ビジネス文書の書き方

あなたは会社の書類を上手に作成できますか?

上司や同僚に「君が作った資料はわかりにくい」と言われたことはありませんか?

ビジネス文書は堅苦しくて、書くのが難しく感じられますが、ビジネス文書の目的と8つのルールを押さえれば、だれでも「読みやすい」ビジネス文書を書くことができます

今回はビジネス文書の書き方の基本と、読みやすく書く方法をご紹介しますが、ビジネス文書だけでなくその他の文書作成にもきっと役に立つはずです。

1. ビジネス文書の書き方の基本は目的をはっきりさせること

「ビジネス文書」とは、仕事においての情報の伝達や、意志の確認のために作成される文書のことです。

文書にしておく意味は「伝達」と「記録」の2つあります。

  • 伝達

    情報を文書化することで、関係するすべての人に、同じ情報を正しく伝える事ができます。

  • 記録

    文書にしておくことで記録として残り、保存することができます。

「口頭での伝達はだめなの?」と思う人もいるかもしれません。

口頭伝達の悪い点は、言い間違えたり、聞き間違いをしたりするということ。

正しい情報を伝達し、保存するためには文書にしておくのがベストなのです。

2. ビジネス文書の種類「社内文書」と「社外文書」

ビジネス文書は大きく分けて2種類あります。

「社内文書」「社外文書」です。

それぞれの特徴をまとめました。

社内文書

報告書など社内で使われる文書のこと。

目的

  • 社内における指示・連絡・報告などに使われる。
  • 社内における情報を文書によって伝達する。
  • 日常業務を合理的に進め、円滑なコミュニケーションを図る。

特徴

  • 必要な情報が、迅速、正確、簡潔に伝達させることが求められる。
  • 社外文書と異なり、挨拶や敬語は最小限に留める。
  • 文章はできるだけ簡潔にまとめる。
  • 文書の種類によって、社内フォーマットが定められている。

社外文書

社外でのコミュニケーションを図り、相互の信頼関係を築くために使われる文書のこと。

目的

  • 相手に敬意を表して、丁寧・正確にこちらの意向を伝える。

特徴

  • 社外文書は、組織や会社を代表する文書であるため、会社の評価につながる。
  • ビジネス文書の基本である「正確」「簡潔」「わかりやすい」に加え、丁寧で礼儀を重んじることが求められる。
  • 「社交・儀礼文書」「商取引に関する文書」の2種類がある。
社交・儀礼文書
  • 儀礼文書は、扱う部署が限られている。
  • 縦書きが一般的である。
商取引に関する文書
  • 商取引に関する文書は、どの部署でも扱う。
  • 敬意を表し、「正確」「簡潔」「わかりやすい」を意識してまとめる。

社内文書と社外文書の特徴を比べてみると、

  • 社内文書は、用件を正確かつ簡潔、スピーディに書くこと
  • 社外文書は、相手に敬意を表して丁寧にわかりやすく書くこと

が重要なポイントだと言えますね。

3. ビジネス文書は会社の信頼に関わる正式なもの

ビジネス文書の書き方にこだわるのには、理由があります。

それは、ビジネス文書は会社の信用に大きく関わるからです。

社外に向けた文書を作成した場合、発信した文書は会社から発信された正式な文書として取り扱われます。

ですから、もしあなたが書いた文書が

「わかりにくい」
「必要情報が抜けている」
「ダラダラ書いて読みにくい」
「文書の形式やフォーマットに則っていない」

など文書の内容や形式に問題があれば、会社の信用問題につながる恐れがあるのです。

4. ビジネス文書の書き方の基本8つのルール

読みやすく書くためには以下の8つのルールをおさえておきましょう。

  1. 正しい敬語を使う
  2. 読み手に合わせた文を書くのがマナー
  3. 5W3Hで抜けや漏れを確認する
  4. 結論は最初に述べる
  5. 内容を簡潔に書く
  6. 事実と意見は区別する
  7. 一文書に一要件を原則とする
  8. ワンベストを心がける

1. 正しい敬語を使う

敬語には3つの種類がある

正しい敬語を使うことは基本中の基本。

特に社外文書では気を使いたいところです。

敬語の種類は3つあります。

1. 尊敬語

相手および相手の関係時候を高めて表現する

単語 尊敬語
来る いらっしゃる
話す お話になる
帰る 帰られる
2.謙譲語

自分および自分の関係事項を低めて敬意を表現する

単語 謙譲語
来る 参る
話す 申し上げる
電話する お電話させていただく
3. 丁寧語

丁寧な表現で相手を敬う

単語 丁寧語
請求書だ 請求書でございます
名前 お名前

人の呼び方や敬称にも気をつかう

正しい言葉遣いに加えて、人の呼び方や敬称にも気をつかいましょう。

自分側 相手側
私(わたくし) 〇〇様
弊社/私ども 貴社/御社
当店 貴店

間違えやすい敬語表現

ではここで、間違えやすい表現の見本をいくつか紹介します。

あなたは正しく使えているか、チェックしてみましょう。

間違えやすい表現の見本
  • お客様が申されました

    「申す」は謙譲語だから「おっしゃる」が正しい。
    お客様がおっしゃいましいた

  • 資料を拝見してください

    「拝見する」は謙譲語だから「ご覧になる」が正しい。
    資料をご覧ください

  • 弊社の井上社長がいらっしゃいます

    自社社長の行動は謙譲語で表現するのが正しい。
    弊社社長井上が伺います

  • ◯◯をご持参ください

    「持参する」は謙譲語だから「お持ちください」が正しい。
    ◯◯をお持ちください

  • ◯◯様は存じております

    物の場合は「存じております」、人の場合は「存じ上げております」が正しい。
    ◯◯様は存じ上げております

2. 読み手に合わせた文を書を書くのがマナー

書き方の基本の2つ目は、「読み手に合わせた文を書く」です。

読み手に合わせた文とは、読み手が読みやすいように表現や内容を工夫した文のこと。

読み手が知らないような言葉をたくさん使ったり、言いたいことをひたすら文章にして書くのはマナー違反です。

読み手に合わせた文を書くために、次の4つの点をおさえておきましょう。

1. 読み手は誰か

  • 読み手を想定する。
  • 読み手の中には、その上司も読むことを考慮して、読み手の人物像をイメージする。
  • テーマに対する読み手の知識や経験はその程度かを考えて書く。

2. 目的は何か

  • 文書は最終的な目的を実現するための道具である。
  • 到達するゴールを明確にする(どんな行動をとってほしいのか)。

3. 読み手のレベルに合った適切な用語や表現を使う

  • 伝えたい内容が、無理なく理解してもらえるかどうか考える。
  • 不足な点があり、疑問をもたれないかを確認する。
  • 専門用語を用いるときは、わかりやすいことばに変えたり、解説を加える。

4. 読み手に不要な情報は書かない

  • 不要なことを書き手の都合で書くのは避ける。

3. 5W3Hで抜けや漏れを確認する

ビジネス文書のマナーとして、情報の抜けや漏れは禁物。

「5W3H」を意識すれば、必要情報の漏れを防止することができます。

「5W3H?5W1Hの間違いじゃないの?」と思った人もいるでしょう。

ビジネス文書においては、5W1Hに加えて、さらに2H必要です。

  • When(いつ) 日時
  • Where(どこで)場所
  • Who(だれが)誰が、誰に
  • What(何を)目的
  • Why(なぜ)理由 
  • How(どのように)方法・手段
  • How much(いくら)費用
  • How many(いくつ)数量

ビジネスでは「いくら」「いくつ」もとても大切な情報です。

ちなみにこの5W3Hは、毎回すべての要素が必要というわけではありません。

書類の内容に合わせて必要な要素だけを選んで入れていきましょう。

4. 結論は最初に述べる

ビジネス文書を書くときは、最初に結論や概要を述べましょう

そうすることで、読み手はすぐに文章の内容を認識することができます。

はじめに内容を把握していることで、その後の文章を読む負担が軽減されるのです。

読み手の理解が早い分、判断や指示も迅速に行われるので、その後の業務をスムーズに行うことができます。

では、結論を最初に書いたら、その後の文はどのように続ければ良いのでしょうか。

まず、文の3つ要素を見てみましょう。

  • 概論

    結論、全体の要約、要点、主張、課題、問題提起、重点事項

  • 各論

    個別の説明、詳細説明、根拠、理由、対策

  • まとめ

    全体のまとめ、結論、重点事項の繰り返し

これら3つの要素を組み合わせて書きます。

相手に伝わりやすく書くなら、「概論→各論→まとめ」の流れを意識しましょう。

次の例文は、3つの要素を組み合わせて書いた文章です。

わかりやすいように、結論を最後に述べたものと、結論を最初に述べたものを比べてみました。

結論を最後に述べた文と最初に述べた文の比較

同じ内容が書かれた文章が2つあります。

【文章1】
本日12時30分ごろ、ひまわりスーパー◯◯店にて40代の女性のお客様が、スタッフにオレンジジュースの在庫確認を依頼したが、20分たっても戻ってこなかったので、当該スタッフを探したところ、別のお客様の対応をしていたので腹が立ったとのクレームがありました。
【文章2】
本日、ひまわりスーパー◯◯店にてスタッフの対応に関するクレームがありました。

本日12時30分ごろ、ひまわりスーパー◯◯店にて40代の女性のお客様が、スタッフにオレンジジュースの在庫確認を依頼したが、20分たっても戻ってこなかったので、当該スタッフを探したところ、別のお客様の対応をしていたので腹が立ったというご意見をいただきました。

今回の文章では「クレームがあった」というのが結論になります。

2つの文章を比べてみると、【文章2】の方が文章の結論をすぐに把握できたと思います。

その理由は、【文章1】は結論を最後に書いた文章で、【文章2】は結論を最初に書いた文章だからです。

ビジネス文書は、結論や最も言いたいことを最初に書くということを覚えておきましょう。

ただし、結論を先にしない文書もあるので、注意してください

結論を先に書かないビジネス文書

結論を最初に書くと、相手に伝わりやすく読みやすい文章になるのですが、ビジネス文書の中には結論を先に書かない文書もあります。

結論を先にする文書

報告書、レポート、提案書、企画書、議事録、稟議書

結論をあとにする文書

社外文書の断り状、弁解状

→いきなり結論を書くと、読み手の反発を招く恐れがあるので、あいさつや一言述べたあとに結論を述べる。

拝啓 時下、ますますご清栄のことお喜び申し上げます。
この度は、新規お取引のご依頼をいただきありがとうございました。
弊社にとりましては、貴社とのお取引は喜ばしいことと存じます。
しかしながら、現状ではお取り扱い商品の調達の予定がありませんため、
新規お取引を見送らせていただきたく存じます。←これが結論
なにとぞ事情をお察しのうえ、ご了承いただきますようお願い申し上げます。
末筆ではございますが、貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。
まずは略儀ながら暑中をもってご返事申し上げます。

5. 文章の内容を簡潔に書く

ビジネス文書の書き方の基本として、読み手が理解しやすいように文章は簡潔に書くことを心がけましょう。

不要な情報や語句、接続詞が含まれていると、主語と述語の関係がわかりにくくなります。

情報を厳選して、簡潔な文章を目指しましょう。

文章を簡潔に書くためのポイントが3つあります。

1. 一文を短くする

一文を短くすることで読み手の負担を減らす事ができます。

長い一文を二文に分けるなどの工夫をしてみましょう。

【例文】一文が長い
昨日の会議ではA案にしようという話だったのに、今日になって部長が「やっぱりA案では採算が合わないからダメだ」とおっしゃったので、今B案をベースに企画書を作成しているところです。
【例文】一文が短い
昨日の会議ではA案で進めるという話でした。
ところが今日になって、部長が「やっぱりA案では採算が合わないからダメだ」とおっしゃったのです。
だから今、B案をベースに企画書を作成しているところです。

2. 不要な情報や語句を繰り返し使わない

不要な情報や語句を、繰り返し使っていないか確認しましょう。

【例文】不要な情報や語句がある
営業担当者が、いつでも資料を閲覧できるように、クラウド上に営業用のファイルを作成したので、資料が必要なときに利用してください。
【例文】不要な情報や語句がない
クラウド上に営業用のファイルを作成したので、資料が必要なときに利用してください。

✕「営業」という言葉の重複
✕「いつでも資料を閲覧」「資料が必要なときに利用」という似た意味の言葉が重複

語句の重複や回りくどい表現を避ける

語句の重複にも注意しましょう。

  • ~だけに限定します

    「だけ」と「限定」は同じ意味を表している。
    ~に限定します

  • 受注を受けます

    受注の「受」と「受ける」が重複している。
    受注します

  • 各部署ごとに

    「各」と「ごと」は同じ意味を表している。
    各部署に

  • 本社へ行くには、大通り沿いに行くとわかりやすいです。

    「行く」が2つ使われている。
    本社へは、大通り沿いに行くとわかりやすいです

さらに、回りくどい表現を避けるようにすると読みやすい文になります。

  • しかしながら → しかし
  • 検討するということが必要です。 → 検討が必要です
  • ~するようにします。 → します

3. 箇条書きを活用する

箇条書きにすることで、全体が整理されてわかりやすくなります。

たとえば、次のようなときに役立ちます。

  • 要点をまとめるとき
  • 事柄を分類して示すとき
  • 複数の構成要素を示すとき
  • 手順を説明するとき
  • 注意点を列挙するとき

箇条書きにする時の注意点は、項目の文体を揃えること。

同一階層の箇条書きは、次のいずれかで統一しましょう。

  • 単語(イベント来場者の集計)
  • 体言止め(イベント来場者を集計)
  • である調(イベント来商社を集計する。)
  • ですます調(イベント来場者を集計します。)

文章も箇条書きで書くことで、わかりやすくなる場合があります。

【例文】文章
来週の定例会議は、3月3日(金)午前10時から11時に本社2階第1会議室で行います。
本日お配りした会議用資料を必ず忘れずにお持ちください。
よろしくお願いいたします。
【例文】箇条書き
来週の定例会議は、下記の通り開催いたします。

  • 日時 : 3月3日(金)10:00~11:00
  • 場所 : 本社2階 第1会議室
  • 持ち物: 会議用資料(本日配布)

よろしくお願いいたします。

6. 事実と意見は区別する

報告書を書くときに、事実と意見を一緒に記述するのは避けなければなりません

事実は事実、意見は意見とわかるような書き方をします。

事実と意見を分けた文章の例文

事実と意見を一緒に書いた文と、事実と意見を分けて書いた文を比べてみましょう。

【例文】事実と意見が一緒になった文
A雑貨店について

  • △駅徒歩1分のビル1階にオープン
  • 外観はガラス張りで、店の看板は△駅西口の正面に見えるので目立つ
  • 店内は木を基調とした温かい空間
  • 商品は女性用アクセサリーが中心で、お店の奥には衣類やバッグも並んでいる
  • 全体的に当社の店舗と類似点が多く、A雑貨店が当社の店舗がある駅に進出してきた場合は、強力なライバル店になることは間違いない
  • A雑貨店との差別化を図る必要がある
【例文】事実と意見が別れている文
A雑貨店の調査報告

  • △駅徒歩1分のビル1階にオープン。
  • 外観はガラス張りで、店の看板は△駅西口の正面に見えるので目立つ。
  • 店内は木を基調とした温かい空間。
  • 商品は女性用アクセサリーが中心で、お店の奥には衣類やバッグも並んでいる。

所感

  • 全体的に当社の店舗と類似点が多く、A雑貨店が当社の店舗がある駅に進出してきた場合は、強力なライバル店になることは間違いない。
  • A雑貨店との差別化を図る必要がある。

7. 一文書に一要件を原則とする

一文書に一用件を心がけましょう

ひとつの文章に複数の用件が入っていると、ひとつの用件の印象が薄くなってしまいます。

また、一文書一用件だと書類の管理がしやすいのも良い点と言えますね。

8. ワンベストを心がける

「ワンベスト」とは、書類を1枚にまとめるのが良いという考え方のことです。

つまり、どんな案件でも、A4判1枚で書類を作成しようということ。

1枚でまとめられなくても、せめて2枚までには収めようという考え方を「ツーベター」と言います。

1枚にまとめるのが良い理由は2つあります。

  • 1枚で簡潔にまとめる方が、ポイントが絞られているため理解しやすい。
  • 短時間で読めるため、効率よく業務を進めることができる。

書類を1枚で収めるためにすること

書類を1枚で収めるために、次のことを心がけましょう。

  • 5W3Hで書類に必要な要素を確認する。
  • 文はできるだけ短く、簡潔にする。
  • 参考資料や補助資料は、本文に入れず別で添付する。
  • 結論を最初に述べる。

ビジネス文書のマナーは「読み手への心遣い」が大切

ビジネス文書の基本的な書き方について説明しました。

「ビジネス文書は堅い文章を書かなければならないから、どうも苦手・・・。」と思っていた人も多いのではないでしょうか。

でも、ビジネス文書の目的は堅苦しい文のやり取りではなく、「伝達」と「記録」です

相手にわかりやすく、正確に伝えることが最も大切なのです。

池上 彰子

「どのように書けば読み手が読みやすいかな?」という心遣いがあれば、だれでも上手にビジネス文書が書けますよ!