「あなたが学生時代頑張ったことは何ですか」
就活で、ES(エントリーシート)を書くときなどに必ず聞かれる「あなたが学生時代頑張ったことはなんですか」という通称”ガクチカ”。
毎年多くの就活生が「頑張ったことなんてないよ…」と悩み、自問自答してしまいます。
そんな悩みを持つ就活生に伝えたいことは、「何か特別な成果を出した=頑張ったこと」ではないということ。
インターンや海外留学など誰が見ても”凄い”経験をしていなくても、「学生時代頑張ったこと」を書くことができるのです。
まずは「学生時代頑張ったこと」に関する誤解を解き、考え方と書き方を紹介します。
目次
「学生時代頑張ったこと」は”凄い”経験を伝えなければいけないという誤解
今回は「学生時代頑張ったこと」について説明していきたいと思います。
「学生時代頑張ったこと」かぁ…人とは違った特別な経験なんて、何もないんですよね…
私も特に何もないまま就活の時期になってしまいました…
2人とも少し誤解をしていますね。
「学生時代頑張ったこと」の評価基準は「凄いことをしたかどうか」ではないんですよ!
「学生時代頑張ったこと」がないと悩んでいる就活生の多くは、「誰が見ても凄い経験」や「他の人とは違う特別なこと」かどうかが重要だという誤解をしている人が多くいます。
例えば凄い経験といえば、次のようなことを思い浮かべるのではないでしょうか。
- 学生団体を立ち上げた
- 学生の間に起業をした
- ビジネスコンテストで優勝した
- 企業と合同で商品開発をした
ですが、「凄い経験をしたから有名企業に内定する」という考え方は危険です。
なぜなら、企業が「学生時代頑張ったこと」を聞く理由は、あなたが「何をやってきたか」という表面的なことでなく、「何を考え、学んできたか」という本質について知りたいからです。
なぜ「学生時代頑張ったこと」を聞くの?
「何を考え、学んできたか」を知ることで、企業はあなたの価値観やモチベーションを判断します。
あなたの価値観、モチベーションが自社とマッチするかどうかで、採用するかしないかを判断するのです。
わざわざ遠回しに聞かなくても、「あなたの価値観はなんですか?」「あなたのモチベーションを教えてください」と直接聞けば良いのでは?と思うかもしれません。
ですが、企業がもしそのように質問をしたら、学生があらかじめ準備をした答えが返ってきて、学生の本当の姿を知ることができません。
なので、企業は「学生時代頑張ったこと」を通して、遠回しに価値観やモチベーションを聞いているのです。
例えば、恋愛で気になる異性に「あなたはどんな人ですか」と直接聞きませんよね。
「今恋人はいますか」「なんのバイトをしているんですか」「趣味はなんですか」と間接的に質問をして、相手がどんな人で、自分と付き合ったらどんな風になるのかを考えませんか?
「学生時代頑張ったこと」も恋愛と同じで、結局のところ「あなたはどんな人なのか」が知りたいのです。
「学生時代頑張ったこと」で最も大切なことは「自分らしさ」
「学生時代頑張ったこと」において一番大切なことはなにか。
それはエピソードに「あなたらしさがあるか」どうかです。
「あなたらしさ」がなければ、どれだけ論理的に伝えたとしても「他の人にも当てはまるよね」という一般論になってしまい、採用担当者の心に残りません。
「あなたらしさ」を表現するということは、自分はどんな人かをはっきり言うということです。
たとえば、負けず嫌いであったり、協調性を重んじるなど、自分らしさは人によって様々。
自分らしさをアピールするために、就活の最初に自己分析をしましょう。
自分をどれだけ深く知れているかが「学生時代頑張ったこと」の質に関係するので、まだ自己分析が済んでいない人はこちらを先にすることをオススメします。
内定レベルの「学生時代頑張ったこと」の書き方
「学生時代頑張ったこと」は、書く内容と同じくらい書き方も重要です。
文章が読みづらかったら、あなたらしさなんて伝わりませんよね。
企業が「学生時代頑張ったこと」を聞く理由は、あなたが入社後活躍できるかを判断するためです。
入社後の活躍のイメージしやすさは、書き方に大きく影響されます。
あなたらしい内容と伝わる文章の両方が組み合わさって、初めて「学生時代頑張ったこと」は企業の心に残ります。
「学生時代頑張ったこと」は、次の順番で書いていきましょう。
それでは、この書き方に沿った「学生時代頑張ったこと」の例文を用いて詳しく解説します。
これから紹介する書き方と合わせて、就活生がつくる就活情報サイト「就活ノート」に掲載されている「通過エントリーシート」も見ておくと、よりESが書きやすくなりますよ!
「学生時代頑張ったこと」の例文と解説
では、実際の「学生時代頑張ったこと」を見てみましょう。
私が所属しているサークルは、毎年都内選手権でベスト8に入っている強豪であったが、今まで優勝をしたことはなかった。私は高校時代、県大会で準優勝に終わったという悔しい思いをしたので、大学では自分が所属している間に優勝すると決意した。
練習をする中で、技術的な部分では他のサークルよりも優れているが、「練習に来ないメンバーが多い」「90分を通して球際を激しくいく体力がない」「個人プレーが多く戦術的な部分で負けている」という3つの欠点が見えてきた。
そこでまずは、練習に毎回来てもらえるように練習後食事を全員で食べるようにして、サークルへの帰属意識を高めた。また体力が足りない部分と戦術理解が足りない部分は、サッカー部と合同でフィジカルトレーニングをする機会をつくり、部活レベルの体力の付け方を学ばせていただいた。また、試合のビデオをサッカー部のコーチに持っていき毎試合ごとに改善点を指摘していただいた。
以上の取り組みをした結果、自分が代表を務めたときに都内サークル選手権で初優勝することができた。
サッカーサークルの優勝を目指す活動を通じて目標を達成するためには1. みんなの帰属意識を高めること 2. 言葉だけでなく、行動で自ら熱意を見せることが周りを巻き込むためには重要であるという2点を学んだ。
上の「学生時代頑張ったこと」と先ほどの書き方を照らし合わせてみると、このようになります。
このように、「1.結論→2.きっかけと目標→3.目標までの取り組み→4.学んだこと」の順番で書くことで、論理的で伝わりやすくなります。
それでは書く項目をそれぞれ個別に見ていきましょう。
1. 結論(私が「学生時代頑張ったこと」は~です)の書き方
一番最初に、結論を書きましょう。
結論は最後に書くものだと思われがちですが、結論を最後に書いてしまうと、一番言いたいことが本文を最後まで読まないとわからない、ということになり、読む人に大きな負担となります。
結論を最初に書いておくと、冒頭を読むだけで学生の言いたいことがわかり、その後の文章も読みやすくなるのです。
「学生時代がんばったこと」を書くときの結論は、いわばタイトルだと思って書くようにしてください。
また、結論には5W1Hをできるだけ入れるようにしましょう。
5W1Hというのはいつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)という情報伝達のポイントです。
5W1Hを意識して書くことで、相手に伝えなければいけないポイントをもれなく押さえられるので、是非意識して使ってみてください。
2. きっかけと目標(なぜ頑張ろうと思ったか)の書き方
結論の次は「なぜそれに取り組んだか、頑張ろうと思ったか」について書きましょう。
企業はなぜ取り組んだかを通して、あなたの考え方やモチベーションはどこにあるのかを見ています。
ですので、人から与えられた受け身なきっかけではなく、自分の価値観に基づいた主体的なきっかけを書くようにしましょう。
また、目標を書くときは取り組む前の状態もセットで書くことをオススメします。
先ほどの例を使うと、「私が入ったサークルは毎年都内選手権でベスト8に入っている強豪であったが、今まで優勝はしたことはなかった。」部分が取り組む前の状況です。
まだ優勝したことがないチームを優勝させるという目標が強調されているのがわかりますよね。
3. 目標までの取り組み(どのように取り組んだのか)の書き方
「目標を達成するまでの取り組み」は、一番書き方が難しい部分です。
次の順番で書くと、上手にまとまります。
- 目標達成までの課題をどう捉えたか
- どうすれば課題が解決できると考えたか
- あなたが実際に取った行動はなにか
今回のサッカーサークルの例を、上記の順番に当てはめて図にしました。
「学生時代頑張ったこと」でよくある間違いに、実際の行動ばかりを書いてしまい、なぜそのような行動を取ったのかが書かれていないということがあります。
また、アピールできる実績がある場合、周りよりも目立とうとして実績ばかりを並べてしまいがち。
ですが、「学生時代頑張ったこと」で重要なのは、実績や実際の行動ではありません。
企業は「学生時代頑張ったこと」を通して「課題の発見や行動に至るまでの考え方」を見ているのです。
課題を発見する能力と、問題解決能力は実際に仕事をする上で非常に重要なスキルと言えます。
企業は「学生時代頑張ったこと」を通して「実績だけではなく、考え方も見ている」ということを忘れないようにしましょう。
4. 学んだこと(頑張ったことを通じて何を学んだか、社会にどう活かすか)の書き方
「学生時代頑張ったこと」の締めの部分では、あなたが頑張ったことから「何を学んだか」について書きましょう。
今回の例では以下の部分にあたります。
「学んだこと」を書く時のコツは、学んだことを、社会に出てからも使える方法論に変換することです。
サッカーサークルでの経験から学んだことをそのまま表現すると「1. みんなが練習に来ること 2. 体力の重要性 3. チームで戦うこと」の重要性の3つだと思います。
確かにこの3つとも、そのまま書いても問題ありません。
しかし、企業視点では「あくまでもサークルの話だよね。それは社会に出ても同じことが言えるの?」と考えています。
この「社会に出てからも同じことを言えるか」というのが、重要な評価基準となるのです。
今回の例では、サークルへの帰属意識を高めるために食事会を開いたり、サッカー部と合同練習したり、サッカー部のコーチから指導を受けるなど、実際に行動を起こすことで、見事にサークル選手権に優勝することができました。
この経験から、言葉で「がんばろう!優勝しよう!」と伝えるだけでなく、みんながついてきてくれるように行動することも大切だと学びました。
周りについてきてもらうために、自ら行動を起こすということは、社会に出てからもとても大切なことですよね。
このような内容のことが書けると、就活においてとても効果的です。
学んだことを書くときは、社会に出た時に活かせる経験かどうかを意識してみましょう。
「学生時代頑張ったこと」を書くときの注意点
「学生時代頑張ったこと」を書くときに、やってはいけない注意点が4つあります。
次の4つの注意点に注意しなければ、話がわかりにくく、企業が求めている答えとずれた回答になってしまいます。
では1つずつ見ていきましょう。
1. 「学生時代頑張ったこと」に複数のエピソードを入れてしまう
注意点の1つ目は、「学生時代頑張ったこと」に複数のエピソードを入れないということです。
例えば、「わたしが学生時代頑張ったことは、サークルとアルバイトです」といった書き方のことを言います。
複数のエピソードを入れてはいけない理由は、学生時代頑張ってきたことは「何をしたか」という自慢大会ではないからです。
あくまでも「何を考え、学んできたか」を企業は見ており、複数エピソードを入れてしまうと、学生の価値観がわかりにくくなったり、この学生は自信がないから複数のエピソードでごまかしているだけではないかと思われる危険性があります。
なので、「学生時代頑張ったこと」には、1つのエピソードだけを書くようにしましょう。
2. 肩書や役職ばかり言ってしまう
「私は◯◯サークルの副代表をしていました」「私は◯◯ゼミのゼミ長をしていました」など、肩書や役職を軸に「学生時代頑張ったこと」を作ってしまう学生が多くいます。
何回も言いますが、「学生時代頑張ったこと」はあくまでも「何を考え、学んできたか」を聞かれています。
少し意地悪な言い方になってしまいますが、副代表の立場でサークルをまとめ上げたという話は一見立派に思えますが、よく考えてみれば副代表という立場であればチームをまとめるのは当たり前のことですよね。
「学生時代頑張ったこと」で重要なのは、肩書や役職を抜きにして自分の価値観に基づいて行動したかどうかです。
肩書や役職ばかりに囚われないようにしましょう。
3. 単なる苦労話に終わっている
次の注意点は、「学生時代頑張ったこと」が単なる苦労話に終わってないかということです。
人の苦労話ほど聞いてて退屈であったり、自慢に聞こえることってありませんか?
それは人事担当者も同じこと。
企業側は「学生時代頑張ったことから何を学んだか」という成長を聞きたいのであって、大変だったことを長々と聞きたいわけではありません。
苦労話だけでで終わってしまうと、企業側は「自分からその道を選んでおいて文句ばかり言うな。」「会社に入っても文句ばかり言うのでは?」とマイナス評価する可能性があります。
「学生時代頑張ったこと」は、苦労話ではなく、前向きな姿勢を問われていることを忘れないようにしましょう。
4. 専門用語を使いすぎている
就活生がよくしてしまう間違いが、自分が博識であることをアピールしようとして、難しい専門用語を使ってしまうことです。
自分がしてきたことを伝える努力だけでなく、相手にわかってもらう努力も意識するようにしましょう。
実例を挙げて説明します。
例えば、「学生時代頑張ったこと」のエピソードにWEB系の長期インターンでの経験を書くとします。
その際に結論の部分を以下のように書きました。
採用側はおそらく「ユーザーインサイト?ナチュラルリンク?ラインハンク?非常にわかりにくい。この学生は、読み手のことを考えられない人なのではないか。」と判断してしまうでしょう。
仕事では「いかに相手のことを考えて行動できるか」がとても大切な能力になります。
企業は商品やサービスを利用するお客様はもちろんのこと、一緒に働く上司や同僚、後輩のことを考えて働くことができる人材が欲しいはずです。
採用担当者は、ESの文章から相手のことを考えて行動できる人材かどうかも判断しているのです。
ですから「学生時代頑張ったこと」に関わらず、ESを書くときは社会人の基本として誰が読んでもわかりやすい内容で書きましょう。
上の例を次のように書き直すと、誰にでも伝わる内容になります。
このように分かりやすく簡潔に書くことを心がけてみましょう。エントリーシート(ES)の書き方も参考にしてみてください。
学生時代頑張ったことがない人は「長期インターンシップ」を活用しよう!
「学生時代頑張ったこと」の書き方はわかったけど、「学生時代に本当に何もしてないから、何も書けない!」と悩んでいる人もいるかもしれません。
「自分は何もしてこなかった…」と思っている方に、今からでも遅くない「学生時代頑張ったこと」を作るオススメの方法を紹介します。
それは長期インターンシップです。
インターンシップとは、学生が企業で就業体験を行うことです。
最近では、夏と冬の数日間だけ開催する就活生向け短期インターンシップがよく行われています。
しかし、短期インターンシップは企業理解が目的であり、期間も短いため就活での「頑張ったこと」には使えません。
一方の長期インターンシップは、実際に企業の戦力となって、社員とともに仕事をするプログラムです。
実際の企業の業務に関わるため、自分の頭で考えて行動することが求められます。
そのため、長期インターンシップに参加することで「学生時代頑張ったこと」として、具体的な学びや成長した経験をアピールすることができます。
また、目標等も「最優秀インターン生」や「売上◯%アップに貢献した」など、数字でわかりやすくアピールできるのでおすすめです。
「学生時代頑張ったこと」がない人はぜひ長期インターンシップに応募してはいかがでしょうか。
インターンシップについて、より詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
【まとめ】凄い経験ではなく学生時代に学んだことがガクチカになる
「学生時代頑張ったこと」という質問は就活をする上では避けては通れない質問です。
しかし、必ず聞かれるからこそしっかりと対策をすれば周りと差をつけられるアピールポイントになります。
「何をしてきたか」という実績を語るのではなく、「何を考え、学んできたか」を真摯に考えることが重要です。
この記事を読んでくださった皆さんが、就活で満足がいく結果を得られたら幸いです。
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