転職で年収アップ

「将来のことを考えて転職して年収アップさせたい」
「今の会社では給料が上がる見込みがないから転職したい」

このように、年収アップを目指して転職を考える人も多いと思います。

今までに培ったスキルや経験を活かし、キャリアアップ転職に成功すれば、収入の増加が見込めるでしょう。

中には現在のスキルや経験に自信がない人、または今までのキャリアとはまったく関係がない仕事で年収を上げたいという人もいるかもしれませんね。

その場合転職後すぐの給料アップは実現できなくても、転職後にキャリアを積んで結果的に現在よりも年収が上がる可能性もあるので、年収にしばられすぎないことも転職成功のポイントです。

今回は転職によって年収が上がる人の特徴や、企業選びのポイントを紹介したいと思います。

石峰朱実石峰朱実

働くうえで、給与はとても重要な要素の1つですね。転職する時に今より条件が悪い企業をあえて選ぶ方は少ないと思います。
ただ、単に今より高いお給与がほしいと望んでも、応募企業にとっては関係ないことです。
なぜ転職したいのか、新しい職場には何を望むのか、そのために自分が企業に提供できるものはなにか、など一連のことを整理してみましょう。
そうすると自ずと、応募したい求人、その給与市場もわかってくると思います。
また、どうしても○○万円稼ぎたい、と思う場合は、それに見合う仕事はどのような職種で何が求められているかを調べることから始めてみましょう。
そしてその金額を手に入れるために自分に必要なことを認識して、その力をつける努力をすることで、実現できる確立がUPすると思います。なりたい自分像を描いて目標を決めてみませんか。

転職で年収アップする人はどれくらい?転職で年収が上がった人の割合

転職で年収がアップする人の割合を見てみましょう。

厚生労働省「直前の勤め先及び現在の勤め先の状況」(平成27年)によると、賃金が増加した人は全体の40.4%、減少した人は36.1%、変わらない人は22.1%となりました。

男女別で見ると、女性の方が男性に比べて年収が下がりにくい傾向にあることがわかります。

増加 減少 変わらない
38.0%
37.3%
23.0%
43.6%
34.5%
20.7%

次は、転職後の年収の動きを年齢別に見てみましょう。

増加
減少
変わらない
20~24歳
43.6%
24.0%
26.7%
25~29歳
47.1%
31.5%
20.5%
30~34歳
44.4%
32.9%
22.2%
35~39歳
43.3%
33.1%
22.2%
40~44歳
43.7%
33.0%
21.8%
45~49歳
36.2%
39.3%
23.7%

年齢別で年収が増加したと答えた人が一番多いのは25~29歳の層、ついで40~44歳の層です。45歳を超えると、増加よりも減少の割合が多くなります。

「40歳からの転職でも、年収アップができるなんて意外……」と思った人もいるかもしれません。

35歳転職限界説という言葉があり、転職は30代までにという認識をもつ人が多いですが、実際は40歳以降でも年収アップの転職を実現した人が比較的多いようです。

また同調査による年収の増加と減少の割合を見てみると、40~44歳は3割以上の増加が10%とどの年代よりも多いという結果となりました。

3割以上の増加 1割~3割増加 1割未満増加 3割以上減少 1割~3割減少 1割未満減少
20~24歳
7.5%
19.4%
16.7%
2.5%
12.8%
8.7%
25~29歳
8.2%
22.9%
16.1%
6.3%
15.5%
9.7%
30~34歳
9.4%
20.9%
14.2%
6.2%
17.4%
9.3%
35~39歳
8.4%
18.6%
16.3%
9.4%
15.6%
8.1%
40~44歳
10.0%
20.0%
13.5%
7.9%
16.7%
8.5%
45~49歳
9.6%
17.5%
9.0%
10.8%
17.4%
11.2%
古閑 美貴

どうして40~44歳は年収アップ率が高いんですか?

石峰朱実石峰朱実

今までのキャリアが評価されて転職後の職場で役職に就く人が多いこと、そして家族を養う必要があって年収を下げる転職を避けることが、その要因と考えられています。

坂本 勇治

年収アップの転職にはキャリアが重要というわけですね。

石峰朱実石峰朱実

そうですね。厚生労働省「転職者実態調査の概要転職者の採用状況より」(平成27年)によると、転職者の採用にあたり最も重視した事項は「これまでの経験・能力・知識」が71.4%で最も多いことがわかっています。

坂本 勇治

なるほど。だから経験豊富な40~44歳で年収アップの転職が有利なんですね。

転職で年収が上がる人の特徴は「経験と意欲がある人」

転職をすることで年収が上がる人の特徴として、次の2つが挙げられます。

  • 十分な知識と経験がありキャリアアップの転職を目指している人
  • 20代後半~30代前半の若い人で意欲が高い人

さきほど転職者の採用にあたり、企業が最も重視しているのは経験、能力、知識であると紹介しました。

転職者を採用する企業の立場から考えると、転職者はあくまで新人です。

新人に対して最初から高いお給料を支払って、働いてもらおうと考える企業は多くありません。

そのためもし前職よりも高い給料を希望するなら、付加価値が必要となります。

その付加価値が、前職で培った経験や能力、知識となるわけです。

このことから企業側が求めている経験や能力、知識を持った人で、活躍できると見込まれる人なら、年齢や転職回数に関係なく年収アップが期待できます。

キャリアが重視されるのは、20代後半から30代前半の人にも同じことがいえます。

新卒から3年以上経った人なら、社会人としてのキャリアは十分認められるはずです。

新卒から順調にキャリアを積んできた人は、社会人経験が3年でも、年収アップの転職が期待できるでしょう。

また20代後半から30代前半の人は、まだまだ長く働ける人材ですから、入社後の成長も期待できるという点も、企業にとっては魅力的な人材と言えます。

業界や職種にもよりますが、若い年齢の人は転職前の給料がもともと低い人も多いと思いますので、今の給料よりも高い会社を見つけることも、難しくないでしょう。

転職で年収をアップさせる企業選びのポイント

年収アップを目指して転職を考えている人は、どうしても企業が提示する給与額に注目しがちです。

ですがお給料だけを見て転職先の企業を選んでも、あなたのスキルや能力を求めていない企業ですと、採用されない可能性が高くなります。

また入社したはいいけれど、業務内容や労働環境などで不満が生じて、長く働けなくなる場合も考えられます。

年収アップが実現でき、かつ更にキャリアアップを目指せるような企業選びが理想的です。

それではここから、転職後の年収アップを実現させるための企業選びのポイントを紹介したいと思います。

「同業界・同職種」「異業界・同職種」に転職する

年収が上がる可能性が一番高いのは、同業界・同職種への転職です。

これまでの知識や能力をダイレクトに活かせるため、年収アップが期待できます。

また異業種・同職種への転職も、年収アップが期待できます。

異業種・同職種への転職とは、「雑誌の編集者から、Webメディアの編集者への転職」「医療機器の営業職から、保険の営業職への転職」といったような転職の仕方のことです。

扱うものが変わっても前職の業務経験が活かせますから、同職種の人材を求める企業は多く、入社後のビジョンを明確に伝えることができれば、年収アップも期待できるでしょう。

また業界の垣根を超えることで、企業の選択肢が増えるというメリットもあります。

一方、年収アップが厳しいのは異業種・異職種への転職、いわゆる「未経験の転職」です。

新卒から3年以内でもともと給料が低い人が、より給料の高い業界へ転職する場合は、年収が上がる可能性もありますが、年齢が上がるにつれて未経験での転職は難しくなります。

年収アップどころか採用さえ難しくなりますから、未経験への転職かつ年収アップを希望する人には、険しい道のりとなるかもしれません。

ベンチャー企業や外資系企業も検討する

転職後、その企業で長く働きたいと考えている人にとって、企業の安定さは重要なポイントだと思います。

昔から続いている大手企業は、とても魅力的に感じますよね。

ただ年収アップの転職を考えている人にとっては、デメリットがあるかもしれません。

昔から続いている企業は、まだ年功序列の風潮が残っている企業も多く、勤続年数や年齢に基づいた給与規定が設定されている場合があります。

年収アップ重視で転職をするなら、実力重視で評価されるベンチャー企業や外資系企業を視野に入れて転職活動をしてみましょう。

面接でこれまでのキャリアと、入社後どのように貢献できるかをしっかりとアピールすることで、年収アップが実現できる可能性が高いです。

基本給のみで転職先を決めない

わたしたちが受ける給与額は、基本給に加えて諸手当が含まれます。

給与形態の例

この諸手当が充実している企業に転職したら、たとえ基本給が下がったとしても得られる収入が増える可能性があるのです。

逆に基本給は上がったけれど、住居手当がなかったり、手当があっても前職より低い金額になったりすると、結局収入が減ってしまうことになりかねません。

ですから、給与額の内訳や諸手当などはきちんと確認しておきましょう。

「求人広告に書かれている用語の違いがわかりにくい」という人は、以下を参考にしてください。

  • 月給

    残業手当・通勤手当・住宅手当などの各種手当を全てを含めた月の総支給額のことをいいます。

  • 基本給

    残業手当・通勤手当・住宅手当などの手当を除いた給料のベースとなる賃金を基本給といいいます。
    賞与や退職金などはこの基本給から算出されることが多いようです。

  • 手取り

    毎月支払われた月給から、社会保険料や所得税、住民税などを差し引いた金額が手取りです。
    実際に受け取る金額のことですね。

  • 営業手当

    固定残業代・みなし残業代のことを営業手当と記載している企業があります。
    たとえば「月給25万円(基本給+営業手当)※営業手当は月20時間相当の固定残業代」と書かれている場合、月20時間までの残業代は出ません。
    20時間を超えた場合の残業代は支払われなくてはなりません。
    月20時間の残業代が含まれているので基本給は25万円より低くなります。

  • 諸手当

    時間外手当(25%増)、深夜手当(25%増)、休日手当(35%増)は記載がなくても払われなくてはいけないものです。
    面接時に「時間外の勤務は月どのくらいあるか」を確認すると月の残業代が計算でき、大体の月給が計算できます。

年収アップの転職を成功させる給与交渉術

電卓を見せる男性

場合によっては、年収を上げるために給与交渉をする必要があるかもしれません。

ただし、給与交渉は気が引けるという人が多いのではないでしょうか。

「面接で給与額の話をすると、悪い印象を与えてしまうかもしれない」
「希望の給与額があるけれど、なかなか言い出せない」

このように日本人は「給与交渉が苦手」という人が多い傾向にあります。

常に謙虚な気持ちでいることは大切だと思いますが、給与額に納得できないまま入社を決めてしまうと、入社してから後悔するかもしれません。

ですから給与面に関しては、お互いに納得するまできちんと話し合いをしましょう。

ただし、企業側が給与額の設定に慎重になる理由は理解しておいてください。

人を雇えば毎月の支出が増えますし、一度設定した給料は簡単に下げられません。

また「キャリアを見て採用をしたけれど、いざ入社したら全然期待はずれだった」という場合でも、会社は簡単に社員を辞めさせられないのです(試用期間を除く)。

ですから、給与交渉の結果、給与が上がらないことも十分考えられます。

給与交渉のタイミングはできるだけ早めがよい

給与交渉のタイミングは、面接当日です。

面接の最後に質問がないか聞かれたときが、1つのタイミング。

面接で話した仕事の話にからめつつ、給与交渉の話題に持っていくのがスマートです。

面接の最初から給与の話をはじめてしまうと、仕事よりも待遇重視で会社を選んでいると思われてしまいます。

面接中、話の流れで給与や待遇の話になったら、そのときに切り出してもよいでしょう。

面接の中で給与の提示があり、そのまま質問も交渉もせずに、内定後にやはり給与についてという話をすると企業側もよい気はしません。

そこで話が決裂することもありますので注意が必要です。

給与交渉の際は希望額と金額の根拠を説明できるようにする

給与交渉をする際は、入社後、企業にどういったメリットがあるのかを具体的に説明し、「企業にとって価値のある人材」であると評価してもらうことが大切です。

まずはあなたが希望する年収額をきちんと決めておきましょう。

そして、その金額に至った根拠を説明できるようにしておきます。

前職での給与額や諸手当を提示して、交渉に利用するのも効果的です。

また、業界や業種での給与額の相場も把握しておきましょう。

相場よりも明らかに高い金額を提示しても、応じてもらえない可能性が高いです。

ちなみに給与交渉において「いくらでもいいです」と伝えるのはオススメしません。

自分の仕事に対して自信がなく、仕事の価値を把握していないような印象を与えてしまいます。

求人に書かれている給与額の範囲内ということが前提ではありますが、交渉するからには、希望額をはっきりと提示して、交渉をすすめましょう。

給与交渉なら転職エージェントに任せるのもよい

「給与交渉は難しそう」と思った人は転職エージェントを利用してみてもよいでしょう。

転職エージェントとは、無料で転職相談にのってくれて、企業の求人紹介から面接のセッティング、給与交渉など転職に必要なサポートをしてくれるサービスのことです。

担当のキャリアアドバイザーが企業と給与交渉してくれるので、利用者は企業と直接給与の話をする必要はありません。

キャリアアドバイザーへなら、希望する年収額も、遠慮なく伝えられるでしょう。

年収アップを目指す方にオススメの転職エージェントを4つ紹介するので、どの転職サービスを利用するか迷った人は参考にしてください。

doda

doda公式サイト


転職を考えているなら、まず相談したいのがdodaです。

dodaの特徴は、業界や職種に特化した専任のキャリアコンサルタントが対応してくれること。

各業界や職種における、あなたの市場価値を的確に判断してくれるだけでなく、希望する年収を得るには、どのような転職をするべきかを的確にアドバイスしてくれます。

応募書類の書き方や面接対策、さらに年収交渉もしてくれるので、年収アップの転職をした人はまずdodaに相談してみることをオススメします。

dodaの無料相談はこちら

リクルートエージェント

リクルートエージェント公式サイト


求人数NO.1のリクルートエージェントも、dodaと合わせて登録しておきたい転職エージェントです。

非公開求人を豊富に保有しているので、転職サイトでは見つからなかった求人に出会える可能性が高くなります。

年収アップの転職を希望していることを伝えて、あなたの希望に合った求人がないか相談してみてください。

またリクルートエージェントは、面接を通してあなた自身もまだ気がついていない強みを見出してくれるので、たとえリクルートエージェントでよい求人情報に出会えなくても、今後の転職活動の参考になることは間違いないでしょう。

リクルートエージェントの無料相談はこちら

ビズリーチ

ビズリーチ公式サイト


ビズリーチは年収600万円以上の人に支持されている転職サービスです。

ハイクラス向けの転職サービスなので、30代~40代のいわゆるミドル世代の人で、キャリアアップ転職を目指す人に最適の転職エージェントと言えます。

求人のうち6割以上が年収800万円を超える点も、大変魅力的です。

ビズリーチに登録すれば、登録した情報をもとに企業からスカウトが届く仕組みで、スカウトされた場合は面談や面接が確約されます。

「思いもよらない企業からスカウトされた!」という声が多いということで、あなたが考えていなかった企業に出会えるかもしれません。

ビズリーチの無料登録はこちら

年収はアップしたけど転職は失敗?年収アップの落とし穴

転職をしたことで年収が上がったら、たしかに転職成功といえます。

ただし年収が上がった分、企業は成果を求めてきます。年収を上げたい人は、まず企業の求める成果を出す自信があるかどうかをよく考える必要があるのです。

もちろん成果が出なかったからといって、会社を辞めさせられることはありませんが、会社に居づらくなり、結局自分で会社を辞めてしまうことになるかもしれません。

「年収アップをすることで、心の負担が増えるのでは?」と心配な人は、年収が上がらなくても、キャリアアップが見込める会社に転職することをオススメします。

最初は希望通りの給与額ではないかもしれませんが、入社後に実力を発揮し、結果を残せば、自然と給与は上がってくるでしょう。

早ければ試用期間が終了すると同時に、給与額を上げてもらえる可能性もあるので、長い目で見た年収アップの転職を検討してみてください。

【まとめ】年収は後からついてくる!年収以外にも転職目的を明確にしよう

年収アップは、働く人なら誰もが求めることだと思います。

同じ働きをするなら、給与がたくさんもらえる会社で働きたいですよね。

もしあなたの能力と給与が見合っていないと考えるなら、転職にチャレンジするのもよいでしょう。

ただし給与額は、企業にとってのあなたの価値をあらわすもの。

高給になる分、企業が求めることも多くなります。

年収アップはしたけれど、想像していたよりも労働環境が厳しかったり、企業からの期待を負担に感じてしまい、つらい日々を過ごすことになるかもしれません。

年収アップは、転職後にキャリアを積むことで実現することも可能です。

年収ももちろん大切ですが、それよりも転職する目的や希望の労働環境、転職後のキャリアアップなど総合的に考えて転職先を選ぶようにしましょう。

監修者:石峰朱実(キャリア・コンサルタント)
石峰朱実
各種学校、公共事業にて主に就職支援を担当。また転職エージェントでの面接指導にもあたっており、人材業界での10年の勤務経験も含め、就転職支援では20年超のキャリア。>>詳細はこちら