第二新卒のための職務経歴書の書き方と見本

転職の際に必要な職務経歴書。それは一般の転職者も第二新卒も同じことです。

「職務経歴書を書いたことがないので、何を書いていいかわからない」
「すぐに会社を辞めてしまったから、職務経歴書に書くことがない」

このように、転職がはじめての第二新卒の人は職務経歴書の作成に苦労するのは当然ですよね。

履歴書は決まった書式があり項目を埋めるだけですが、職務経歴書は決まったフォームがなく記載する項目も人それぞれ。

職歴の浅い第二新卒の職務経歴書は、志望動機や自己PRを充実させるのがポイントです。

またキャリアがないことを気にする第二新卒の人もいますが、求められるのは「現時点のスキル」よりも「将来性」。

つまり企業は第二新卒世代に、やる気や人柄、ポテンシャルを期待しているので、それらをアピールするとよいでしょう。

今回は、第二新卒の人向けに職務経歴書の書き方を紹介します。

石峰朱実石峰朱実

職務経歴書は今や応募書類として履歴書とセットで出すものという認識が定着してきました。
期間が短かった方も含めて、前職ではどういう経験をし、何を得たのか。その経験を踏まえて、次の会社ではどういう姿勢で取組もうとしているのかを伝えるものです。
それらのことを書類にして言語化するには自己分析をしっかり行う必要があります。職務経歴書の作成をきっかけに、自己の掘り下げができ、面接対策にもなります。
ぜひ、がんばって取組んでみましょう。

第二新卒でも職務経歴書は必要!職務経歴書の役割

転職には履歴書と職務経歴書が必要です。

それぞれの役割の違いを知っておくと、何を書けばよいのかが明確になります。

履歴書

履歴書は、氏名・住所・連絡先、学歴、職歴などの個人情報が書かれた、求職者の基本的なデータを書いたものです。

志望動機や自己PRを書く欄のある履歴書もありますが、スペースが限られているため簡潔に書く必要があります。

志望動機や自己PRの詳細は、職務経歴書によって補足しましょう。

職務経歴書

職務経歴書は、仕事の経験やスキルをアピールするためのもので、自分を売り込む資料です。

職務経歴書から、採用担当者が知りたいことは「求めていることの何を満たしている人か」ということ。

  • 応募職種の実務経験があるか(スキルがあるか)?
  • 仕事を覚えたら活躍してくれそうか?
  • 会社の人とうまくやっていけるか?

このような点から「採用したい人材かどうか」を企業は判断します。

逆に言えば、第二新卒のみなさんは、上記のようなことをアピールすればよいわけです。

中途採用の募集では、履歴書に合わせて職務経歴書の提出を求められることが多いです。

働いた期間が短い第二新卒の人も、職務経歴書は必要なので必ず作成しましょう。

ただし、第二新卒の求人では少ないですが、企業側が「面接を重視する」「ハードルを下げて応募を集めたい」という意図から履歴書のみの提出を求める場合もあります。

そんな場合でも、職務経歴書を提出することで、意欲を伝えられます。

いずれにせよ職務経歴書は自分のキャリアの整理にもなり、作成しておいて不利なことはありませんので、準備しておきましょう。

職務経歴書をひとりで書くのが不安な人は・・・

自分ひとりで履歴書や職務経歴書を書くのが不安という人は、一度転職エージェントなどの転職サービスに相談してもよいでしょう。第二新卒の転職が得意なエージェントを利用すると、より的確なアドバイスを得られますよ。

採用されやすい職務経歴書の条件2つ

採用担当者に好まれる職務経歴書は、読みやすくて企業が求めている要素をアピールできている職務経歴書です。

1. 読みやすい職務経歴書

採用担当者は、短時間で何十通もの履歴書・職務経歴書に目を通さなければいけません。

人気企業の場合、一通に目を通す時間は約1分と言われています。

短い時間で自分をアピールするためには、読みやすい職務経歴書である必要があるのです。

職務経歴書はWordやExcelなどを使用して、パソコンで作成するのが一般的。

なぜならA4用紙2枚程度にまとめるので、手書きでは読みづらい可能性があるからです。

読みやすい職務経歴書を作成するには、つぎのポイントに気をつけましょう。

職務経歴書を書くポイント

  • 誤字脱字をなくす
  • 伝えたいことが明確に伝わる短い文章で書く
  • 適度な改行とスペースでバランスよく書く

誤字脱字のある書類は読みづらいだけでなく、「仕事の正確性に欠ける」「志望度が低い」など、マイナスイメージを与えてしまいます。

書類作成が完了したらパソコンの画面だけでなく、プリントアウトをして確認します。

少し時間をおいて再チェックすると第三者的目線になれるので、誤字脱字など見つけやすいでしょう。

またよくありがちな失敗が、熱意を伝えすぎて文章が冗長になってしまうこと。

冒頭でもお伝えした通り、職務経歴書はプレゼン用の資料です。

ひとつの項目で長々と説明するとことがないよう、箇条書きなどを効果的に使い、見やすく作成する必要があります。

ただし、志望動機や自己PRなど、どうしても文章が長くなる項目もありますよね。

その場合は3~5行を目安に改行を入れるなど、読みやすいレイアウトを心がけましょう。

自己PRでアピールポイントが2つある場合は、それぞれに見出しをつけると見やすい文章になりますよ。

2. 企業が求める要素をアピールできている職務経歴書

企業が第二新卒に求めていることとして、ポテンシャル(可能性)が挙げられます。

第二新卒に求めているポテンシャル(可能性)を、「やる気」から見極める企業もあるでしょう。

たとえば、やる気をアピールするには「どうしても応募企業で働きたい」という熱意を感じられる志望動機が必要です。

志望動機があやふやだと、「IT業界ならどこの会社でもよかったのかな?」「そこそこ知名度のある会社だから応募した?」と思われてしまい、やる気を感じてもらえないので注意。

応募企業ならではの取り組みのほか、「将来どうなりたいか」や、そのために行っていることなどを具体的に書くとやる気を感じてもらえそうですね。

第二新卒向け職務経歴書の書き方(見本)

職務経歴書には、決まった書式がありません。

なので、基本的には自分が書きたいことを自由に書いて問題ありません。

とはいえ、それだと何を書くべきか迷ってしまいますよね。

ここでは第二新卒の人向けに、基本的な職務経歴書の書き方とポイントを紹介します。

職務経歴書(職歴要約・職務経歴・業務内容)
職務経歴書(保有資格・志望動機・自己PR)

1 経歴概要・要約

自分の経歴のあらすじです。

大学卒業から現在に至るまでの経歴を、3~5行程度にまとめて書きます。

2 職務経歴

職務経歴の書き方には、編年体逆編年体キャリア式の3つの書式があります。

職務経歴の書式

  • 編年体

    編年体は、古い順番に経歴を記載する書き方です。下に向かうほど最新の職歴となり、職務経歴を表すにはオーソドックスな書き方。経歴の多い少ないに関わらず使えます。

  • 逆編年体

    古い順に経歴を記載する編年体とは反対に、最新の経歴から記載する書き方が逆編年体です。「新卒で入社した会社と別の業界の会社へ転職し以降、その業界で転職を繰り返している」など複数の経歴があり、直近の経験をアピールしたい場合に使われます。

  • キャリア式

    キャリア式は、応募企業の役職や業務に対して関連の高い経歴を抜粋して記載する方法。複数の転職経験があり、アピールしたいスキルや経験のある人が使う形式です。

転職がはじめての第二新卒のみなさんは、編年体で書くのがオススメ。

企業情報は、企業名や勤務していた期間のほか、事業内容、資本金、売上高、従業員数などを記載して、採用担当者が見たときに「どんな会社で働いていたのか」想像できるようにするのも1つの方法です。

このとき、「アルバイトも職歴として書くべき?」と迷う人もいますよね。

基本的に、職務経歴に含めるのは正社員(派遣社員・契約社員含む)として勤務した履歴とされていますが、現在は雇用形態の多様化もあり、書かずに何もしていないブランクだという印象を与えるより、アルバイトも書く方がよい場合もあります。

ただし職務経験の浅い第二新卒は、アルバイトの経歴がアピールにつながることもあり、つぎのようなケースが該当します。

アルバイトの経歴がアピールにつながるケース

  • アルバイトでやっていたことが応募企業に関連した内容である
  • アルバイトで応募先に活かせるスキルを手に入れた
  • アルバイトでも社員同様の仕事内容や昇給があった
  • アルバイトで1つの企業である程度の期間(6カ月以上)仕事を継続した
  • アルバイトながら、スタッフのまとめ役やリーダーなど任されたり、担当の仕事を任された経験がある

とくに正社員を辞めたあと、長期でアルバイトをしていた人は職務経歴に記しましょう。

なぜなら職歴に空白期間があると、企業側は「何をしていたのか?」と不安になるからです。

そんなときアルバイト歴を記しておけば、ブランク期間も労働していたことをアピールできます。

このとき「アルバイトをしながら資格の勉強をしていた」など意欲的に過ごしていたとわかる一文を忘れずに。

このようにアルバイトでも基本的には職歴にまります。どう書くかは工夫次第であり、自分の状況によって書き方を変える必要があります。

アルバイトの経験を活かした履歴書の書き方

3 業務内容

業務内容から企業が知りたいのは、求職者の経験とスキルです。

そのため、業務内容はなるべく具体的に書きましょう。

電話応対やパソコン入力などの業務もすべて記載します。

たとえば電話応対であれば、「約50回/1日(資料請求・クレーム対応含む)」など、仕事の詳細がわかるように書きましょう。

「電話応対やパソコンの入力は誰でもできるし」と、自分の判断で業務内容を省かないことがポイントです。

4 資格・スキル・自己啓発

スキルは、応募企業の業務に関連するものを中心に記載します。

「業務でWord、Excel、PowerPointを使っていた」「Wordはビジネス文書の作成、ExcelはVLOOKUP関数、ピボットテーブル、グラフ作成が可能」など、PCスキルレベルは職種に関わらずアピールになるので書いておきたいところです。

記載する資格のない人も、PCスキルは簡単に身につけられるので、ワードでビジネス文書を作ってみる、エクセルの関数を学ぶなどを独学で行ってみましょう。

ちなみに資格は、希望職種に関連性の高いものを優先させましょう。

関連性のない資格を書くと、「何をアピールしたいのか」採用側に伝わりづらくなります。

ただし「取得が難しい資格」については、アピール材料になるので記入して問題ありません。

たとえば合格率が低い国家資格など、取得のため努力したことがうかがえるので、プラスの評価になりますね。

それ以外に資格を取るほど力を入れているものがあれば、履歴書の「趣味」の欄を活用しましょう。

書類選考で採用側の目に止まったり、面接時の話題作りになるかもしれません。

また資格を記入する際は、略称ではなく正式名称で記入してください。

資格の正式名称

  • 運転免許 → 普通自動車第一種運転免許
  • 英検 →実用英語技能検定
  • 簿記 →日本商工会議所主催簿記検定(あるいは日商簿記検定)
  • 宅建→宅地建物取引士

5 志望動機

志望動機には「なぜその企業で働きたいと思ったか」を書きます。

そのためには応募企業についてだけでなく、業界についてもよく知っておかなければなりません。

業界の知識があれば他社と比べられ、「老舗で幅広い人に愛されている」「新しいことにどんどんチャレンジする」など、応募企業の特徴を理解することができます。

さらに、応募企業のどんな取り組みに共感できるか、将来性を感じるかについて書いてもよいでしょう。

志望動機欄では、「なぜ応募企業でないといけないのか」の理由だけでなく、応募企業でどのように仕事をしたいのか、今の段階でできることをアピールできるとなおよいです。

「上司と反りが合わなかった」や「営業のやり方が不満だった」など転職前の会社のネガティブな部分を引き合いに出す人もいますが、主観だけのネガティブな言い回しは良く思われないので注意。

また、今の会社と同じ業界の企業へ転職するのと、違う業界へ転職するのでは志望動機のアプローチが変わってきます。

  • 今の会社と同じ業界へ転職する場合

    業界や仕事内容があまり変わらない場合、「今の会社でいいはずなのに、どうして転職するの?」と思われてしまうため、志望動機はよく考えて作らなければいけません。

    「会社の方向性とキャリアプランとのギャップを感じた」「業績不審」「仕事内容の微妙な違い」など、採用担当者を納得させられる材料が必要です。

  • 今の会社と異なる業界へ転職する場合

    今の会社と異なる業界へ転職したい場合、「どうしてこの業界なのか」という疑問の回答のほかに、「前職で何を学んだか」「その経験をどう活かすのか」をアピールすると「未経験ながら役に立つことがある」ことを理解してもらえます。

6 自己PR

自己PR欄では応募者の人柄や、仕事から得たスキルの詳細など、履歴書から読み取ることのできない部分をアピールします。

人柄をアピールするときは、企業の欲しがる人物像に合った長所をアピールしましょう。

長所は多いほどいい、というものではありません。

採用担当者が応募書類を読む時間も限られていることから、「これだ」というものに選別する必要があります。

コミュニケーション能力や柔軟性は、業界・職種に関わらずアピールポイントの高い長所です。

コミュニケーション能力や柔軟性に自信のある人は、積極的にアピールしましょう。

また、職種によってもアピール要素は異なります。

営業職を希望する人は、誰とでも打ち解けられるコミュニケーション能力はもちろん、目標達成まであきらめない責任感や粘り強さ、前向きに学ぶ姿勢や素直さがアピールポイントとして効果的。

事務職なら、何度も見直しをする慎重さが売りになります。

スキルの詳細をアピールするときは、仕事上での成功体験など具体例を挙げてアピールしましょう。

たとえば、入社3年以上の人たちが集まるプロジェクトに入社2年目で選ばれた経験がある場合、そのコツや仕事をする上で心がけたことを一緒に書くと、より信憑性が増します。

成功体験を書く際は、謙虚さを失わないことが大切です。

「上司の指導により」など周りのサポートがあって成功できた、という書き方をしましょう。

ですが仕事経験の少ない第二新卒世代は、成功体験のない人も多いかもしれません。

そんな人は「失敗体験と失敗体験から学んだこと」を書くとよいでしょう。

すぐに退職してしまい、スキルに自信のない第二新卒の人はこちらのほうが書きやすいかもしれませんね。

入社半年以内で会社を辞めてしまった人の職務経歴書対策

入社して半年も経たずに会社を辞めてしまった人は、職務経歴書に書くことがなく困ってしまいますよね。

書くことがないからといって、中身がスカスカの職務経歴書を提出するのは、採用に不利になってしまいます。

採用担当者はあなたが「どういう人物か」を知りたがっています。

ですから、志望動機や自己PR欄を企業との接点を具体的に示せるようにして、職務経歴書にボリュームを持たせましょう。

アルバイトは基本的に職歴に含めませんが、アピール材料になるようであれば、志望動機や自己PR欄にも盛り込みましょう。

接客のアルバイトをしていたと書くと「お客様対応は大丈夫そう」、アルバイトのまとめ役をしていたと書くと「アルバイト経験とはいえ、頼りになりそう」と思ってもらえるかもしれません。

【まとめ】第二新卒の職務経歴書の書き方がわからないときは転職エージェントに相談しよう

採用担当者の知りたいことが書かれている読みやすい職務経歴書であれば、書き方に決まりはありません。

職務経歴書を書いたことがなくて、何を書いていいかわからない人は見本を参考に作成してみてください。

志望動機がどうしても思いつかなかったり、自分で職務経歴書を書いたけど自信がない人は、転職エージェントに相談することをオススメします。

転職エージェントでは、転職の相談から求人紹介、採用まで転職活動をトータルにサポートしていて、職務経歴書の書き方の指導や添削もしてくれます。

転職エージェントは種類がたくさんあるので、その中で第二新卒の転職に強い転職エージェントを選ぶとよいでしょう。

第二新卒の転職に強い転職エージェント

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監修者:石峰朱実(キャリア・コンサルタント)
石峰朱実
各種学校、公共事業にて主に就職支援を担当。また転職エージェントでの面接指導にもあたっており、人材業界での10年の勤務経験も含め、就転職支援では20年超のキャリア。>>詳細はこちら