「転職に有利な資格って何?」
「もう若くないけど今からでも取れる資格はある?」
このように転職に向けて資格の取得を考えている人も多いでしょう。
転職したい業界や業種が決まっていれば取るべき資格もすぐにわかりますが、次にどんな仕事につくべきか決めかねている人もいますよね。
そこで今回は、転職に有利となる資格を紹介します。
この記事の目的は、ただ単に転職に有利な資格の紹介をするのではなく、資格の存在を知っていただき、その資格が本当にあなたの希望する働き方にマッチするのかを考えていただくことにあります。
ですから、ただ単に「簡単そうな資格」という見方ではなく、「この資格を持つことでどんな働き方ができるかな?」「本当に自分がやりたいことに合った資格なのかな?」といったように、あなた自身と向き合いながら読み進めてください。
転職活動のために履歴書を書こうとすると、資格を書く欄があるため、何か資格があったほうが良いのかなと考える方も多いと思います。
実際、「資格が何かあったほうが良いですよね」という相談も多いんですよ。ただ、それは一概には言えません。
次に就きたい仕事に関連する資格ならあった方が有利ですし、過去の業務に何連する資格を取得してきた実績があれば、自分に必要な知識を習得していける人だという評価につながると思います。
面接でも資格取得の目的をしっかり伝えられるように、自分が就きたい仕事に活かせるという目的意識を持って資格取得にチャレンジしてください。
目次
業務経験がなくても転職に有利となる資格
新たに資格の取得をする方の多くは、未経験の業種や職種への転職を考えているのではないでしょうか?
そこで、業務経験がなくても取得ができる10個の資格を紹介します。
- 日商簿記2級
- ITパスポート
- ファイナンシャルプランナー
- TOEIC
- MOS
- 秘書検定
- 医療事務
- 宅地建物取引士
- 危険物取扱管理者
- 介護職員初任者
もちろん「資格を持っているだけで採用」とはなりませんが、履歴書や面接でアピールする際に役立つでしょう。
とくに「ITパスポート」や「宅地建物取引士」など、業界未経験でも取得できる国家資格は、注目度が高い資格です。
それでは各資格について特徴や合格率、学習時間の目安などを詳しく紹介します。
日商簿記2級
日本商工会議所が主催する簿記検定試験は、経理事務に必要な会計知識や基礎的な経営管理などの知識を測るものです。
簿記検定は、1級、2級、3級、初級、原価計算初級という5つの等級があります。
簿記検定の3級は合格率が55.1%と高く、比較的合格しやすい資格のため、大きなアピール要素にはなりません。
転職活動でアピールするなら、簿記2級以上を目指しましょう。
ちなみに簿記検定2級の合格率は、10%台~20%台と回ごとに少し差があります。
たとえば、151回(2019.2.24)の合格率は12.7%であったのに対し、154回(2020.2.23)の合格率は28.6%でした。
いずれにしても、難易度は高めです。
学習時間も200時間~250時間必要ですが、合格すれば、高度な商業簿記や工業簿記のスキルを習得していると認められ、経理事務などの求人で有利になります。
ちなみに極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得している証となる、簿記検定1級の合格率は9%。
簿記検定1級をクリアすると、税理士試験の受験資格が得られるなど大変高い評価が得られます。
日商簿記2級の詳細 | |
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学習時間の目安 | 2級250時間、1級800時間 (平日2時間、土日10時間の週20時間勉強した場合、2級は約3カ月、1級は約10カ月) |
合格率 | 10%台~20%台 |
受験料 | 4,720円(税込) |
試験日 | 毎年6月、11月、2月に実施(1級は6月と11月) |
合格基準 | 70%以上 |
資格が評価される求人 | 一般企業の経理事務、税理士事務所のアシスタント業務 |
ITパスポート
ITパスポートは、「情報書類の促進に関する法律」に基づく国家試験で、合格すればITに関する基本的な知識があることを証明できます。
ITパスポートの試験で問われる内容は以下のとおりです。
- 新しい技術(AI、ビッグデータ、IoT など)や新しい手法(アジャイルなど)の概要
- 経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)
- IT(セキュリティ、ネットワークなど)
- プロジェクトマネジメント
これらの内容は業界や職種に関係なくどの会社でも活用できる知識なので、取得しておいて損はないでしょう。
新卒者の研修に採用している企業も多く、企業側の注目度も高い資格といえます。
合格率は59.1%(令和2年9月)と高めで、ハードルが低い資格ではあるため、高度なスキルをアピールするというよりは、基本的なITの知識が備わっていることを証明する役割として活用出来ると思います。
ITパスポートの詳細 | |
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学習時間の目安 | 人や学習方法によってさまざま(20時間~100時間程度) |
合格率 | 59.1%(令和2年9月) |
受験料 | 5,700円(税込) |
試験日 | 随時 |
合格基準 | 総合評価点600点以上であり、かつ分野別評価点もそれぞれ300点以上であること |
資格が評価される求人 | 多様な業界、職種で評価される |
ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナー(FP)は、住宅ローンや教育資金、年金制度など家計にかかわる金融の知識から、相談者の疑問や悩みを解決する仕事です。
家計管理のアドバイス、教育資金の準備方法、住宅ローンの繰り上げ返済についてや退職金の資産運用など、お金に関わる幅広い知識が必要とされます。
ファイナンシャルプランナーの資格を持っていると、保険会社や金融機関で働く人のキャリアアップにはもちろん、起業、講演会や執筆活動など、経験に応じて幅広いフィールドで活躍できるとあって、人気の高い資格です。
ファイナンシャルプランナーの資格には、国家検定であるFP技能士(1級~3級)と、日本FP協会認定のAFP資格とCFP資格があります。
日本FP協会認定のAFP資格とCFP資格は2年ごとの更新が必要で、実務研修などを経て常に新しい知識を持っていることから、企業や相談者から信頼を得られる資格です。
そのため、キャリアアップや独立して自分の事務所を持ちたい人は、日本FP協会認定のAFP、CFP資格を取得するとよいでしょう。
※画像)日本FP協会
AFP資格の認定には、2級FP技能検定の合格とAFP認定研修の修了が必要です。
AFP資格認定に必要なFP技能士検定2級の合格率は約40%ですから、学習すれば無理なく取得できる資格であるといえます。
CFP資格は、世界24の国と地域で認められているFPの上級資格。
CFP資格の認定には、AFP認定者であることのほかに、CFP資格審査試験6課目への合格、CFPエントリー研修の受講・終了、3年以上の実務経験が必要です。
ファイナンシャルプランナーの詳細(2級FP技能検定試験) | |
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学習時間の目安 | 200時(平日2時間、土日10時間の週20時間勉強した場合、約3カ月) |
合格率 | 学科試験41.86%、実技試験62.61%(2020年1月実施2級FP技能検定試験) |
受験料 |
学科と実技8,700円(非課税) 学科のみ 4,200円、実技のみ4,500円 |
試験日 | 2級は毎年1月、5月、9月 |
合格基準 | 学科 60点満点中36点以上 実技 100点満点中60点以上 |
資格が評価される求人 | 保険会社、不動産会社などの営業職 |
TOEIC
英語に関する資格といえば、やはりTOEICでしょう。
TOEIC(Test of English for International Communication)は、学校で習うような英語学習能力とは異なり、英語によるコミュニケーション能力を測るものです。
外資系企業や、海外への輸入・輸出等で英語でのやり取りが必要な商社、海外に工場がある大手メーカーなどで英語力が求められるため、TOEICで高得点を取ることは幅広い業界や職種の転職に有利になるでしょう。
TOEICを運営しているIIBC国際ビジネスコミュニケーション協会の「英語活用実態調査2019」によると、英語を使用する部署の中途採用でTOIECのスコアを要件としている、または参考にしている企業は50%を超えています。
※画像)国際ビジネスコミュニケーション協会
また同調査で、英語を使用する部署の中途採用で要件・参考とするTOEIC(L&R)の平均スコアは620点という結果となりました。
このことから、中途採用でアピールできるTOEIC(L&R)の点数は、620点ほどと考えられます。
もちろん社内の公用語が英語であったり、業務のほとんどを英語で行う企業や部署での採用は、700点、800点とより高得点のスコアが求められるでしょう。
求人情報に採用条件としてTOEICのスコアを設定している企業もあるので、働きたい企業が決まっているなら確認しておくことをオススメします。
TOEICの試験は年に数回実施されており、スコアが自宅に郵送されるまで、1カ月ほどかかります。
スコア郵送のスケジュールを考慮したうえで、ご自身の転職のタイミングに合わせて受験しましょう。
TOEICの詳細 | |
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学習時間の目安 | 現在の英語力と目標点数によって異なる |
合格率 | 合否ではなく点数がつく |
受験料 | 5,725円(税込) |
試験日 | 2級は毎年1月、5月、9月 |
資格が評価される求人 | ・英語講師(TOEIC700点以上 or 同等以上の英語のスキル) ・外資系企業のITヘルプデスク(TOEIC600点以上) ・商社の総合職(国際営業のためTOEIC750点以上) |
MOS(マイクロオフィススペシャリスト)
MOS(マイクロオフィススペシャリスト)は、Excel(エクセル)やWord(ワード)など、マイクロソフトオフィス製品のスキルを証明する国際資格です。
ITパスポートと同様に、多くの企業で社員教育として導入されている資格試験でもあります。
スペシャリストレベル(一般)とエキスパートレベル(上級、WordとExcelのみ)があり、2020年10月現在ではOffice2013、Office2016、Office365&2019(一般のみ)の3つのバージョンの試験が行われています。
Officeの資格は更新されないので、 新しいバージョンの資格を取得したい場合は再度受験しなければなりません。
Officeのスキルを証明する資格なので、はやり事務系の仕事への転職には有利になりそうです。
前職でOfficeを使いこなしていたという方は、短期間の勉強で合格出来る可能性が高いですが、まったく初めてという方が独学で勉強すると、少々時間がかかってしまうでしょう。
MOS(マイクロオフィススペシャリスト)の詳細 | |
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学習時間の目安 | Officeの利用経験により異なるが長くても80時間で終わらせたい |
合格率 | 合格率は非公開(累計受験者数や取得者の地域別・年代別割合の情報は公式サイトに掲載)合否ではなく点数がつく |
受験料 |
・Office365&2019 一般価格 1科目につき10,780円(税込) 学割価格 1科目につき8,580円(税込) ・Office2016 ・Office2013 |
試験日 | 全国一斉試験 毎月1回~2回 |
合格基準 | 1000点満点で550点~850点の範囲 |
資格が評価される求人 | 基本的にはマイクロソフトオフィス製品を使用するどんな業種の会社でも評価されるが、とくに事務系は評価が高い可能性が高い |
秘書検定
秘書検定は秘書を目指す人だけでなく、誰でも使えるビジネスマナーのスキルを証明する検定試験です。
レベルは3級、2級、準1級、1級の4段階ありますが、中途採用でアピールするなら面接試験がある準1級以上を目指したいところ。
大学生も新卒採用に備えて秘書検定を受ける人が多いことと、面接対策もできるので、できるだけ高い級を目標にすることをオススメします。
秘書検定では感じの良さや効率のよい仕事の仕方が学べるので、来客対応や細かい事務作業が多い事務系の仕事ではとくに有利に働くと考えられます。
秘書検定という名前がついているので、採用担当者によっては「募集しているスキルとは関係ない資格」と思われてしまうかもしれませんが、同僚や上司をサポートするスキルが備わっていることを上手にアピールできれば、どんな業種にも活かせるでしょう。
面接対策は、秘書検定公式サイトに「面接試験について」というカテゴリーがあるので、よく読んで準備することをオススメします。
秘書検定の詳細 | |
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学習時間の目安 | 人によって異なるが準備期間を1~2ヶ月に設定する人が多い |
合格率 | 1級25.3% 準1級44.1% 2級48.9% 3級52.5% (第119回の結果) |
受験料 | 1級 6,500円 準1級 5,300円 2級 4,100円 3級 2,800円 準1・2級 9,400円 2・3級 6,900円 |
試験日 | 6月、11月、2月(2級・3級のみ) |
合格基準 | 理論60%以上かつ実技60%以上(筆記試験の基準) |
資格が評価される求人 | 秘書に限らずどんな会社のどんな仕事にも役立つ資格ではあるが、管理職への転職よりも上司の業務をサポートするポジションへの転職に有効 |
医療事務
医療事務は、医療機関での受付や会計業務といった患者様の対応をしたり、保険者に診療報酬請求をしたりする仕事です。
医療機関は全国各地にあり、賃金は低めですが比較的安定した仕事なので、とくに女性に人気の職業でもあります。
医療事務の仕事をするのに、必ずしも資格を取る必要はありません。
それゆえ採用においては経験者が優遇される傾向にあります。
なので未経験の転職なら、資格を持っていないよりは持っている方がアピール要素になると思います。
また、「医療事務の資格」と言っても、日本には医療事務関係の資格が複数あるのはご存知でしょうか?
- 医療事務認定実務者(R)(全国医療福祉教育協会)
- 医療事務技能審査試験(日本医療教育財団)
- 医療事務管理士(技能認定振興協会)
- 診療報酬請求事務能力認定試験(日本医療保険事務協会)
1の医療事務認定実務者(R)は難易度が最も低く、初心者向けの資格試験です。
合格率は約60%~80%と高いので、この資格だけでは大きなアピールにはならないかもしれません。
ただ医療事務がまったく初めてという方は、この資格からチャレンジし、一番難易度の高い4の診療報酬請求事務能力認定試験の合格を目指すというのも方法の一つです。
診療報酬請求事務能力認定試験は、厚生労働省が認定している資格試験で、診療報酬請求事務から、受付や会計まで医療事務全般のスキルが問われます。
合格率も30%と低いので、医療事務への転職の際はこの資格が一番有効でしょう。
ちなみに、2の医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)と3の医療事務管理士はぞれぞれ合格率約50%となっています。
それぞれの試験概要をよく確認し、あなたの目的に合った試験を受けるとよいでしょう。
診療報酬請求事務能力認定試験の詳細 | |
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学習時間の目安 | 未経験者の場合は、6ヶ月~1年(400~500時間) 通信口座を使えば、3~4ヶ月も可能(200~250時間) |
合格率 | 医科27.5% 歯科27.2% (第51回の結果) |
受験料 | 9,000円(消費税込) |
試験日 | 年2回(7月、12月) |
合格基準 | 医科(学科:70点以上 実技:80点以上※100点満点) 歯科(学科:80点以上 実技:70点以上※100点満点) |
資格が評価される求人 | 医療事務 |
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、宅地建物取引業法に基づき定められた国家資格。「宅建」と呼ばれることが多いです。
資格取得には、試験に合格するだけでなく合格後、試験開催地の都道府県知事に対して登録手続きを行い、取引士証の交付を受ける必要があります。
宅地建物取引士の平成30年度の合格率は15.6%と低く、資格取得の難易度は高めですが、不動産、建築会社などの転職で有利になることから受験者数の多い人気の資格です。
不動産業だけでなく、不動産の担保価値を評価して融資することが多いことから金融機関で働く人にも、宅地建物取引士の資格が有利になることも。
不動産や建築業界のキャリアアップ転職や、金融機関の転職などで評価の高い資格です。
宅地建物取引士の詳細 | |
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学習時間の目安 | 400時間(平日2時間、土日10時間の週20時間勉強した場合、約5カ月) |
合格率 | 17.0%(令和元年度) |
受験料 | 7,000円(非課税) |
試験日 | 年1回10月の第3日曜日 |
合格基準 | 毎年異なる(令和元年度は35点) |
資格が評価される求人 | ・不動産コンサルタント ・住宅・建材・エクステリアを扱う企業の営業 ・銀行での資産運用コンサルティング業務 |
危険物取扱管理者
危険物取扱管理者は、消防法に基づく危険物の取り扱いと定期点検、保安の監督ができる国家資格です。
一定量数の危険物を貯蔵、取り扱いをしている化学工業、ガソリンスタンド、石油貯蔵タンクといった施設には、危険物取扱管理者を置かなければなりません。
危険物取扱管理者には次の3種類あります。
- 甲種危険物取扱者(全類の危険物)
- 乙種危険物取扱者(指定の類の危険物、乙種第1類~第6類)
- 丙種危険物取扱者(ガソリン、灯油、軽油、重油などの特定の危険物)
甲種危険物取扱者以外は、特別な受験資格はなく、誰でも受験可能です。
とくに乙種第4類(ガソリン、灯油、軽油、エタノールなどの引火性液体)は、企業からの需要も高く、求人の条件に記載している所も多いことから、受験者数が最も多い資格となっています。
若い人はもちろんのこと、30代や40代で資格を取得しても、十分活用できる資格です。
危険物取扱管理者の詳細 | |
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学習時間の目安 | 甲種 70~80時間程度 乙種 40~60時間程度 丙種 20~30時間程度 |
合格率 | 44.8% |
受験料 |
甲種 6,600円 乙種 4,600円 丙種 3,700円 |
試験日 | 都道府県により試験日程に大きな差がある(公式サイトで要確認) |
合格基準 | 甲種、乙種及び丙種危険物取扱者試験ともに、試験科目ごとの成績がそれぞれ60%以上 |
資格が評価される求人 | ・ガソリンスタンドの店員 ・タンクローリーの運転手 ・危険物保安監督者 ・ビル設備管理のスタッフ ・発電所の保守員 |
危険物取扱管理者(一般財団法人 消防試験研究センター)の公式サイト
介護職員初任者
今後ますます需要が増えると言われている、介護系の資格です。
これから介護業界にキャリアチェンジを考えている方で、はじめて介護系の資格にチャレンジするなら、介護職員初任者の資格取得を目指すのがオススメ。
介護職員初任者はかつてのホームヘルパー2級研修に相当する技術を証明する資格で、130時間の講習を受け、カリキュラム修了後に行われる1時間程度の筆記試験をクリアすれば取得できます。
座学に関しては通信教育と通学のうち、都合の良い方で勉強することができますが、通信教育を選んでも、実技講座には行く必要があるので注意しましょう。
介護職員初任者のカリキュラムを受ければ、介護の基本的な知識や技術を修得することができ、転職のみならず、将来介護が必要な家族と暮らすときににも役立ちます。
まずは介護職員初任者の資格を取得し、実務経験を積んでから将来的に国家資格である介護福祉士を目指すのもよいでしょう。
介護職員初任者の詳細 | |
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学習時間の目安 | 研修130時間+自主学習 |
合格率 | 公表されていない |
受験料 | 受講する機関により異なる 【例】ベネッセスクーリング 60,720円(週3回、テキスト代、消費税含む) ※東京の会場の場合の料金です |
試験日 | カリキュラム修了後に1時間程度の筆記試験 |
合格基準 | 100点満点中70点 |
資格が評価される求人 | ・老人ホームでの勤務 ・ホームヘルパー ・介護に関する仕事全般 |
経験を活かしたキャリアップ転職に有利な資格
新卒で一般企業に入社したけれど、なんだか物足りなさを感じて、キャリアアップの転職を考えている方もいるでしょう。
次に紹介する社会保険労務士と中小企業診断士という資格は、とても難易度の高い資格試験ではありますが、キャリアアップを目指すビジネスマンに大変人気の国家資格です。
企業からの評価も高い資格なので、今まで会社で働いた経験を活かしてさらなるステップアップを目指す方は、この2つの資格取得を目指してみてはいかがでしょうか?
社会保険労務士
社会保険労務士は、企業を経営するうえで必要な労務管理や社会保険に関する相談・指導を行う仕事です。
具体的には、以下のような業務を行うことができます。
- 労働社会保険諸法令に基づく申請書等及び帳簿書類の作成
- 申請書等の提出代行
- 申請等についての事務代理
- 都道府県労働局及び都道府県労働委員会における個別労働関係紛争のあっせん手続の代理
- 都道府県労働局における男女雇用機会均等法、パート労働法及び育児・介護休業法の調停の手続の代理
- 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続における当事者の代理(紛争価額が120万円を超える事件は弁護士との共同受任が必要)
- 労務管理その他の労働及び社会保険に関する事項についての相談及び指導
引用元: 社会保険労務士試験オフィシャルサイト
資格取得後は、社会保険労務士事務所や企業の総務部で働くことができます。
また将来的には独立開業も可能です。
社会保険労務士は、給与計算や保険の手続きなど企業との提携業務が多く、求人も豊富なので転職に役立つ資格といえるでしょう。
社会保険労務士には受験資格があり、「学歴」「実務経験」「厚生労働大臣が認めた国家資格合格」の3種類にわけられます。
受験資格といっても、専攻の学部や学科に問わず、学校教育法による大学、短期大学、専門職大学などを卒業した人は受験資格があるので、多くの方が受験できます。
申込時には、受験資格があることを証明するために書面の提出が必要ですので、受験資格があるか公式サイトでよく確認してから申し込みましょう。
合格率は5%~10%と難易度の高い資格ですが、働きながら勉強をして見事合格する人もいるので、ぜひ挑戦してみてください。
社会保険労務士試験の詳細 | |
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学習時間の目安 | 1,000時間必要(平日2時間、土日10時間の週20時間勉強した場合約1年) |
合格率 | 5%~10%未満 |
受験料 | 9,000円(払込手数料別途200円必要) |
試験日 | 年1回8月の第4日曜日 |
合格基準 | 選択式試験及び択一式試験のそれぞれの総得点と、それぞれの科目ごとに定められており、各成績のいずれかが合格基準点に達しない場合は不合格(合格基準点は、合格発表日に公表される)
【令和元年度の合格基準点】 |
資格が評価される求人 | ・社労士事務所のスタッフ ・企業の人事総務などのバックヤード ・企業の財務コンサルタント |
中小企業診断士
中小企業診断士は経営コンサルタントの国家資格で、キャリアアップにはもちろん、独立開業にも役立つとビジネスマンに人気の資格です。
- 効果的な資産活用するためにはどうしたらいいか?
- 優秀な人材を育てる方法は?
- 業務システムを改善したい!
このような企業の悩みに対して、専門知識で対応することが、中小企業診断士の主な仕事となります。
中小企業診断士は、筆記のみの1次試験と、筆記試験と口述試験のある2次試験があり、合格率はそれぞれ20%前後です。
決して簡単に取れる資格ではありませんが、資格を取得することで、企業の管理部門への転職を目指すことができ、さらに経験を積むことで起業も可能となります。
社会人経験が豊富な30代~40代の、起業や管理職への転職を目指す人にオススメの資格です。
中小企業診断士の試験に挑戦できるのは年1回なので、計画的に準備して合格を目指しましょう。
中小企業診断士試験の詳細 | |
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学習時間の目安 | 1,000時間必要(平日2時間、土日10時間の週20時間勉強した場合約1年) |
合格率 | 約20% |
受験料 | 1次試験:13,000円(税込)、2次試験:17,200円(税込) ※このほか、実務補習・実務従事 5日間コース5万円(税込・テキストを持っていない人)、15日間コース14万8,600円(税込・テキストを持っていない人)別途必要 |
試験日 | ・一次試験8月上旬の土曜日・日曜日2日間 ・二次試験筆記試験10月中旬または下旬の日曜日 ・二次試験口述試験12月中旬の日曜日 |
合格基準 | 第1次試験の合格基準は総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とする |
資格が評価される求人 | ・事業再生支援や事業承継支援を行う企業での企業支援コンサルタント ・公益財団法人の総合職(中小企業に対する各種支援事業の企画立案、実施) ・ビジネスマン向けオンライン講座の講師兼講座開発 |
40代からの転職でも遅くない!幅広い年齢の人が使える資格
「資格を取りたいけど、この年齢で取得しても仕事には繋がらないかも…」
「40代からの転職でも使える資格ってあるの?」
「社会保険労務士や中小企業診断士はハードルが高い」
30代後半から40代の人の転職は、なかなか難しいというイメージがありますよね。
先程紹介した社会保険労務士や中小企業診断士は、やはりハードルが高めなので、挑戦しづらいという方も多いでしょう。
ミドル世代の方が転職を目的として資格を取得するのであれば、幅広い年齢で活用できる資格を目指したいところ。
そこでミドル世代の求人も多く見られる、介護系の仕事に役立つ「介護福祉士」と、タクシードライバーやバスの運転手が目指せる「二種免許」について紹介したいと思います。
介護福祉士
介護福祉士は介護福祉専門職の資格で、介護福祉系の中で唯一の国家資格です。
お年寄りや障害のある方など介護が必要な方が快適に日常生活を送れるよう手助けをしたり、アドバイスをしたりするのが主な仕事です。
また介護に関する専門知識や技術が備わっているため、現場のリーダーとしての役割を果たしたり、ヘルパーや家族への指導も行います。
経験を積めば介護福祉士の上位資格「認定介護福祉士」を目指すことも可能。
仕事だけでなく、将来家族を支えることもできるため、まさに一生モノの資格と言えるでしょう。
ただ介護福祉士の仕事は賃金が低めで、夜勤をすることもあるので、体力と情熱が必要となるお仕事です。
その点も覚悟して、介護のお仕事を始める必要があると思います。
また介護福祉士には受験資格があり、以下のような条件を満たしていないと受験することができません。
- 介護福祉養成施設を卒業(修了した方)
- 3年以上(従業期間3年以上、従事日数540日以上)介護等の業務に従事し、実務者研修を修了した方
※これら以外にも受験ルートがあるので、公式サイトで確認してください。
合格率は70%と高めなので、実務経験さえ積めば取得しやすい資格といえます。
先に紹介した「介護職員初任者」の資格を取得して転職し、3年間実務経験を積んでから介護福祉士の資格を取得するとよいかもしれません。
介護福祉士試験の詳細 | |
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学習時間の目安 | 約200時間(1日2時間、3ヶ月学習) |
合格率 | 約70%(2019年は73.7%) |
受験料 | 15,300円 |
試験日 | 年1回 毎年1月(筆記試験) ※実技試験は毎年3月に行われるが福祉系高校やEAPからの受験コースのみ |
合格基準 | 問題の総得点の60%程度、かつ指定の11科目群全てで得点。 【第32回 筆記の合格基準】 1 総得点125点に対し、得点77点以上 2 「11科目群」すべてで最低1問は正解すること 全125問 1問1点 ※毎年総得点の60%程度を基準に、その年の問題の難易度によって補正される |
資格が評価される求人 | ・訪問サービスの介護職・ヘルパー ・デイサービスの介護職 ・老人ホーム |
第二種運転免許
第二種運転免許とは、タクシードライバーやバスの運転手など、人を運ぶ目的で運転するための免許です。
運転する車によって、取得するべき免許が異なります。
- 大型自動車第二種免許(大型第二種免許)
- 中型自動車第二種免許(中型第二種免許・8t限定、AT8t限定、5t限定、AT5t限定あり)
- 普通自動車第二種免許(普通第二種免許・AT限定あり)
- 大型特殊自動車第二種免許(大型特殊第二種免許)
- 牽(けん)引第二種免許(けん引第二種免許)
自分で教習所に通ったり、合宿に参加することでも免許の取得ができますが、ほとんどのタクシー会社やバス会社では研修に組み込まれているため、資格がないまま面接に臨むことができます。
また普通自動車運転免許と異なり、受験資格があるのも特徴です。
大型第二種免許、中型第二種免許、普通第二種免許、大型特殊第二種免許の場合は、21歳以上であり、他の第二種免許を現に受けている、または、大型第一種免許、中型第一種免許、準中型免許、普通第一種免許、大型特殊第一種免許のうちいずれかを通算して3年以上受けていることが条件とされています。(免許停止期間を除く。例外規定にあたる者は2年以上)
たとえば、21歳以上で普通自動車運転免許を取得してから3年以上経っている人は第二種運転免許を取得することができるということですね。
タクシードライバーやバスの運転手は、業界未経験の方や、ミドル世代の方も歓迎する傾向にあるので、運転が嫌いでなければ幅広い年齢の方が挑戦できるお仕事といえます。
また外国人観光客の増加により、外国語のスキルが活かせるお仕事でもあるので、外国語を活かした仕事を探している方も、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
第二種運転免許の詳細 | |
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学習時間の目安 | 約40時間の講習(技能、学科) 講習なしで直接試験を受けることも可能 |
合格率 | 平成30年度 47.7% (大型57.0%、中型67.7%、普通43.5%) |
費用 | ・免許交付2,050円 ・教習所卒業・検査合格 1,700円 ・失効免許・特定取消処分者1,900円 ・一般(試験車両貸車料込み)4,800円(7,650円) ・教習所で合宿なら20万円程度で取得可能 雇用保険の教育訓練給付金制度を利用し、厚生労働大臣の指定する講座を受講・修了した場合、自分が支払った金額の20%が給付金としてハローワークから支給される(条件あり) |
試験日 | 随時 |
合格基準 | 学科試験は90%以上 |
資格が評価される求人 | バスの運転手(送迎バス含む) タクシーの運転手 |
ただ資格を取得するだけでは有利にならない!転職に資格を活かすコツ
「資格があれば、他の応募者に差をつけられるかもしれない」
「経験を活かして今よりひとつ上のポジションで働きたい」
このように考えている人は、転職をする際に資格を取っておいたほうがいいのか気になりますよね。
結論から先に言うと資格がないとできない職業、例えば医師や弁護士、美容師等でない限り、資格を取得しただけで転職が有利になるとは言い切れません。
応募企業に合う資格を持っていた場合でも、その他の面で適正に合っていないと判断されれば、面接に通らないこともあるのです。
やはりこれから一緒に仕事をするのですから、企業側も資格を持っているだけで採用を決めるわけではない、ということは忘れないようにしましょう。
ただ資格を取ることで、転職の助けになることも確かにあります。
そこでこの章では、転職に資格を活かすコツについて紹介したいと思います。
転職先にマッチした資格を取得する
応募職種に関連する資格を取得することで、「一定の知識がある」という証明になります。
企業側も保有スキルを具体的にイメージしやすくなるというメリットがあるので、キャリアの補強として資格をアピールすると採用に繋がりやすいでしょう。
転職で資格を活かすポイントは、「転職先にマッチした資格」であること。
企業によっては求人情報に採用の優遇資格を掲載している場合があるので、転職したい職種や業界があるなら、求人情報を見て求められるスキルを事前に調べておくと、取るべき資格が明確になるはずです。
さらに資格があることで待遇面でも優遇される場合があるので、この点は資格取得のメリットとも言えますね。
資格取得の経緯やプロセスを履歴書や面接でアピールする
応募職種に関連のある資格しか取得する意味がないのかというと、そうとも限りません。
資格の取得は、働くこととよく似ています。
「目標を設定し、目標達成のために試行錯誤しながら継続して努力する。」
つまり応募企業と直接的な関係がない資格でも、取得までの努力がうまくアピールできれば、あなた自身が「努力ができる人」であることを企業に印象づけることができるのです。
ただ応募職種に関係のない資格を履歴書に記載していると、面接の際に「なんでこの資格を取ったの?」「なんでこの資格を活かして転職しないの?」という質問を受ける場合があります。
その際に、資格取得までの経緯をきちんと説明できるように準備しておく必要があるでしょう。
転職サービスを利用し資格を活かした転職のアドバイスをもらう
「自分にとって必要な資格がわからない」
「資格をもっているけどうまくアピールできない」
このように転職と資格で悩みが絶えないようであれば、一度ハローワークや転職エージェントに相談してみることをオススメします。
とくにこれまで多くの人の転職サポートしてきた転職エージェントなら、資格関連の悩みもたくさん聞いてきたはずです。
そのノウハウから、専任のアドバイザーが面談を通じて資格の必要性や取得した資格の活かし方などをアドバイスしてくれるでしょう。
転職エージェントは基本無料のサービスなので、複数のエージェントに相談して、いろいろな意見を聞くのもよいと思います。
多様な職種、職業の求人を扱うdodaやリクルートエージェントは転職相談だけでなく、面接指導や履歴書添削にも対応してくれるので、資格のアピール方法を丁寧に教えてもらえるでしょう。
【まとめ】資格を取るなら転職先を絞ってからがベスト
ここまで、転職に有利な資格と、資格を転職に活かす方法について紹介しました。
資格がなくても、転職ができないわけではありません。
ですが資格を持っていることで、転職に有利にはたらくこともあります。
何より資格があることで自信につながり、転職活動を積極的に行えるのであれば、資格取得は転職に役立つと言えるでしょう。
資格を取得して転職に活かすなら、やはり転職を希望する業界や職種に関連した資格を取るのがベストです。
業務経験がない職種でも、資格を持っていることで採用につながる場合があります。
資格を選ぶ前に、まずはあなた自身がどの業界や職種に転職をしたいかを明確にすることからはじめるましょう。
また資格の中には、試験が年に1度しか行われない資格もあるので、計画的に勉強をして取得を目指すことも大切です。
資格によっては受験資格として実務経験が必要なこともあるので、気になる資格があったときに受験資格も確認しておきましょう。
- 監修者:石峰朱実(キャリア・コンサルタント)
- 各種学校、公共事業にて主に就職支援を担当。また転職エージェントでの面接指導にもあたっており、人材業界での10年の勤務経験も含め、就転職支援では20年超のキャリア。>>詳細はこちら