IT企業に転職するためにまず突破しなければいけないのは書類選考です。
「履歴書の志望動機や自己アピールは、インターネットの例文を頼ってしまう。」
「どうせ同じIT業界だから企業に関係なく同じような内容の履歴書を送っている。」
「エンジニアの履歴書はスキルさえ証明できればいい。それ以外はあまり重要じゃない。」
これらに共感するという方は要注意。
書類選考の突破率がよくない人は、履歴書に問題があるのかもしれません。
IT企業転職時の履歴書は、丁寧に書かれた読みやすい履歴書であることはもちろん、志望動機や自己アピールに工夫が必要です。
志望動機には今までの経験からスキルを、自己アピールはIT業界に向いている性格の要素をアピールするとよいでしょう。
また履歴書を書くのが苦手という人は、応募書類の添削やアドバイスをしてくれる転職エージェントを利用するという手もありますよ。
今回はIT企業への転職や、SE、プログラマ-といったエンジニアの転職を希望する方に向けた履歴書の書き方を紹介します。
目次
IT業界の履歴書には何を書くの?履歴書と職務経歴書の違い
IT業界の履歴書について説明する前に、まずは履歴書の役割について再確認しておきましょう。
応募書類として送るものの中には、添え状、履歴書、職務経歴書があります。
添え状は、応募書類を送る際に同封する「あいさつ状」。
添え状がないとぶしつけな感じがするので、必ず同封するようにしましょう。
※添え状については、「履歴書の添え状の書き方や疑問を徹底解説!」で詳細を紹介しています。
職務経歴書は、スキルや経験を応募企業へプレゼンテーションする資料です。
単なる経歴や資格の羅列ではなく、自分の経験やスキルが応募企業の求めるものにマッチしていることをアピールする必要があります。
そして履歴書。
履歴書は個人データで、自分を知ってもらうための資料です。
企業の採用担当者は履歴書を見て、「採用に足る人物かどうか」を判断します。
採用担当者が履歴書1通に目を通す時間は約1分。
そのため、履歴書は読みやすく書かなければいけないのです。
読みやすい履歴書とは、誤字脱字のない、端的な文章で書かれたものを言います。
ちなみに、履歴書は返却されません。
面接に進んだ際に履歴書の志望動機や自己PRについて聞かれても答えられるように、また書類選考で落ちたときにどこが悪かったのか振り返ることができるように、必ずコピーをとっておきましょう。
IT企業の場合、履歴書をメールやWEBで提出することも多い
IT企業の中には、社内の資料をクラウドで管理したり、資料のやりとりをメールやチャットで行う企業があります。
そのため、履歴書の提出も会社のホームページからデータで提出したり、メールで送信することもあります。
その場合は、募集要項に従って履歴書を送信するようにしましょう。
メールで履歴書を送る場合は、別途添え状を添付する必要はありません。
メールの本文には、簡単なあいさつに加え、添付した資料を箇条書きにして記載しておくと親切です。
IT・エンジニアの履歴書を書くときの注意点3つ
履歴書の書き方の基本ともいえる、注意点3つを紹介します。
以下の注意点はIT業界の転職に限ったことではありませんので、覚えておくと広く応用できますよ。
1. 汚い履歴書はご法度!書き方の基本を守る
年号を統一する、誤字脱字をそのままにしないなど、履歴書の書き方の基本に沿った読みやすい履歴書を作りましょう。
また修正液を使ったり、不採用で返ってきた履歴書を使い回すなど非常識なことをしてはいけません。
IT企業では手書きの履歴書ではなく、Wordで作った履歴書でも提出可能な場合があります。
字に自信がない方や、市販の履歴書では書きたい内容が書けないという方は、WordやExcelで作成して提出するのも良いでしょう。
※履歴書の書き方の基本については、「履歴書の書き方基本」を参照してください。
2. 自分の言葉で書く!知らないIT用語を使わない
採用担当者は多くの応募書類に目を通しているので、インターネットの例文を丸写ししたものや、マニュアル通りの表現に敏感です。
インターネットの例文を参考に、自分の言葉に置き換えて表現するようにしましょう。
IT業界は難しい専門用語も多いですから、むやみ難しいIT用語を使って、いかにも仕事できます風を装いがちですが、面接をすればそれがただの飾りであったことが一発でバレます。
3. 履歴書には具体的なエピソードや数字を書く
字数制限もあることから、ついやってしまいがちな「得意です」「努力しています」など言葉だけの自己アピール。
ですが、言葉だけでは採用担当者に伝わりません。
具体的なエピソードや数字を入れることで「どれくらい」得意なのか、努力しているのかを、相手に対して説得力を持って伝えることができます。
特に転職となると、今までの経験はとても重要な評価ポイントです。
エンジニアの方なら、今までどんな作業に携わってきたか、何をどれくらいの期間でどれだけの数作ったのか、今までのお仕事内容を具体的に書けるといいですね。
IT・エンジニアの履歴書「職歴欄」を書くポイント
どうせ職務経歴書に書くから重複するし…と、履歴書の職歴を簡略化して書いていませんか?
応募者が多い場合、履歴書だけで判断されることもあります。
履歴書のみでも、経験やスキルがアピールできる情報量で書くことがポイントです。
職歴欄には上の見本のように、1.社名 2.会社の事業内容 3.会社規模 4.部署 5.携わっていた業務内容を書きます。
社内での昇格や表彰実績が複数ある場合は、箇条書きにしましょう。
職歴がいくつかある場合、応募先の業界や業務に関連しない経歴は、5.業務内容を省き1.社名、2.事業内容、3.会社規模、4.部署を書く程度にします。
応募先の業界に関連する経歴は、使用していた言語や開発ソフトといった具体的な内容に触れて詳しく書くと、メリハリがついて読みやすいのでオススメです。
IT・エンジニアの履歴書「志望動機」を書くポイント3つ
IT業界に限らず、どの企業に転職するにしても履歴書の志望動機の書き方は悩みの種。
ここでは、ITやエンジニアの転職で志望動機を書く際に必要な要素3つを紹介します。
1. なぜその企業に応募するのか
応募企業に「うちの会社じゃなくてもいいのでは?」と思われてしまっては採用されないので、「応募企業に対する志望動機」はとても大切です。
企業に対する志望動機を書くときは、応募企業の「他社との違い」や「他社にはない特徴」を探すとよいでしょう。
これらは、応募先の企業研究を徹底して行うと答えが出ます。
求人票を見てなんとなく「いいかも」と思った企業でも、詳細を調べたら第一印象と違った、というのはよくあること。
志望動機を書く際に必要なのはもちろん、転職失敗を防ぐためにも、企業研究をしっかり行いましょう。
IT企業に転職するなら、アプリやシステムなど、応募企業が手がける製品があれば使って感想を述べるというのも、ひとつの方法です。
2. 応募企業において自分はどんな活躍ができるか
転職活動の基本として、まず企業がどんな人物を求めているのかを知る作業が必要です。
ITやエンジニアの転職はとくに経験やスキルを問う職種ですから、求人情報の「必要なスキル」が書かれている欄を必ずチェックしましょう。
そして「PHPの開発経験3年以上」「JavaScriptの実務経験」など、応募企業が求めるスキルレベルを読み取ります。
次に、自分の経験・スキルを整理します。
応募企業が求めるスキルレベルに、自分の経験が値すると思えれば応募資格があるということ。
その経験から、応募企業に貢献できることはなにかを具体的に考えましょう。
3. 応募企業で活躍できる理由
2.で整理した経験や仕事内容から、活躍できると思った理由を導き出します。
履歴書の志望動機欄は書けるスペースが限られているので、活躍できる理由をすべて書き出してから、枠に収まるように文をまとめると良いでしょう。
プログラマー
開発に関わったシステムの規模や種類から、活躍できそうな業務とその理由、入社後にやりたい仕事を考えます。
ネットワークエンジニア
設計、構築、運用・保守のうち、どの業務を行っていて、経験や知識が豊富な業務はなんですか?
ネットワークやサーバー、データベースなど、得意な分野はなにかを考えましょう。
社内SE
社内SEは、自社のシステム開発・運用のほか、社員のパソコントラブルの対応など業務内容がさまざまです。
具体的に一つひとつの作業を思い出し、応募企業ではどのように貢献できるかを考えます。
セールスエンジニア
どんな製品(システム)を取り扱っていたか、売り方の工夫、ITの知識がない人にも理解してもらえるように説明にどんな工夫をしたかなどから、自分のスキルを考えましょう。
目指すキャリアがある人
「プログラマーをまとめるSEになりたい」「安定した環境で働ける社内SEになりたい」といったような目標がある人は、目標だけでなく、応募企業でこそ実現できると感じた理由を伝えられると評価につながります。
IT業界が未経験な人の志望動機の書き方
IT業界が未経験な人の志望動機の書き方は、経験者とは少し異なります。
ポイントは、以下の3点です。
1. なぜIT業界で働きたいと思ったのか
やる気や熱意をはかるためにも、IT業界で働きたいと思った理由は大切です。
「パソコン操作が得意だからパソコンを使った仕事がしたい」
「学生時代にプログラムの勉強をして興味がある」
このような、前向きな事柄を挙げましょう。
2. IT業界でどんな仕事がしたいか
「ラインのような多くの人に利用されるアプリを開発したい」
「パソコンの知識を活かして人の役に立ちたい」
未経験の方は、少々具体性に欠けても大丈夫。
夢を持ってIT業界へ飛び込むことを履歴書でアピールしてください。
3. なぜこの企業で働きたいと思ったか
「未経験から学べる研修制度があるから」
「好きでよく使っているWebサービスを作っている会社だから」
「なぜ応募企業なのか」については中途採用者と同じように、他社にはない応募企業ならではの魅力を企業研究で探しましょう。
こんな表現を使っていませんか?採用担当者に嫌われるNG表現
履歴書の志望動機を書くときに、イマイチ採用担当者に響かないだろうな、と思いつつ他に書くことがないからと、ありきたりな表現を使っていませんか?
書類選考突破を妨げる、つい使ってしまいがちな表現をまとめました。
- どの企業にも使えそうな表現
「IT業界の中でもとくに、御社の将来性に魅力を感じました」
「貴社の事業内容に関心を持ちました」このような表現を使いたい場合、「どんな部分」に魅力を感じたのかを具体的に書ければOKです。
- 根拠がなく信ぴょう性に欠ける表現
「御社の社風が私にあっている」
「私の経験を御社で活かしたい」
「好奇心旺盛な性格で御社に貢献したい」こちらも具体的なエピソードがないため、採用担当者に「怪しいものだ」と思われてしまいます。
- 受け身な印象で採用するメリットが感じられない表現
「御社で学ばせていただきたい」
「御社で○○の技術を身につけたい」向上心は大切ですが転職は中途採用のため、学習意欲や謙虚さよりも「即戦力」として何ができるかの方が大事です。
向上心よりもまずは「即戦力」としての自分をアピールしましょう!
IT・エンジニアの履歴書「アピールポイント」を書くコツ
多くの人が利用すると思われるJIS規格の履歴書には、「志望の動機、特技、好きな学科、アピールポイントなど」という枠があります。
学生や大学を卒業して間もない人は「好きな学科」を答えてもいいですが、転職組は志望動機とアピールポイントを中心にまとめましょう。
アピールポイントって何を書いたらいいのか、いつも困ってしまいます。
志望動機では、応募企業で働いたらできる仕事、やりたい仕事などスキル・経験面をアピールするので、アピールポイントでは自分の性格をアピールするといいですよ。
なるほどー
IT業界に向いている人の性格として挙げられるのは、好奇心の旺盛さです。
IT業界は新しい技術がどんどん入ってくる業界で、自分の知識をつねに最新のものにしておく必要があります。
IT関連のニュースを常にチェックする、話題になっているニュースは常に把握しているなどの事柄で、好奇心旺盛さを履歴書でアピールしましょう。
またプログラマーや社内SEはフットワークの軽さや、柔軟な対応もアピールポイントになります。
システム障害など突発的なトラブルが起こりやすいIT業界において、障害が起こった際、すぐに原因を調べて対応するフットワークの軽さは大事。
今までのやり方にとらわれずに新しい方法で解決を試みる柔軟さも、IT業界では重宝されそうです。
職業別では、地道にプログラムを組み不具合を修正するなど細かい作業が多いプログラマーは、コツコツと細かい作業を進めるのが好きな点や高い集中力がアピールポイントとして有効。
プログラマーに指示を与える、進行管理を行うなど多くの人と連携しながら仕事を行うSEや、営業職がメインのセールスエンジニアはコミュニケーション能力がアピールポイントになるので、人との関わりで得た教訓や、営業の仕事から学んだことをベースにアピールします。
このほか、英語が得意な人は英語力をアピールするのもオススメ。
最新技術についてのネットワーク文書は英語で書かれたものが多く、英語力が役に立つと思われます。
IT・エンジニアに強い転職エージェントが履歴書を添削してくれる
履歴書を書くのがどうしても苦手という人には、転職のプロから応募書類の添削・アドバイスがもらえる、転職エージェントの活用もオススメです。
転職エージェントは求職者の転職活動をサポートしてくれるところで、転職の相談から採用後まで、転職のプロに相談しながら転職活動が進められます。
サービスの中には、履歴書や職務経歴書など応募書類の添削も含まれています。
履歴書を自分で書いてみたけれど不安、書類選考で落ちてばかりいる、自分の経験をどのように書いていいのかわからないなどの悩みを持つ人は、転職エージェントに相談を。
レバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web系のエンジニアやデザイナーの転職サポートを行う、IT業界特化型の転職エージェントで、IT・Web業界の求人を4000件以上保有しています。
現役のエキスパートエンジニアによる職務経歴書の添削や、オリジナル資料を元に考えられた模擬面接など、IT業界特化型ならではのきめの細かいサポートが好評です。
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大手の総合型転職エージェントならではの豊富な実績から培われたノウハウと、ITの専門知識を活かしたアドバイスが魅力です。
IT・エンジニアの履歴書の書き方Q&A
IT業界の転職時に提出する履歴書に関する疑問を、Q&A形式で回答します。
- 保険会社の業務系システムを開発する企業でSEをしていました。
社内SEに転職するにはどんなアピールをすればいい? - 自社の情報システムの開発や、運営を行う社内SE。
社内SEには技術力もさることながら、システムの導入効果を社内の人に説明する、社外の人と協力してシステム構築を行う、構築したシステムのトラブルに対応するなどの業務内容から、高いコミュニケーション能力が求められます。
コミュニケーション能力のほかに、IT関連の資格を持っている人は資格もアピール材料になるので忘れずに記載しましょう。
- IT業界の二次請けの企業で働いているのですが残業が多く、比較的残業時間の少ない一時請け企業への転職を考えています。
履歴書に、勤務時間が長くて退職することを書いてもいい? - 転職理由は前向きなものがよいので、「勤務時間が長くて退職する」ことは書かないほうが無難です。
残業していた時間を資格取得のための勉強時間にあてたいなど、将来につながる前向きな目的があれば書いてもOK。
前向きな事柄がない場合、退職理由には触れずに「なぜ一次請け企業へ転職したいのか」「なぜ応募企業を選んだのか」を書くとよいでしょう。
- 趣味・特技はITに関わることでなくてもOK?
- 採用担当者は、趣味・特技の欄から応募者のパーソナリティの部分を見るので、ITに関係する趣味や特技でなくてもOK。
求職者の個性がよりイメージできるよう、読書やスポーツなど項目として挙げるだけでなく、「学生時代からサッカーをやっていて、○○大会で優勝経験あり」「趣味は映画鑑賞で好きなジャンルは〇〇で週に3本ほど見る」など習熟度や、どれくらい熱中してやっているかを履歴書に書くのがポイントです。
競馬・パチンコなどのギャンブルは採用担当者によっては、マイナスイメージになることもあるので避けた方が無難でしょう。
SEやプログラマーなどIT企業の転職に成功する履歴書の書き方まとめ
最後にIT・エンジニアの転職向け履歴書の書き方について、おさらいしましょう。
SEやプログラマーはもちろん技術が第一に求められますが、履歴書から読み取れる人間性ももちろん重要視しています。
いい加減な人間だと思われないように、履歴書は丁寧に書きましょう。
履歴書は、誤字脱字のないもの、端的な文章で書かれた読みやすいものを用意します。
ポイントは志望動機と自己アピール。
志望動機や自己アピールは、具体的なエピソードをもとにアピールすることで、説得力のあるオリジナルの回答ができます。
オリジナリティあふれる回答は、採用担当者の目を引き、他の応募者に差をつけることができますよ。
とくにIT業界への転職は、技術を求められることが多いので、関係する技術や資格はしっかりアピールしましょう。
履歴書を書くのがどうしても苦手という人は、応募書類の添削をしてくれるIT業界に強い転職エージェントを利用するのがオススメです。