そんなこと言われても、グループディスカッションをどう進めればいいかわからないよ…」
要望に答えて、ここからはグループディスカッションの流れについて説明しましょう。
グループディスカッションのテーマ例の課題解決型のところで少し触れましたが、グループディスカッションは、
「自己紹介→役割分担→時間配分→課題定義→アイデアを引き出す→アイデアを整理する→アイデアをまとめる→アイデアをブラッシュアップし、発表準備→発表」
という一連の流れで進みます。
自己紹介
グループディスカッションが始まったらお互いを名前で呼び合う必要があるので、まず自己紹介から始めましょう。
名前、大学名、学部・学科名、所属サークル、アルバイト等を簡潔に説明します。
このとき、自己紹介に時間をかけすぎないように注意してください。
自己紹介に時間を使いすぎて後で時間が足りなくなったら元も子もないですからね。
役割分担
続いて、効率的に議論を進めていくために、議論中の役割分担をしましょう。
決めるべき役割は、司会、書記、タイムキーパー、発表者の 4 つです。
簡単に説明すると、司会は議論を引っ張る人、書記は皆の意見を紙にまとめる人、タイムキーパーは時間管理する人、発表者は皆の前でグループの意見を発表する人です。
それぞれの役割の詳細については後述します。
さて、この役割分担にも時間はあまりかけたくないものですが、気をつけるべきことが一点あります。
それは、「司会に立候補したら選考に通過する」「タイムキーパーは目立たないから落ちる」などの就活生の間で流れている噂は、全くのデマだということです。
ここでもう一度思い出していただきたいのが、グループディスカッションの根本的な評価基準は「グループの議論に貢献できたか」であるということ。
もし仮に、内気でリーダー経験のない就活生が、選考に通過するために司会に立候補したとしても、その人はおそらく議論をうまく引っ張ることができませんよね?
その結果、「司会に立候補した学生は円滑な議論運営ができなかったために、グループの議論に貢献できていない」とみなされ、選考に落とされてしまうのです。
根も葉もないデマに惑わされてしまうのではなく、自分に合った役職についてグループの議論に貢献することこそが(上の例で言うならばこの学生は書記かタイムキーパーに立候補すればよかった)、選考突破の近道です。
時間配分
役割分担が終わったら、次は時間配分を行います。
グループディスカッションの多くは 30 分程度で終わってしまうので、時間内で効率的に議論をすすめるためには、前もってタイムテーブルを作ることが不可欠です。
タイムテーブルの一例をあげてみます。
- 課題定義(2 分)…テーマの内容をグループ内で共有する
- アイデアを引き出す(10 分)…グループ内で意見を出し合う
- アイデアを整理し、結論を出す(10 分)…出した意見をまとめ、一つに絞る
- アイデアをブラッシュアップし、発表準備(3 分)…意見を発表できる段階まで磨く
- 発表練習(2 分)…発表の予行演習をする
- 予備の時間(3 分)…時間内にまとまらなかったときのための時間
自分たちのアイデアをまとめ、結論を出すだけで精一杯だよと思うかもしれませんが、発表練習は可能な限りやったほうがいいです。
なぜなら、自分たちの発表のレベルは、内容(自分たちが出したアイデアの内容)と伝え方(どのように発表するか)の両側面で評価されるからです。
伝え方が拙いせいで評価が下がってしまうのはもったいないですよね、いきなり皆の前に立ってしどろもどろにならないよう、きちんと練習するようにしましょう。
課題定義
続いて、テーマが抽象的な問題であるとき、その内容を具体的にグループ内で共有します。
このことを課題定義と言います。
例えば、先ほど例に挙げた「ファミレスの売り上げを 2 倍にするにはどうすればいいか?」なら、都市部にあるファミレスなのか地方にあるファミレスなのか、またはチェーン店のファミレスなのか個人経営のファミレスなのかによってアプローチは変わってきますよね。
この例では、「どこにあるファミレスを想定して議論を進めますか?」「チェーン店と個人経営、どちらのファミレスだと仮定しますか?」という提言をすることで、「ファミレス」という抽象的な言葉が具体化され、課題定義することができるのです。
課題定義をしないと、グループメンバーがそれぞれバラバラなことを考えてしまい効率が悪くなります。
効率的な議論をすすめるために必ず課題定義するようにしましょう。
アイデアを引き出す
具体的なテーマのイメージをグループで共有したあとは、いよいよアイデアを引き出しましょう。
グループのメンバーそれぞれが思い思いにアイデアを出し合うことで、アイデアの量を増やすのです。
このようにアイデアを引き出すことをブレーンストーミングといいます。
この時に心に留めておくべきことは、質よりも量という意識です。
ブレーンストーミングの段階では、「自分のアイデアは具体的な根拠がないし、内容のレベルも低いからやめておこう」などと考えず、どんどんアイデアを出していきましょう。
また、他人が出したアイデアに対して、決して批判しないことも心掛けてください。
この段階で批判を重ねてしまうと、雰囲気が悪くなってアイデアが出にくくなってしまいます。
アイデアを整理する
さて、ブレーンストーミングでアイデアを拡散しましたが、広がったままでは結論が出ないので、アイデアを収束させる必要がありますよね。
そこで、内容が似たものや同じグループに属するものを分類することで、出されたアイデアを整理しましょう。
たとえば、「これからの車に求めるもの」というお題で、以下のアイデアが出たとします。
・耐久性がある ・かっこいいデザイン ・馬力 ・最高速度
この時、以下のように分類できるのではないでしょうか?
特別感 | ブランド・かっこいいデザイン |
---|---|
性能 | 馬力・最高速度 |
環境 | リサイクル・エコ |
丈夫で経済的 | 低価格・耐久性 |
アイデアを似た者同士で分類して、出来たグループに「表札を付ける」ようなイメージだと思ってください。
アイデアをまとめ、結論を出す
アイデアをいくつかのグループに分けることができたと思うので、それぞれのグループの類似点や対立点を可視化し、グループで合意形成することでアイデアをまとめましょう。
このとき、多数決は最終手段だと思ってください。
グループディスカッションでは合意形成の過程がみられているので、なるべく全員が納得した形で意見を一つにまとめるように心がけましょう。
そのために、何らかの基準をチームで設け、それに基づいて複数のアイデアを比較、検討することが効果的です。
評価基準は、テーマによって変わるために難しいところですが、「費用」「効果」「実行容易性」「スピード」などが一例に挙がります。
ちなみに、評価基準を設けてもどうしても決まらない!というときは、2 つのアイデアをミックスするのが効果的なので、覚えておくといいでしょう。
アイデアをブラッシュアップし、発表準備
さて、ここまででアイデアが一つにまとまりましたが、学生数人が数十分間で考えだした案など、論理の漏れや穴がないはずがありません。
「これってこういうことであってる?」「どれだけお金かける?」などとお互いに声掛けをすることで、アイデアをブラッシュアップしましょう。
このとき、5W2H(What,Why,Where,Who,When,How,How much)情報を突っ込んで考えることが効果的です。
アイデアが磨かれ、発表に恥じないレベルにまで達したら、発表練習を行い、制限時間をフルに活用します。
発表
発表するときは、ES(エントリーシート)と同じく、「結論先行型」で話しましょう。
具体的には、PREP 法を心がけて、結論、理由、根拠(具体例)、結論の順に発表すると失敗することはまずありません。
いくら優れたアイデアを生み出せても、発表がうまくいかなければ悪印象なので、発表まで気を抜かずに頑張りましょう。
どんな役割があるの?グループディスカッションの役割 4つとそれぞれのコツ
続いては「グループディスカッションの流れ」で割愛してしまった、グループディスカッションの役割について説明します。
すでに説明したように、グループディスカッション中の役割には司会、書記、タイムキーパー、発表者の 4 つがあります。
ここからは、それぞれの役割につくメリット、向いている学生の人物像、振る舞い方のコツについて説明します!
1. 司会
司会は、グループの議論を進行する役割です。
その役割を遂行するためには、グループ全体を見渡す広い視野、ほかの参加者を引っ張っていくリーダーシップやコミュニケーション能力が求められます。
司会になるメリット、デメリット
司会になるメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 積極性がアピールできる
必然的に発言回数が増えるので、積極性、責任感、存在感を示すことができます。
積極性はグループディスカッションの評価基準の一つであるため、司会に立候補することは、選考においても有利になるはずです。 - うまくグループをまとめられれば間違いなく高評価につながる
グループディスカッションはほぼ確実に時間が無くなるものですが、それをさばける人材はどの企業も喉から手が出るほどほしいでしょう。
しかし、反対にデメリットとしては、以下のようなものがあります。
- グループをまとめられなかった場合は低評価
グループの最終的な結論を時間内に出せなかったり、自分の意見を無理やり通してしまったりするとガクッと評価が下がってしまいます。
うまく意見がまとまらなかったことが司会の責任にされてしまうのです。 - 度胸やスキルを持ち合わせている必要がある
グループをまとめて短時間で結果を出さなければいけないため、グループを引っ張るだけの度胸がなかったり、グループディスカッションに不慣れでスキルが身についていなかったりすると、役割を遂行することが難しいでしょう。
ここからわかるように、うまくグループをまとめられれば高評価であるのに対し、グループをまとめるのに失敗するとほぼ確実に選考に落ちてしまうので、ハイリスクハイリターンな役割だといえます。
司会に向いている人と、司会をうまくすすめるコツ
そんな司会ですが、グループを引っ張っていく以上、やはりリーダーシップ経験やグループディスカッション経験を多く積んでいる人が望ましいです。
ただ、リーダーシップだけあればいいわけでもなく、メンバーの意見を引き出せる傾聴力や、客観的に物事を見る能力も、司会には求められます。
また、議論を円滑に進めるために「議論の方向性を決めること」、メンバーから意見を引き出すために「発言数が少ない人にも話をふること」、議論が紛糾しそうになったとき「意見をまとめること」が、司会をうまくすすめるコツです。
2. 書記
書記は、グループのメンバーの意見や議論をよく聞き、話の要点をとらえ、適切に記録するという役割です。
ただ記録するだけではなく、迅速かつ的確に書くことが求められるので、「素早く、見やすく」を心がけると良いでしょう。
書記になるメリット、デメリット
まず、書記になるメリットとしては、以下のものがあります。
- プレッシャーが少ない
あまり発言する役割ではないので、司会や発表者と比べるとプレッシャーが少ないです。
口下手な人でも、しっかりと自分の役割を果たせます。 - 伝え方が上手ければ高評価につながる
グループのメンバーに見やすく、わかりやすく意見を伝えられれば、グループメンバーからも、採用担当者からも、高い評価を受けられるでしょう。
ただ、反対に以下のようなデメリットもあります。
- 発言量が少なくなってしまう
他の人の話を聞いてメモをとることに集中しすぎてしまうと、自分の意見を言うことを忘れてしまいがちです。
そうなると存在感が薄くなってしまい、選考に落ちてしまう可能性が高まります。 - 自分が書いたメモがわかりにくいと低評価
自分が書いたメモがわかりにくかったり、他のグループメンバーに読めなかったりした場合、議論が停滞してしまうため低評価につながります。
他の人にも読めるような丁寧な字を書くこと、話の要点を把握する癖をつけることが必須でしょう。
以上からわかるように、書記は「縁の下の力持ち」な役割です。
書記を務めるときは、書記だからといって発言しなくてはいいわけではないこと、他の人にも読めるようなきれいな字を書くことを念頭に置いてください。
書記に向いている人と、書記をうまくすすめるコツ
グループ内の意見を記録し、グループの流れを客観的に見ることが求められるため、全体を俯瞰してみることができる人、冷静な人が書記には適役です。
また、書記をうまくすすめるためのコツには、相手の話を一字一句たがわずに記すのではなく要点だけおさえること、他の人が見てもすぐにわかるようにグルーピングしたり図示したり工夫して記すこと、議論の流れを一番把握しているという強みを生かして「○○と△△は同じグループに入りますよね」など議論の流れを変える発言をすることがあります。
3. タイムキーパー
タイムキーパーは、議論の時間を管理する役割です。
グループディスカッションでは議論を始める前に時間配分をするのが鉄則ですが、その時に決めた時間を大きく超えていた場合、次のステップに進むよう促すことが、タイムキーパーの仕事になります。
時間内に一つの結論を出すグループディスカッションでは、時間管理は絶対に必要なことですので、タイムキーパーの仕事の重要性は非常に高いと言えるでしょう。
そんなタイムキーパーですが、仕事量が少ないため司会や書記と兼任しても構いません。
タイムキーパーになるメリット、デメリット
タイムキーパーになるメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 周りが見えているという評価を受けられる
議論が紛糾しているときは、どうしてもみんな熱くなってしまい、時間のことを忘れてしまいがちです。
そんなときに残り時間を告知して議論を前に進めることができれば、「周りが見えている」と高評価につなげることができます。 - プレッシャーが少なく、役割を果たしやすい
時計をチェックして残り時間を告知することだけが仕事なので、司会や書記ほど仕事量がなく、プレッシャーがありません。
また、「残り時間を告知する」という明確な目的があるため、口下手な人でも強制的に議論に口出しをすることができ、役割を果たしやすいでしょう。
ただ、以下のようなデメリットもあるのです。
- 残り時間の告知を忘れると最低評価
議論に集中してしまい、タイムマネジメントを放棄してしまうと最低評価につながってしまいます。
自分がなにもしないうちにタイムアップになったその瞬間、グループのメンバーからも、採用担当者からも、信頼が地に落ちたと考えてください。 - 残り時間の告知だけに終止してしまうと低評価
残り時間を告知するという役割を果たしたからと言って、それだけでは高い評価を得ることはできません。
時計ばかりチェックしてだんまりを決め込むのではなく、残り時間を告知することに加えて議論の方向性を決めるなど、積極的に議論に参加しましょう。
以上のように、時間をチェックするという単純な仕事の割に評価を受けることがあるのが、タイムキーパーのいいところです。
ただ、時計ばかり見ているのではなく、「タイムマネジメント+α」を心がけましょう。
タイムキーパーに向いている人と、タイムキーパーをうまくすすめるコツ
あまり発言は得意ではないけれども、冷静に周りを見ることができる人がタイムキーパーに向いています。
また、どれほど議論に集中しても「常に時間を意識すること」、残り時間を告知するだけではなく「今後の方針を示すこと(例 残り10分なので、3つの案の中から1つ選んでまとめに入りましょう)」がタイムキーパーをうまくすすめるコツです。
4. 発表者
発表者は、その名の通り、最後にみんなの前で自分たちの案を発表するという役割です。
発表者も、仕事量は司会や書記ほど多くないため、それらの役職と兼任することが多い傾向にあります。
発表者になるメリット、デメリット
発表者になるメリットには、以下のようなものがあります。
- 大勢の前で発言するため、積極性をアピールできる
積極性はグループディスカッションの評価基準の一つです。
- 発表のクオリティが高ければ、高評価につながるかも(?)
すべての企業で高評価につながるわけではないかもしれませんが、発表がうまい、クオリティが高い、というグループや学生が好印象であることは確かでしょう。
その一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 度胸と発表慣れが必要
大人数の前で発表する以上、ある程度の度胸と発表慣れは必要です。
普段発表することに慣れておらず、人前で話すことに苦手意識を持っている学生は、別の役割のほうが良さを発揮できるでしょう。 - 発表が拙ければ低評価につながる可能性も
こちらも、企業によると思いますが、言いたいことがよくわからない発表は聞いていて心地よいものではありません。
司会と同じく目立つ「花形」の役割ですが、司会と同様にハイリスクハイリターンであることがわかります。
発表者に向いている人と、発表者をうまくすすめるコツ
人の前で発表することに慣れていて、人に自分の考えを伝えることが得意な人は発表者に向いています。
それから、声が大きくて通りやすい人も有利かもしれません。
発表者をうまくすすめるコツとしては、PREP 法を意識して「結論先行型で伝えること」、重要なところで抑揚をつけたり、間を取って話したりすることで、「急と緩を意識すること」があります。
番外編 ヒラ
グループディスカッションの 4 つの役割を紹介しましたが、グループのすべてのメンバーが役割につけるわけではありません。
いずれの役割にもついていない「ヒラ」の人も一定数存在します。
ヒラの人はどのように振る舞えばいいのでしょうか。
ヒラでいることのメリット、デメリット
ヒラでいることのメリットには、次のものがあります。
- 役割に縛られず、自由に議論に参加できる
例えば書記の人はメモをとることに多くのパワーを向けなければいけませんが、ヒラにはそのようなことがありません。
そのため、役割に縛られることなく、議論にいろいろな側面から貢献できます。
「ヒラだと役割についていないから議論に貢献できない」と思うかもしれませんが、ヒラの人がアイデアをたくさん出したり、役割についている人をサポートしたりすることで、議論が前に進んでいくのです。
ヒラがいないと議論は成り立ちません。将棋の「歩」のように、ヒラこそが議論を支えているのです。 - プレッシャーが少ない
役割がないので、司会や書記と比べると相対的にプレッシャーは少なくなります。
ただ、ヒラでいることのデメリットも、以下のようなものが挙げられます。
- 発言量が少ないと存在感が薄くなってしまう
役割についていないため、発言量が少ないと「いてもいなくても一緒」とみなされてしまい、選考で落とされる可能性が高いです。
- 発言量が多すぎるのもよくない
前の内容と矛盾するようですが、発言量が多すぎることもよくありません。
「何か話さないと存在感が薄くなる」と考えて他の人の意見を遮ってまで話してしまうと、協調性がないとみなされてしまいます。
ヒラの人は、ともすれば発言量が少なくなったり、多くなったりしてしまいがちですが、発言量のバランスを保って、絶妙な存在感を示すことが大切です。
ヒラに向いている人、ヒラをうまくすすめるコツ
「ヒラに向いている人」とひとくくりにすると難しいのですが、アイデアマン(意見をたくさん出す人)は他の役割に縛られるより、ヒラで自由に議論へ参加したほうが自分の良さを活かせるでしょう。
また、ヒラとしての振る舞い方のコツは、発言量のバランスが保たれていて、目立たなすぎず目立ちすぎないこと、周りをよく見て役職についているメンバーをサポートしてあげることが挙げられます。
他の役割についている人と比べて身軽であるという利点を活かして、適度に存在感を示していきましょう。
グループディスカッションでいちばん重要なのは、「協力」と「適材適所」
ここまで、グループディスカッションについて「評価基準」「テーマ」「流れ」「役割分担」という 4 つの軸で紹介してきました。
しかし、その中でも一番強調したいことは、グループディスカッションで一番重要なのは、「グループのメンバー全員で協力して、全員が議論に貢献する姿勢」だということ。
学生一人ひとりの力はわずかでも、5 人 6 人で力を合わせれば(協力)、グループ全体の力は何倍にも何十倍にもなります。
また、一つのグループが最大限に力を発揮するためには、それぞれのメンバーが自分の出せる最大の能力を発揮しなければいけません。
そのため、それぞれが自分の強みを一番活かせる役割について(適材適所)、グループに貢献することが大切なのです。
これからグループディスカッションを体験する皆さんには、ぜひ「協力」と「適材適所」という言葉を胸に、グループディスカッションという壁を乗り越えてもらいたいと思っています。
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