派遣社員は、派遣元に時給交渉することで、時給が上がる可能性があります。
「時給交渉したけれど、上がらなかった」という人もいますが、そもそも交渉せずに派遣社員の時給が上がることは稀なので、ダメ元で交渉してみましょう。
もし今働いている派遣先の時給が上がらないなら、契約終了後に時給の高い職種に変えたり、派遣会社を変えて時給が高い仕事を紹介してもらう方法もあります。
今回は、派遣社員が時給アップさせる方法3つをくわしく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
働き方の多様化が浸透して久しいですが、派遣社員という働き方も認知度の高い働き方となりました。ところが、派遣社員へのイメージはさまざまで、中には現実とは違う情報が飛び交うこともあります。
派遣社員を必要とする企業は基本的には即戦力を求めています。あなたは、その即戦力性をどこで示しますか?
今まで培ってきたスキル、経験、知識、協調性、主体性、コミュニケーション力等、派遣先にどのようにして貢献できるかをイメージ出来たときに、契約更新が続いたり時給がアップしたりということに繋がってくると思います。
今後のキャリアビジョンを描きながら読み進めてください。
目次
1. 派遣会社に時給交渉して派遣社員の時給を上げる
派遣社員として働く場合、派遣先企業ではなく、派遣元の企業があなたの雇い主になります。
つまり給与計算や社会保険等の福利厚生、また契約更新など、就労に関することはすべて派遣元企業で管理されるというわけです。
ですから、派遣先企業の上司に給料アップをお願いするのはNG。
給料に関することは派遣先企業ではなく、派遣会社の担当者と交渉しましょう。
ここでは、派遣社員が派遣会社に時給アップの相談をする際のベストタイミングや、交渉する金額の相場について詳しく紹介します。
派遣会社に時給アップを交渉するベストタイミング
時給交渉は、派遣の契約更新時に行うのがベストです。契約更新時には、派遣会社の営業担当者から「契約更新の意思があるか」など、確認があるはずです。
担当者が職場訪問をし、派遣スタッフと面談するケースも多いので、その場で給与アップの交渉を切り出しましょう。
ただし、派遣会社によっては更新日のギリギリになって契約更新の連絡をする場合があります。
契約更新日の直前に時給アップを申し出ると、担当者が調整に追われることにもなるので、時給交渉を決めているときは、契約更新日1ヶ月前くらいを目安に担当者とコンタクトをとるように心がけましょう。
また、時給交渉をするのは1年目以降の契約更新時がベストタイミングです。
契約更新を3ヶ月ごと、6ヶ月ごとに行っている場合もありますが、少なくとも1年は同じ派遣先で仕事をして、業務に慣れた状態で時給交渉するのがよいでしょう。
日本人材派遣協会「派遣社員WEBアンケート調査結果」によると、派遣社員で給与アップを経験した人の割合は、勤続1年未満では6.6%と低めなものの、1年以上になると33.8%まで増えています。
派遣社員の就業期間別の給与アップの有無
就業期間 | 給与が上がったか? | |
---|---|---|
はい | いいえ | |
1年未満 | 6.6% | 93.4% |
1年以上~3年未満 | 33.8% | 66.2% |
3年以上~5年未満 | 43.9% | 56.1% |
仕事を続けて1年が過ぎるころには、派遣先での業務も一通り覚え、職場での信頼を得やすいころです。そのため、勤続1年を経過したあたりが、給与アップの交渉に適したタイミングといえます。
もちろん、1年未満でも「仕事の幅が広がった」「責任のある業務をまかされた」など、何か変化があったときは給時交渉のチャンスなので覚えておきましょう。
派遣社員が時給交渉をする際は実績のアピールが効果的
派遣会社への時給の交渉がはじめての人は、つぎの3つのコツを参考にしてください。
時給交渉のアピールポイント
- 派遣先での実績をアピールする
- 勤務態度など日常的なことをアピールする
- 資格取得でスキルアップをアピールする
時給アップを実現するためには、実績をアピールするのが一番です。
営業なら売り上げ、事務職等のデスクワークの場合は「普段のルーティーンワークのほかにアルバイトの指導を任されるようになった」など、仕事の幅が広がったことが実績となります。
その際は、「テフォンアポインターの業務で一日の目標5件のところ、平均10件のアポを取り付けています。」など、なるべく具体的な数字をあげて説得力を強めましょう。
また、勤務態度が非常によいことで時給アップに成功した人もいます。
たとえば社員との連携がうまくいっていることや、報連相をしっかりして派遣先の上司に「こちらが聞く前に状況を伝えてくれて助かる」などと評価の言葉をもらったことなど、職場で協調性を持って勤務していることなどもアピールポイントになります。
勤務態度がよければ企業からも契約継続を希望されやすいので、派遣会社としてはそういった人材には時給をアップしても働き続けてほしいと思うものです。
さらに、資格取得の実績もアピールになります。働きながら業務に関する資格を取った人は、派遣元にきちんと伝えて評価につなげましょう。
とくに資格取得でスキルアップしたことにより、職場で自分だけにできる仕事ができたときなどは、時給アップに効果的なアピールポイントとなりますよ。
派遣会社に希望する時給の具体的な金額を提示する
派遣会社に時給交渉する際は、具体的に「◯◯円上げてほしい」と伝えることで、交渉が進みやすくなります。
時給交渉の妥当な金額は、50円が目安です。
エン・ジャパンのアンケート調査によると「給料がアップした金額は時給に換算するといくらか」の問いに対して、10円~50円が54%と一番多いことがわかっています。
次に多かったのは、51円~100円上がったという人で23%です。
時給が上がった場合、派遣先はそれ以上の金額を派遣元に支払うことになるので、100円や200円の時給アップを望むと、派遣先に大きな負担となります。
1度の交渉で100円以上アップするケースは少ないので、客観的に見た自分の仕事の評価を踏まえながら100円以内の金額で交渉するのがベストでしょう。
時給50円アップは一見少ないように見えますが、週5日8時間の勤務だとして、週2,000円アップ、30日勤務したとして月に12,000円の収入が増えます。
もうひとつ、時給交渉の金額として参考にしたいのが、職種別の派遣社員の時給相場。職種別の時給の相場と比べて低い場合は、相場の金額を希望するのも方法の1つです。
もし派遣先企業で、同じ仕事をしているのに他社から派遣された人の方が時給が高ければ、その旨を伝えたうえで、同等の金額を提案してもよいでしょう。
同じ業務でも契約している派遣会社ごとにマージン率が異なることから、時給が異なる場合があるのです。
時給アップの交渉のタイミングや内容はわかりましたが、自分からお金のことを相談するのは勇気がいりますよね。
そうですね。
実は、実際に時給の交渉をする派遣社員は少ないんです。
どういうことでしょう?
エン・ジャパンの調査によると派遣社員として働く人の中で、時給に不満をいだいている人は47%ほどいるのですが、時給アップの交渉を実際にした人は20%しかいないんです。
お金の話をすると、派遣先や派遣会社との関係が悪くならないか、心配な人が多いからではないでしょうか。
そうですね。派遣社員に限らず給与UPの交渉をすることは容易ではないですが、特に派遣社員は昇給規定などが明確にあるわけではないので、迷いますね。ただ、自分の中で時給交渉をしてもいいのではないかと思える然るべき理由がある場合は、堂々と交渉してみましょう。
また交渉先は、派遣先の上司ではなく、派遣会社の担当者であることに注意してくださいね。
2. 派遣先を現職より時給の高い職種に変える
「派遣会社に時給アップの交渉をしたけれど、時給を上げてもらえなかった」
「時給アップにつながるような実績がないけど、時給を上げたい」
このような人は派遣の契約期間満了後、今より時給の高い仕事に就いて時給アップを試みるのがオススメ。
現在働いているのと同じ職種で、時給の高い派遣先企業へ転職することもできますが、時給の相場が高い職種へ転職する方が、大幅な時給アップが実現できるかもしれません。
正社員として転職する場合は経験やスキルを求められることが多く、未経験の募集は少ないのが現状です。
ただ派遣社員として働く場合、職種によっては実務経験がなくても応募できる求人もあります。
例えば、「ずっと事務職だった」という方も、エクセルでマクロが組める、自社のHPの更新をしていた、など他の職種にキャリアチェンジ可能な経験をアピールすることで、IT企業などに派遣元企業がコーディネートしてくれるでしょう。
前職との関連性があれば未経験でも採用されることもありますし、お仕事開始後もスキルアップすればいろいろな会社で働けるので、今までの経験から広げられる時給が比較的高い職種を目指すのも良いと思います。
資格を取得して未経験でも高時給の職種に転職する
「経験がなくてもやる気はある」ことをアピールするために、資格の勉強をするとより採用される可能性が高まります。
転職に役に立つ資格を職種別に紹介するので、参考にしてください。
※ 資格があるから転職が決まる、というわけではありません。あくまでも経験やスキルが同じ応募者がいた場合、他人と差をつけるのに有利な材料だと考えましょう。
事務系の仕事で役に立つ資格
一般事務よりも経理事務の時給が高いことから、事務系の仕事を希望する人には日商簿記の資格がオススメ。
受験者数が多く知名度の高い、日本商工会議所が主催する日商簿記には、初級、3級、2級、1級があります。
まずは社会人の基礎知識が問われ、取得していると経理関連の書類の適切な処理ができるとみなされる、3級の取得を目指しましょう。
会社規模によっては総務部で給料計算などをする会社もあるので、簿記の資格を持つことで総務事務の応募もできるようになり、可能性が広がります。
事務職でも十分に時給アップが期待できますよ。
営業系の仕事で役に立つ資格
営業の仕事で必要になることが多いのが、車の運転免許(普通自動車第一種免許証)です。
営業だけでなく、不動産業や介護業界など幅広い業界・職種で働けるようになります。
もちろん資格欄に「運転免許必須」と書かれてない限り、業務上求められないことが多いですが、中には実際に入社してみると必要だったというケースもあります。
運転免許は短期間で取得できる合宿が人気ですが、通学でも半年~1年で取得でき、働きながらの取得も可能です。
まだ取得していない人は、この機会に取得するのもいいかもしれません。
また、日本営業士会が主催する営業士検定もオススメ。
営業士検定の試験は、初級、上級、マスターがあり、合格するとマーケティング、セールスのスペシャリストとして認定されます。
営業のスキルは実際に行うことによって磨かれるものですが、知識を持っているだけでも評価につながる可能性がありますよ。
IT系の仕事で役に立つ資格
ITパスポートは国家資格で、IT未経験者も独学で勉強すれば取得できる資格。
資格試験では、セキュリティやネットワークのようなITに関する知識のほかに、マーケティング等経営に関することなど、幅広いビジネスの知識が問われます。
IT業界の技術職はもちろん、事務系や営業系でも幅広く通用するお得な資格です。
そしてIT系の業界を目指す人にもうひとつオススメなのが基本情報技術者試験です。
テクノロジー系、マネジメント系、ストラテジ系から情報技術に関する基本的な知識が問われます。
合格率は25%と難易度は高めですが人気の国家資格なので、IT業界経験者でより活躍したいと考えている人にぜひ挑戦していただきたいです。
こちらも持っているだけで時給アップとはいかないかもしれませんが、IT系の知識が十分あることを証明することができます。
サービス系・介護系の仕事で役に立つ資格
人手不足の介護業界は、未経験からでも働きやすい業界。ただその分、未経験者や無資格者の時給は高いとはいえません。
介護系の資格は実務経験が必要な場合が多いので、最初は未経験からはじめて、働きながら資格を取得していきましょう。
介護系の資格で最初に取るのは介護職員初任者研修(級ヘルパー2級)。この資格は130時間の研修を全過程修了し、修了試験に合格することで取得できます。
未経験でも取得できるので、介護職員初任者研修を短期間で修了してから、職場を探すのも良いと思います。
その次に取得したい資格は、介護福祉士実務者研修です。国家資格である介護福祉士の受験資格に、実務研修の受講・修了が義務付けられているため、受験者は取得必須の資格です。
実務経験を積んで、将来的にケアマネージャーや介護福祉士といった資格を取得できれば、資格保持者として手当がつくので、さらに時給アップが目指せます。
介護系の資格は、取得すれば末永く業界で活躍できる資格といえます。
3. 派遣会社を変えて派遣社員の時給アップを図る
「今の派遣会社で時給が上がる仕事が見つからない」という人は、派遣会社を変えて仕事を探してみるのもいいでしょう。
派遣会社によって保有している求人が違うので、派遣会社を変えると今より時給の高いお仕事ができるかもしれませんよ。
今回は全国で利用できて案件が豊富、そして福利厚生も充実している大手派遣会社を紹介しましょう。
マイナビスタッフ
クリエイティブ職の多さが魅力の、マイナビスタッフ。
就職情報誌の発行やwebサイト運営などを行うマイナビグループだから、広告・出版業界のグラフィックデザイナー、コピーライター、制作進行、webプログラマー、webデザイナーなどクリエイティブ職の求人を多く扱っています。
他社の求人サイトでは見ることのできない、メーカーや学校、公的機関のクリエイティブ職も扱っています。
また、未経験OKで高時給のコールセンターの優良案件も豊富。
クレーム対応や商品の販売など、精神的に負担が大きいイメージで人気のないコールセンターの仕事ですが、マイナビスタッフでは通販等の注文受け付けや、保険の契約変更、運送会社の集荷受け付けなど働きやすいお仕事が多いのだそう。
未経験の人が多いため、研修が丁寧に行われるのもポイントです。興味のある人は、コールセンター専門のコーディネーターに相談することもできますよ。
【まとめ】派遣社員の時給を上げるならまずは時給交渉からはじめよう
派遣社員の時給を上げるには、派遣会社と時給交渉する方法があると紹介しました。
時給交渉をしても、希望通りの時給になるとは限りません。ただ時給が勝手に上がることはほとんどないのが現状です。
時給が上がらない結果になっても、まずは派遣会社に時給交渉をしてみましょう。
もし今の会社から離れてもよいのであれば、今より時給の高い職種に変えたり、派遣会社を変えたりする方法もあります。
いずれの場合も、時給を上げるには実績が必要です。
専門的なスキルを身につけていることはもちろんですが、それに加えて仕事に対する姿勢や気配りなども時給アップにつながります。
「派遣社員だから時給アップなんてムリ!」とあきらめていた人も、将来のことを見据えて積極的に時給アップを目指しましょう!
- 監修者:石峰朱実(キャリア・コンサルタント)
- 各種学校、公共事業にて主に就職支援を担当。また転職エージェントでの面接指導にもあたっており、人材業界での10年の勤務経験も含め、就転職支援では20年超のキャリア。>>詳細はこちら