新卒で4月入社の社会人1年目のみなさんは、入社後まもなく1年が経ちますね。
すっかり仕事に慣れたという人もいれば、まだまだ仕事になれない、または思っていた仕事と違ったなど、仕事の悩みが尽きない人もいると思います。
そこでビズノートでは社会人1年目の男女100人を対象に、社会人1年目の仕事の悩みについてアンケート調査を行いました。
アンケートの結果は以下のとおりです。
悩み | 人数(100人) | |
---|---|---|
1 | 残業が多い | 33人 |
2 | 人間関係がうまくいかない | 31人 |
3 | いつも上司や先輩に怒られる | 30人 |
4 | 休みが少ない、または休みが取りにくい | 28人 |
4 | 業務の量が多い | 28人 |
4 | 仕事がなかなか覚えられない | 28人 |
5 | 仕事にやりがいを感じない | 23人 |
6 | 給料が低い | 19人 |
7 | 責任に耐えられない | 16人 |
8 | 目標が達成できない | 13人 |
9 | やりたい仕事をさせてもらえない | 9人 |
10 | その他 | 9人 |
11 | 会社の経営が不安定 | 7人 |
12 | 単純作業ばかりでスキルアップの見込みがない | 6人 |
13 | 通勤が苦痛 | 6人 |
※複数回答可能
社会人1年目の悩みで一番多かったのは、「残業が多い」であることがわかりました。
そのあとに「人間関係がうまくいかない」「いつも上司や先輩に怒られる」「休みが少ない、またはとりにくい」「業務の量が多い」「仕事がなかなかおぼえられない」「仕事にやりがいを感じない」と続いています。
今回はメンタルアップマネージャ大野萌子氏に、1位から5位までの7つの悩みの原因と解決方法について、アドバイスをいただきました。
1つでも多く悩みを解決して、清々しい春を迎えましょう。
- 調査概要
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- 調査方法:インターネット調査
- 調査対象:社会人1年目の男女100人
- 調査実施日:2019年12月27日(金)
- 調査監修:大野萌子氏(メンタルアップマネージャ)
目次
1. 残業が多い(100人中33人)
新社会人の悩みで一番多かったのは、「残業が多い」という悩みでした。
残業の原因はさまざまで、「残業しないといけない雰囲気」「帰りたいけど言えない」「仕事が終わらなくて帰れない」という声がたくさん届いています。
入社まもない時期は、覚えることも多く、仕事の要領もつかめず、その上、新人というだけで業務外のことを任せられてしまうことに、理不尽さを感じずにはいられないことも多いかと思います。この時期は、社風に慣れる、その組織のやり方を学ぶ時期でもあり、多くのことに触れることが後々の糧になることも少なくありません。
ただ、許容範囲を大きく逸脱しているにもかかわらず、もともと現場にいる人間にとっては当たり前のことになっていて、問題とみなしていない可能性も高いので、まずは、直属の上司に感じていることを話すことが先決です。それが難しい場合や、明らかに違法な残業を課せられる場合は、社内(場合によっては社外)の相談窓口などに早めに相談をされることをお勧めします。
過剰な疲労や睡眠時間不足により心身に不調をきたすことにより、職業生活を行っていくことが困難になっては本末転倒です。
2. 人間関係がうまくいかない(100人中31人)
人間関係も社会人1年目の人にとっては大きな壁でしょう。
先輩にはきちんと業務を教えてもらえないし、同僚たちは派閥をつくってしまい、うまく馴染めないという悩みが多くみられました。
また、「年の離れた上司とどのように接していいかわからない」という悩みもありました。
どんな組織にいても人間関係には悩まされるものですが、職場の人間関係がうまくいっていないときは、どのように対処するべきなのでしょうか。
残念ながら上司や先輩を選ぶことはできません。相性が合う合わない、考え方の違いがあるのは当然ですが、何とか折り合いをつけていきたいものです。
何よりも業務に支障がないようにすることが大切なので、相手に対して苦手意識があったとしても、疑問や不満があるときには、率直にかかわりましょう。
そのためには、こちらの意向を伝えられる関係性を創ることが第一歩。まずは、相手の話をきちんと「聞く姿勢」を見せることが重要です。単純なことですが、話すときは目を合わせる、相手にわかるようにしっかりと返答する、相手が発した重要なフレーズは繰り返すということを徹底するだけでも、関係構築に役立ちます。
3. いつも上司や先輩に怒られる(100人中30人)
社会人1年目ですから、失敗もたくさんあります。
自分のミスで上司に怒られるのは理解できるけど、教わっていないことができないときも激しく怒られることに対して、納得ができないという声が多くありました。
また、優秀な同僚や先輩の1年目のときと比べられて怒られる、という声もいくつか見られたのが印象的です。
知らないことができないのは当たり前なのですが、「それくらいできないでどうする?」と叱責されることもあると思います。日本のコミュニケーションの中には、「察する」という文化が根強くあり、経験と勘でやり取りをする場面が多々見られます。しかし、そういった考え方は過去のもの。理解できるよう具体的な指示や指導をするのが、上司の責任です。厳しく指導するのとハラスメントは別の問題なので、そこは切り分けて対応する必要がありますが、傷ついた気持ちを話せる場や相手(同僚など)がいるだけで、気持ちの整理に繋がります。まずは、職場内に気持ちや状況を話せる相手を見つけましょう。
4. 休みが少ない、または休みが取りにくい(100人中28人)
残業が多いという悩みとともに寄せられたのが、「休みが少ない、または取りにくい」という悩みで、とくに営業職の人やサービス業の人は、休みが不定休なことにストレスを感じている人が多いという印象です。
また社会人1年目ということもあり、自分から「休みを取りたい」と言えない人が多く、「休みの申請を出すたびに上司や先輩の顔色を伺ってビクビクする」という人もいました。
締切や納期がある現場では、とにかく終わらせなければならないこともあるかと思いますが、それが一時的なものではなく常態化しているようであれば、遠慮なく上司に相談しましょう。現状を見直し、業務量を調整する、サポートしてもらうことも必要です。
それでも改善されず、明らかに違法の場合は、勤務状況を記録した上で法律相談を利用することも検討して下さい。休暇の申請は、繁忙期を避け、上司と相談しながら取得するのが理想的です。まずは、必要以上に気を遣わずに、自分の意向を伝えることが大切です。
5. 業務の量が多い(100人中28人)
仕事に慣れていない中で、覚える業務がたくさんある新入社員にとって、業務が多いことは大きな負担となっているようです。
業務の多さが、残業や休日出勤の要因にもなっているという声が多く寄せられました。
物理的なものはどうしようもないと諦めがちですが、やり方によっては大幅に改善されることも多くみられます。ポイントを押さえ、手を抜くところは抜くといった緩急をつけていくことが大切です。そのためには、スムーズに行えるコツや優先順位の付け方を先輩から伝授してもらうなどのサポートも必要です。まずは、自分の処理能力を超えているということきちんと伝えましょう。その時には感情論ではなく、業務の状況や理解度を具体的に伝えることが重要です。いっぱいいっぱいの状態だと、更に悪循環に陥ります。最初から完璧を目指さずに、ヘルプを求めることが大切です。
6. 仕事がなかなか覚えられない(100人中28人)
業務の量が多いことや、十分な教育が受けられなかったという理由から、仕事がなかなか覚えられずに悩んでいる人が多いようです。
また「仕事が覚えられないのは要領が悪いから」と自分自身を責める人も見られ、精神的な負担となっていることがわかりました。
管理者には、業務を遂行できるように指導する役割と責任があります。「見て覚えろ」「仕事は自分で探せ」という時代は終わりました。手取り足取りというわけにはいきませんが、理解できるように指導する義務を怠ることはハラスメントに該当します。わからなければ臆せずに質問し解決していくようにしましょう。質問するときは、何となくではなく、悩んでいる点や困っていることを具体的に伝えることが必要です。まずは、自分の業務の理解度を自分自身で把握することが大切です。それに対して、上司から誠意を持った対応がされないようであればパワハラの可能性もあります。ひとりで抱え込まずに周りの人に相談しましょう。
7. 仕事にやりがいを感じない(100人中23人)
入社してすぐはやる気まんまんだったのに、実際に仕事をしてみると思っていた業務と違うことから、仕事へのやりがいが感じられなくなってしまったという意見が見られました。
仕事がなさすぎたり、単純作業ばかりでやりがいがないという人もいれば、業務の負担と待遇が見合っておらず、やりがいを感じなくなったという人もいました。
理想と現実とのギャップに悩む方は多く、モチベ―チョンを保てなくなる原因ともなります。やりがいは、ひとによって違いますが「自分の仕事が人の役に立っている」「誰かに求められている(感謝される)」という、自分の価値を自他ともに認められることが原動力になるものです。物事はある程度、わかるようになってから、出来るようになってからが本当のスタートです。嫌だと思うとすべてにマイナスのバイアスがかかってしまうこともあります。見切りをつける前に、どんなことでもよいので、これならだれにも負けないという自信をもてることを見つけてください。今の職場においても、やむなく他の職場に変わることがあっても、やりがいに繋がっていくことと思います。
社会人1年目の悩みは誰もが抱えるもの!一人で抱え込まないことが大切
ここまで、新卒入社をした社会人1年目の仕事の悩みについて、アンケートの結果を紹介し、それぞれのお悩みに対して、メンタルアップマネージャ大野萌子氏にアドバイスをいただきました。
組織の中で働いている以上は、社会人何年目になっても悩みは尽きないものです。
どうしても辛くなったら、一人で悩みを抱え込まずに、信頼できる同僚や家族、友人に相談してみましょう。
悩みを家族や知人に知られたくないという人は、カウンセリングを利用するのもオススメです。
今回の記事であなたと同じ悩みと戦っている仲間がいるということを感じていただき、そして少しでも気持ちが軽くなったとしたら幸いです。
気持ちを言葉にして誰かに話すという行為には、「カタルシス効果」という心の浄化作用があります。
形もなく目には見えない気持ちを言葉に変換していくことで、自分の気持ちの整理が進むからです。自分の今の状態を客観視することにも繋がります。自己理解は気持ちをコントロールしていくうえでとても大切なことです。自分の意思が把握できることによって、伝えたいことも明確になり、コミュニケーションスキルが上がります。
身近な人との快適な関係性が、生きやすさや働きやすさに直結しますので、人との関係性づくりは重要です。ぜひ、自分の気持ちや考えを話す場や相手を積極的にみつけていただきたいと思います。
- 【監修】大野萌子(メンタルアップマネージャ)
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一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ®資格認定機関)代表理事
企業内カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善スキルを得意とする。防衛省をはじめ、大手企業等で年間150件以上の講演・研修を行う。また、だれでも参加できる「生きやすい人間関係を創る」コミュニケーションスキルを1日で学べる「メンタルアップマネジメント講座」を開催。著書『「かまってちゃん」社員の上手なかまい方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)『言いにくいことを伝える技術』(ぱる出版)ほか、メディア出演多数。
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