新卒で入社した人が3年以内に離職する割合は約3割、30代の転職回数が平均1~2回と、転職は珍しいことではなくなってきました。
中には、「えっ、30代の転職回数がたったの1~2回?」と驚いた人もいるのではないでしょうか?
今まで「転職するのは当たり前」と何度も転職を繰り返してきた人にとって、転職回数1~2回という数字は少なく感じるかもしれません。
ですが転職者を採用する企業側からすれば、転職回数が3回以上になると「転職が多い」と感じてしまいます。
転職回数が多すぎると「採用してもまたすぐに辞めるのではないか」「仕事ができなくて転職を繰り返しているのではないか」と思われ、場合によっては採用されないこともあるのです。
では、転職回数が多いと転職できないか?というと、そうとは言い切れません。
転職回数の多い人が転職をするには、採用担当者の不安を取り除き、入社してから即戦力として働けるということを実体験を持って納得させればよいのです。
今回は、転職回数が多い人でも転職できる、職務経歴書の書き方と自己PRの方法をお伝えします。
目次
転職回数が多いと思われる回数は?転職回数から市場価値を確認しよう

今回は転職回数の多い人がテーマなのですが、世間の人が何回くらい転職をしているか、想像できますか?

うーん。
大学を卒業してから3年働いて、そこから3年ずつ働いたとして…
3回くらいですかね?

みんな当たり前のように転職してるという印象です。
私も2~3回かなって思います。

なかなかいい線いってますよ!
全体では、転職回数1回が20%、2回19%、30代では1回24%、2回21%という割合になっています。
1回~2回が平均的な回数といえますね。
全体 | 30代 | |
---|---|---|
1回 | 20% | 24% |
2回 | 19% | 21% |
3回 | 16% | 19% |
4回 | 11% | 8% |
5回以上 | 17% | 8% |
なし | 17% | 20% |
※注釈・参照)enミドルの転職「退職」について(2014年版)

転職回数が意外と少なくて驚きました。

そうですね。
転職をする人自体は男性より女性の方が多くて、厚生労働省の「職業生涯を通じたキャリア形成」によると、男性は、30歳台から50歳台半ばまでの年齢層で約半数が初職から離職することなく就業しているのですが、女性では、初職から離職せずに就業し続けているのは少数派で、40歳台後半だと約4割の人が初職から2回以上転職しているんですよ。

男性の半数は生涯一企業で働く人が多いんですね。
インターネットで転職の情報をよく見るし、本もたくさん並んでいるから転職はもっとメジャーだと思っていました。

大企業にお勤めの人は、福利厚生が充実していて給与もいいので定年まで勤める人が多いのかもしれませんね。
採用担当者が「転職回数が多い」と感じるのは3回目から
ではここで、採用担当者が、転職回数が多いと感じる回数について調べてみましょう。
3回目 | 40% |
---|---|
4回目 | 32% |
5回以上 | 14% |
2回目 | 11% |
1回目 | 2% |
転職回数は気にしない | 1% |
※ミドルは30代~40代のことを指します。
enミドルの転職「ミドル人材の転職回数と転職成功の可能性」によると、企業が多いと感じる転職回数は、3回目が40%と一番多く、以降4回目、5回以上となっています。
つまり、企業側からすると3回目以上の転職回数は多いと感じるということになります。
転職回数が3回目でも転職することができる
この結果を見ると、「3回以上転職を繰り返している人は転職できない?」と思ってしまいますよね。
ですが同アンケートで、転職コンサルタントがサポートした転職成功者の転職回数は、3回が一番多く42%を占めているというデータもあるのです。
転職成功者の転職回数
3回 | 42% |
---|---|
2回 | 40% |
1回 | 8% |
4回 | 7% |
5回 | 1% |
初めての転職 | 2% |
つまり、転職回数が3回以上だと採用担当者は不安に思うこともありますが、転職3回目でも転職できるということです!
ですが、4回目になると転職成功率がガクッと落ちていますから、4回に満たない人はこれが最後の転職になるよう、慎重に転職先を探さなければいけません。
転職回数が多い人は転職しやすい業界を選ぶのがよい
さて、転職回数は2回目まではセーフ、3回目から気にされるが3回目でも再就職は可能、4回目以上は再就職は難しくなるということが分かりました。
4回以上転職を繰り返していて再就職が難しい人の対策として、転職しやすい業界を狙うのも方法の一つです。
離職率の高いところは人手不足なので、雇用のチャンスが多いと言えます。
例えば、宿泊業・飲食サービス業のような入・転職率が高い業界は比較的転職しやすいと考えて良いでしょう。
なぜなら宿泊業・飲食サービス業は、薄給・激務、サービス残業が多いことなどから離職率が高くなっているからです。
このようにデメリットはありますが、お客様においしい食べ物や快適なサービスを提供し、直接感謝の言葉をいただける、やりがいのある仕事でもあります。
人と接することが好き、接客業に興味のある人は検討してみてもよいでしょう。
転職回数をごまかしたらバレる?職歴をごまかした場合のリスク
転職3回目でも再就職できることが分かりましたが、「またすぐに辞めてしまうのでは?」と思われて採用をためらわれるのも事実です。
特に、仕事の経験やスキルにそれほど自信のない人は転職回数は少ないに越したことがないのでは?と思いますよね。
「職歴をごまかしても意外とバレない」「職歴をごまかしたら絶対にバレる」「3か月程度の試用期間なら書かなくてもOK」など、さまざまな情報がありますが、職歴をごまかすのはやめたほうがよいでしょう。
なぜなら、会社にバレる可能性がゼロではないからです。
転職回数をごまかしてもバレる理由
一般的に、入社時に会社に提出する、年金手帳・雇用保険被保険者証・源泉徴収票の3つから足がつくと言われています。
年金手帳には、新卒から現在までに加入した年金組合の情報が全部書かれており、年金の記録を辿ればバレる可能性があるのです。
雇用保険被保険者証には前職の情報が記載されていますから、前職をごまかすのはNG。
源泉徴収票には、その年度の年収や入社日・退社日が記載されているので、前職をごまかすのは不可能です。
以上を踏まえると、前職以外はごまかしても大丈夫そう!と思ってしまいがちですが、選考の際に前職の会社に電話して仕事ぶりなどを確認する企業があること、同業界の場合、知り合いに会ってしまい会社の人にバレる可能性があることから、やはり職歴の詐称はオススメできません。
転職回数をごまかすと、内定取り消しや解雇になる可能性がある
いつバレるかビクビクしながら働くのはストレスですし、職歴の詐称がバレた場合は内定取り消し、入社後の場合は解雇事由になります。
解雇にならなくても、経歴詐称がバレると信頼関係が損なわれますから、働きづらくなり自主退職する羽目になることもあるようです。
職歴は正直に書き、経験やスキル、長く働きたいという真摯な気持ちをアピールする方よいでしょう。
転職回数の多い人に対する採用担当者の本音
転職回数の多い人が採用されるには、採用担当者が不安に思っている要素を解消しなければなりません。
ここでは、採用担当者が転職回数の多い人に対してどんな不安を抱いているかを紹介しましょう。
enミドルの転職「ミドル人材の転職回数と転職成功の可能性」によると、採用担当者が抱く不安要素は以下の通りとなります。
- 定着に不安87%
- ストレス耐性に不安32%
- キャリアの一貫性に不安28%
- 協調性に不安27%
- 能力に不安12%
要するに、怒られたり、仕事に飽きたり、人間関係でつまずいたりしたら辞めるんじゃないの?と思われているわけです。
キャリアについても、在籍年数が少ないから浅い業務経験しかしていないのではないか、といったように「使えない人」と思われているようです。
ちなみに、厚生労働省「職業生涯を通じたキャリア形成」では、「どの年収階級においても「一企業キャリア」の支持割合が高くなっており、年収階級が上がるにつれて、「一企業キャリア」の支持率が高くなる傾向がある」とあります。
つまり、多くの人が生涯一企業で働くことが良いと思っているということ。
採用担当者だけでなく、求職者側も転職回数が多いことを良しとしておらず、転職回数が多いことに対して引け目を感じたりするのかもしれませんね。
転職回数の多いことが不利にならない場合とは
転職回数は多ければ多いほど採用担当者に不信感を与えますが、転職回数の多いことがマイナスにならない場合もあります。
- それぞれの就業期間が長い
企業は、採用したからには長く働いて欲しいと思っています。
そのため、それぞれの会社に3年くらい在籍期間があると安心されるようです。 - 退職理由をきちんと説明できて相手を納得させられる
目的意識を持って転職し、転職するごとにスキルアップしていることが伝えられたら言うことなしです。
- 一貫性がある
例えば、「webデザイナーとして広告代理店、コンビニの本社、不動産会社にそれぞれ勤務しており御社で4社目になります」という人は、webデザイナーとして働き続けているという一貫性があるのでOK。
一方、「携帯電話のショップ店員、羽毛布団の営業、保険会社のテレアポをしてきて、以前からずっと興味のあったプログラマーに挑戦したい」という人は仕事に一貫性がないのでNG。
行き当たりばったりで転職している印象を与え、定着性に不安を感じざるを得ません。
仕事が合わないから、仕事に飽きたから転職していると思われないように一貫性はとても大切な要素なのです。
転職回数が多い人は自己PR・志望動機を明確に
転職回数の多い人が転職を成功させるには、明確な退職理由、的確な志望動機、適切な自己アピールが必要です。
そのためにはまず、自分を知ることが大切。
自分を知ることができたら、本当にやりたい仕事や本当に働きたい会社のイメージも具体化されます。
今まで転職を繰り返してきたのは、イメージや条件だけで適当に選んできたから、という人にはぜひやってほしい対策です。
1. 退職理由について
本当に転職しなければ解決できないことか、今転職することで本当にキャリアアップできるのかを考えます。
もし今の会社にいても解決できそうだったり、転職は「逃げ」でキャリアアップにつながらそうな場合は、残念ながら今はよい転職ができる可能性は低いので、今の会社に残って経験を積む方がよいでしょう。
転職回数は少ないに越したことはありません。
在籍期間も影響するので、一時の感情や判断で決めてしまわないように。
キャリアアップにつながる転職の場合は、退職理由について口頭で説明できるように整理しておきます。
2. キャリアの棚卸しを行う
キャリアの棚卸しとは、今まで勤めた会社で行ってきた仕事をひとつずつ思い出し整理することです。
身に付けたスキルや、関わったプロジェクト、営業成績や実績を書き出し、今まで培った経験をひと目でわかるようにしておきます。
3. キャリアの棚卸しから自分の強みを導き出す
キャリアの棚卸しをしていると、得意なことや苦手なこと、自分の考え方の特徴や仕事に対する姿勢などが見えてきます。
人と接するよりコツコツと作業をする方が向いている、入力が他の人より早くて正確だ、他の人より気が利くところがある、など自分の強みを言語化して把握しておきましょう。
4. 経験やスキルから、希望する企業でできることを考える
「企業できること」とは業務で得た経験をどう活かすか、ということです。
自分のスキルが会社にどのように役立ち、利益を生むのかを具体的に伝えることが重要。
自己PRにつながることですので、丁寧に考え分かりやすく説明できるようにしておきます。

以上の対策により、応募する会社を選ぶ・応募書類を書く・面接の準備をする作業がスムーズにいきます。
転職回数が多い人の職務経歴書対策~用語解説編~
転職に関する記事や本によく出てくる、「スキル」「キャリア」などの言葉。
なんとなく理解しているような気はしても、定義が曖昧でよくわからないということはありませんか?
この章では、職務経歴書を書く際によく使用する「スキル」と「キャリア」の言葉の意味について考えます。
スキルとは
仕事におけるスキルとは、仕事に必要な技能や技術、知識、資格のことを指します。
コミュニケーション能力など人と接する技術もスキルに含まれます。
具体的には、パソコン、語学力、プレゼン能力、コーチング力(部下を育てる能力)、リーダーシップなど。
「能力」とつけて違和感のないものがスキルである、と捉えてよいでしょう。
「スキルはあるがキャリアが足りない」とは、資格や知識はあるが実地での経験が少ないという意味です。
転職回数が多い人がリーダーシップスキルをアピールする方法
ここでは、リーダーシップの例を取り上げます。
経験がなく何から手を付けていいか困りましたが、ひとりひとりに意見を聞く、資料を集める、話し合いの場を設けるなど場を仕切り、みんなの協力を得たおかげもあり目標の売上を達成することができました。
キャリアとは
キャリアとは、経験、職歴、経歴のことです。
キャリアアップとは今よりよい条件、社会的地位の高い、社会貢献度の高い会社へ就職するということをいいます。
「キャリアはあるがスキルが足りない」とは、経験豊富だが技術や知識が足りないという意味。
キャリア=職歴と捉えましょう。
転職回数が多い人はキャリアの長さや豊富な知識をアピールしよう
キャリアは職歴です。
担当部署、業務内容、実績、身についた技術を分かりやすく書きます。
転職回数は多いけど、業務内容に一貫性がある人は、キャリアの長さをアピールしましょう。
転職回数が多く、業務内容がバラバラだったという人は、今までの業務の共通点を考えてみてください。
いろんな仕事についており、それぞれの会社で成果がある人は、豊富な知識と経験が武器になるでしょう。
コミュニケーション能力とは
コミュニケーション能力とは、会社の上司や同僚、部下、クライアントなど人と接するときの能力のことです。
会社では、次のようなコミュニケーション能力が必要とされています。
- 相手の話を正確に理解できる
- 相手をイヤな気持ちにさせることなく自分の考えを伝えることができる
- 長すぎず短すぎずわかりやすくまとめて伝えることができる
- 聞き上手
- 相手に気持ちよく話をさせることができる
- 人見知りせず誰とでも仲良くなれる
- 空気が読める
コミュニケーション能力の具体的な経験を伝える
「コミュニケーション能力が高い」という言葉だけでは漠然としているので、職務経歴書を書くときに注意が必要です。
「私の長所はコミュニケーション能力が高いことです」と言われても、それだけではどんな人かわかりませんよね。
コミュニケーション能力が高い事をアピールしたい人は、転職による豊富な経験から具体的なエピソードを言うとよりわかりやすく伝わります。
このように、人見知りしない話、相手の立場に立って考え行動した話、場の空気を読んで行動し成功した話を具体的なエピソードで伝えるとよいでしょう。
柔軟性とは
仕事における柔軟性とは、自分の意見と異なる意見でも、相手の考えや立場を考え理解すること、自分の意見ややり方に必要以上にこだわらないことを言います。
- 異なる意見を否定しない
- 異なる意見と折り合いをつける
- 視野を広く持ちさまざまな意見やアイデアを参考にして考える
- トラブルに対して臨機応変に対応する
- 自分のやり方に固執しない
臨機応変に対応できる柔軟性をエピソードと共に伝える
上記にある柔軟性の要素の中から、具体的なエピソードがあるものを選んでアピール材料にしましょう。
このように、マニュアルに縛られず臨機応変に対応する話や、好奇心旺盛で未知のものに抵抗がない話、接客業でいろんなタイプの人と接してきて多様な価値観に触れる体験をした話でアピールするとよいでしょう。
転職回数が多い人ための職務経歴書の見本
転職回数が多いと、職歴が多いため、職務経歴書の文章がダラダラと長くなりがちです。
職務経歴書を書くときは、読む人のことを考えて簡潔に、読みやすくまとめるよう心がけてください。
ただし、職歴を端折ったり、ごまかしたりするのは厳禁!
あとで職歴詐称がバレると、せっかくの内定もなくなってしまいますから、すべての職歴を書くようにしましょう。
職務経歴書には、履歴書のように時系列に沿って職歴を書く「編年体式」と、職務内容ごとにまとめて書く「キャリア式」があります。
複数の職種を経験している人や転職回数が多い人は見る人が理解しやすいキャリア式がよいでしょう。
- 職務経歴概要
転職回数が多い場合、入社と退社の流れを職務経歴概要にまとめます。
応募企業と関係のない業界の経歴や、勤務期間が1年未満の経歴は略歴に入社と退社の流れをまとめるにとどめます。 - 職務経歴
転職回数が多い人の職務経歴書対策として、職務経歴書は職種ごとにまとめて書くキャリア式を採用するのがよいでしょう。
履歴書では書ききれなかった業務の詳細や実績などはこちらに記入します。 - 保有資格
正式名称で書きましょう。
※主な資格や免許の正式名称は、次の記事を参考にしてください。- 志望動機
どうしてその会社で働きたいと思ったのか、が志望動機です。
例えば、営業のスキルアップがしたいと考えて前の会社を退職した人は、どうやったらスキルアップできるのか、希望する会社の何にスキルアップの可能性を感じたのかを書きましょう。- 自己PR
自分の今までの経験から、希望する会社で何ができるかを書きます。
キャリアに一貫性がある場合、今まで培った経験をそのまま書きましょう。
たとえば営業職の場合、飛び込み営業の経験による度胸、お客様を引きつける話し方、商品説明の表現力などがアピールできます。キャリアに一貫性がないという人は、異なるキャリアから身に付けたことを書きましょう。
業種や職種がバラバラでも、挨拶や言葉遣い、電話応対やビジネス文書作成などのビジネスマナーはどこも同じです。
事務系の仕事の場合、数式が自在に使える、マクロを組めるなどエクセルの知識、簿記などお金に関する知識は重宝されますし、社内にいることが多いので社内でのコミュニケーション能力に長けていることも魅力になります。転職回数が多くても再就職は可能!諦めずに対策を
いかがでしたか?
転職回数の多い人は転職に不利ではありますが、将来のプランをしっかり立てて長く働けそうな会社を見つけ、適切なアピールをするなどの対策をとれば再就職することは可能です。
諦めずに転職にトライしてみましょう!
転職回数が多くてうまく転職できるか不安だという人は、doda エージェントサービスやリクルートエージェントなどの転職エージェントに登録してカウンセラーと一緒に転職先を探すのもオススメですよ!
- 志望動機