職業訓練Webデザインの体験記

2016年10月~の3ヶ月間、40歳・未経験・子持ち(幼児2人)のワタシは、パート事務の仕事をやめて、Webデザインの職業訓練を受けました。

3ヶ月で身につくわけがない。
未経験の子持ちの40女が、Web業界で転職できるわけがない。

そんなふうに考える人もいるかもしれません。いや、絶対思いますよね。ワタシならそう思います。

それでもイイから勉強したかったんです。

で、今はWebライターをしながら、ちょこちょこ小学校の広報誌や、友達から頼まれたイベントフライヤーの作成をしている状況・・・。

「う~~~ん。思ってたんと違う。」
「けど、やりたかったコトに近づいた気もする。」

職業訓練を修了して3年。忘れないうちに、職業訓練で得たモノ(失業手当やWebデザインのスキル)を、紹介したいと思います。

【体験者】松崎なおみ
松崎なおみ

奈良県生まれ。夫と子供2人の4人暮らし。2016年10月から12月までの3ヶ月間職業訓練校でWebデザインを学ぶ。現在Webライター3年目。「死ぬこと以外かすり傷」が座右の銘のアラフォーママです。

失業手当(失業保険)をもらいながらWebデザインの勉強ができる職業訓練校に入る

雇用保険に1年以上加入していると、失業保険(失業給付金)をもらいながら職業訓練を受けることができます。

なんとなく頭の片隅に「お金をもらいながら、再就職のために勉強できる学校がある」という知識はありましたが、曖昧な知識だったのでちゃんと調べてみると、制度が2種類あり、活用するためにはそれぞれ以下の条件を満たす必要があるとわかりました。

  • 求職者支援制度を利用して勉強する場合
    • 失業手当(失業保険)の受け取り資格がない
    • 本人の収入が月8万円以下である
    • 世帯収入が月25万円以下である
    • 世帯の金融資産が300万円以下
    • 現在住んでいるところ以外に不動産を所有していない
  • 失業手当をもらいながら学校に行く場合

    雇用保険の加入期間が、退職前の2年間に「合計12ヶ月以上」ある

参照)求職者支援制度について

求職者支援制度を利用すると、なんと月額10万円+交通費が支給されるのだそうです!

ただワタシの場合、失業手当の受け取り資格があるので、求職者支援制度は利用できないということになります。

失業手当の金額によっては生活費を節約したり、旦那さんのお小遣いを削ったりと、家族へのしわ寄せは避けられません。

パート代が月8万円だったワタシが、受け取れた失業手当はいくらだったのか。

職業訓練のWebデザインコースを受講したらどんなことができるのか。

そして職業訓練校にはどうやって入れたのか。まずはこれら3点について紹介します。

月7万円以上の失業手当をもらって職業訓練校のWebデザインコースを受講

失業手当で受け取れる金額は、以下の条件によって違います。

  • 退職理由
  • 退職前6ヶ月間で得た収入の合計
  • 退職したときの年齢
  • 雇用保険の加入期間

CASIOが運営する計算サイト「keisan」では、失業手当がいくら受け取れるか計算してくれるので、気になる方は活用してみてください。

ワタシの場合、ハローワークで窓口対応してくれた男性が、「月々のパート代から計算しても月7万円くらい受け取れる」と教えてくれました。

ワタシがもらった実際の失業手当

基本手当日額2,266円×90日(所定給付日数)÷3(受講期間3ヶ月)=月67,980円

受講手当1日500円×受講日数(月20日間の場合)=月10,000円

67,980円+10,000円=月77,980円

※別途交通費支給

よっしゃ!これなら生活を変えずに学校で勉強できる!!

仕事せずに学びたいことを学べてお金までもらえる!

こんなおいしい話が世の中に存在するとは驚きですよね。

職業訓練校のWebデザインコースで学べることとは?訓練内容を紹介

ウェブデザインのテキスト

この頃のワタシは、Webサイトがどのように作られているのか全く知らない、超ド級のWeb素人。

なのになぜ、Webデザインコースを選んだかと言うと・・・。

実は、職業訓練で受講できるコースの中に、ワタシの希望(職種や予想される働き方)と合致するコースが他になかったってのがあります。(時期をずらせばDTPコースがあったらしい)

ワタシが申し込んだWebデザインコースの訓練内容は以下のものでした。

  • HTML・スタイルシートによるWebページ作成技術
  • ブラウザ互換
  • JavaScript、JQuery等のWeb専用プログラミング技術
  • 作成ツールを活用したWebページ作成
  • グラフィックアプリケーションの基本操作
  • Webサイト作成課題(企画・設計・制作・発表)
  • 就職支援(応募書類の作成支援や面接対応等)

Webサイト制作のほとんどができるようになる内容ですね!

これを3ヶ月で学ぶわけですわ。明らかに素人にはムリな内容に見えます。

しかし、当時のワタシの心境は「就職支援の学校なんやし、できるようになるんやろ!」と、のん気なものでした。

そんな軽い気持ちで受講したいコースを決めたのですが、申し込んだらすぐに行けるというワケではありません。試験があるのです。

試験に合格しなければ、職業訓練を受けられないどころか無職になってしまいます。

ではワタシが経験した職業訓練校の選考試験がどんな内容だったのか、詳しく紹介しましょう。

職業訓練校の選考試験は一般教養と面接で決まる!パソコンスキルは不要!

ハローワークでWebデザインコースの受講申込みをすると、窓口対応してくれた人から2枚のプリントをもらいました。過去問です。

んげっっ!!

試験内容は中学卒業レベルの国語・数学。数学やべぇよ。
2次方程式とか式の展開とかわからない・・・。

苦手な人は選考試験の前に、少し復習しておいた方がいいと思います!

試験当日は(久々に着たらピッチピチの)スーツで挑みました。

選考試験の内容は下の通りです。

  • 筆記試験

    国語と数学

  • 面接
    • この面接が一番重要
    • キャリアコンサルタントが面接官
    • 事前に用意していた面接調査票を元に質問される内容
      「なぜこの訓練を受けようと思ったのですか?」
      「Webデザインの技能を習得して、どのような仕事ができると考えていますか?」
      「訓練中に仕事が決まったらどうしますか?」

参照)選考試験出題例

選考内容を見て分かる通り、パソコンのスキルを調査する項目は1つもありません。

職業訓練を絶対受けたい!と考えるなら、試験と面接の対策をしておきましょう。

ワタシの場合、落ちたら無収入になるため何が何でも合格が欲しかったのもあり、本気で挑んだ結果、10日後合格通知を受け取ることができました!

では、未経験の40歳女がWebデザインを勉強したらどうなるのか?

ここからがWebデザインの授業の始まりです。

職業訓練で3ヶ月間Webデザインを学んだ体験談

2016年10月1日、Webデザインコースの職業訓練がスタートしました。

ワタシと一緒に受講することになったのは30人。属性の内訳は次のとおりです。

  • 主に30代前半の人で20代は数人
  • 40代は女性のみで4人(既婚(子持ち)2人・未婚2人)
  • 元々グラフィックの仕事をしていた人は5人
  • 前職がプログラマーでデザインを学ぶために受講した人は3人

グラフィックソフトも使ったことのない、全くの未経験者は半数以上もいました。

ざっくりした授業内容とスケジュールは下記の表を参考にしてください。

就職支援 ・月1回(全21時間)
・主にキャリアコンサルタントによる自己啓発
・受講生を就職させるための講座
色彩 ・全36時間
・色彩による効果
・Webデザインで使用する色彩
Webデザイン ・全270時間
・最初の1ヶ月はIllustrator・Photoshop習得
・XHTMLタグ・CSSを簡単に習得(2週間)
・グループでWebサイト制作(1週間)
・個人でWebサイト制作(2週間)
HTML5・CSS3・レスポンシブ(4日間)
・JQueryのプラグイン(2日間)
・JQueryを作る(2日間)
・2回目の個人制作(2日間)

どう考えてもムリがありすぎるスケジュールだと思いませんか?

ハッキリ言って、未経験のワタシが理解しながらなんとか付いていけたのは、HTML5・CSS3・レスポンシブまで。

とにかく辛かった!!

では次にWebデザインの職業訓練内容が、未経験のワタシにどこまで理解できたのかを紹介したいと思います。

※ワタシが初めて聞く用語が次々と出現し短期間で記憶から消えたので、素人言葉で書いていますがご容赦ください。

【1ヶ月目】Illustrator・Photoshopは習うより慣れろ

職業訓練がスタートして、最初の1ヶ月間はIllustratorPhotoshopを習います。

グラフィック経験者からすると、ホントに意味のない1ヶ月間と言えます。

寝てる人もいたな。とにかく何が難しいかって言うと・・・。

  • Illustrator

    ベジェ曲線が言うことを聞かない
    オブジェクトを組み合わせてシンボルマークを作りたいのに出来ない

  • Photoshop

    マスクってなんぞ?
    マスクっていくつか種類あるん?

この授業、先生がプロジェクターで自分のパソコン画面を見せながら行うのですが、先生のお手本を見てから、自分の操作をして、また前を見たら次の手順が終わっているという非情さ・・・。

しかも隣の空気読めない系男子が、いちいちワタシに質問してきやがります。(「マウスをドラッグしながら範囲指定してコピペ」が、分からんとか聞いてくる泣)

「一番前の席に座ってんねんから、先生に聞かんかいっ!」と、内心思いつつ分かるところは答えてましたが、後半は完ムシすることに決め必死で授業に食らいついていました。

グラフィックについては、職業訓練修了後にプライベートで保育園の卒園文集をガッツリ作成する機会があり、今はマスクやレイヤーの意味も分かります。(ただし、今でもベジェ曲線は扱うの苦手)

要するに、「習うより自分で使いながら慣れる」ってことですね。

将来Webデザイナーとして仕事をしたいと考えているなら、早い段階でIllustrator・Photoshopのソフトを購入してジャンジャン触ってみることをオススメします。

むしろ、そうしないと絶対に身につきません!と、思います。

【1ヶ月経過】Webデザイン授業の本番!div(ディブ)地獄に陥る

ここまででヒィヒィ言ってたワタシ。

甘かった!!

ここからが本番だったんですね。

まずHTMLタグを簡単に理解するために、一瞬だけDreamWeaverを使いました。

ほんの一瞬だけです(笑)。その後は、参考書もなにもあったもんじゃない。

【当時のノート】

ウェブデザインの授業ノート

先生の説明をノートに書き留めておこうとしても、「ノートに書いても覚えられないから、とりあえず言われた通りにしろ」とばかりに、全てが進んでいきます。

この時使用したのは、Meryというテキストエディタ。

1からHTMLを書くのですが、タグを整理しながら書くことをサボるため、どのdiv(ディブ)なのか分からなくて、うまく表示されないという初歩的なミスを連発。

最終的に「ディブの中のディブが、このディブで・・・」と、うなされる夢を見るまでになりました。

さらにCSSについては、インライン要素とブロックレベル要素の違いを知らないままだったので、まー動きませんわ!!

これについては、他の受講生が言うに「先生が説明していた」とのことなので、きっと隣の空気読めない系男子のせいだと、今でも根に持っています。

HTML・CSSも、本屋で簡単な参考書など購入し、自分で入力しながら覚えることが間違いなく近道です。

職業訓練校で習う場合、理解していなくても期限を提示されるので、とにかく焦って焦ってディブってディブっている状態でした。

【1カ月半頃】グループ制作からの個人制作!Webデザインの基礎が身についた気がした

職業訓練開始から1ヶ月半。「藁をも掴む気持ちで」と言うより、藁すら見つけられないままだったワタシに、救いの手が差し伸べられました!

それがグループ制作

メンバー構成は、受講生それぞれのスキル(グラフィックが得意・HTMLが得意・未経験だが理解している・全く理解していない)を見て、バランスよくなるよう先生が決定します。

バンザイ!!ここでようやく、隣の空気読めない系男子クンから開放!

さらに、分からない部分をスキルの高い人から教わることができ、一気に楽しくなりました。

グループ制作では以下のことを習得しました。

  • インライン要素とブロックレベル要素の使い分け
  • aタグの使い方
  • 簡単なコードを読んで実際に書いてみる
  • Illustrator・Photoshopの使い方が上達
  • サーバーにファイルをアップロードする方法

これらのことを全て軽~くかじった上で、次は個人制作に入ります。

グループ制作で、簡単なコードを読んで実際にマネて書いてみることを覚えたワタシ。個人制作では、まだ習っていないCSS3・JQueryのプラグインに挑戦しました。

む、む、む無謀!!

でもどうしてもTOPページ画像をフェイドイン・アウトさせたかったんです。

で、奇跡的にできたってゆー。

これを機に、「人間ってやろうと思えばできるんだな」と、妙な自信を持つことができました。

職業訓練はまだ2週間続きます。次に紹介するのは4日間でこなした受講内容です。

【2ヶ月半経過】HTML5・CSS3・レスポンシブを4日で習得せよという無理ゲーに挑む

個人制作のプレゼンをした時は、「ワタシもうこれ以上できなくてもいいわ」という達成感を覚えました。

しかし、次の日から「HTML5・CSS3・レスポンシブ」の授業が始まります。しかも期間は4日間。

先生がこれまで習得したXHTMLとHTML5の違いを説明していましたが、ちょっと何言ってるか分かんなかったですね。

とりあえずWebデザインの世界で仕事したかったら、クリアしておくべき内容ってことは理解できました。

個人制作で高い山を越えたと思っていたのに、頂上から見渡すと一番小さな山だったことに気づいて茫然自失・・・。

あの達成感は幻だったのか・・・。

ただ、この授業、最初に習得したスキルがあれば大丈夫です!!

レスポンシブも理屈が分かれば超カンタン(コード入力めんどくさいけど)。

「なんとなく分かるよ!分かる!」と、手応えを感じ始めたところで終了~!次行ってみよ~!!

お金を頂いて勉強させて頂いているのは有り難いけど、4日間で理解できた人は何人いたんだろうか。

次の受講内容は「JQueryのプラグイン」と「JQueryを作る」をそれぞれ2日間で行います。

【残り1週間】仕上げのJQueryは40歳のワタシには難しすぎた

本来なら職業訓練で教わった内容を、自宅でもっと復習し理解を深める方が習得できるでしょう。

言い訳しますが、ワタシは二児の母です。

とにかく時間がない!!

保育園の送迎の合間に職業訓練を受けて、授業が終わるとすぐに子供を迎えに行き家事をし育児をし、ヘットヘトになりながら寝る前に復習する毎日。

他の受講生は授業後、2時間ほど先生への質問タイムが設けられていたので、思う存分に分からないところを質問できます。

正直、泣けるほど妬ましく思いました。

そこにトドメの「JQuery」。即死です。

プラグインは、日本語解説付きの初心者向けのものも多くあります。なのに、先生に教わったプラグインは解説も全て英語。

英語やし記号やし、関数とか引数とか「$」とかチンプンカンプン脳みそ停止。

未経験でもJQueryをマスターしたい人は、じっくり理解しながら進める方がいいと思います。

JQueryのプラグインまでは授業についていってた受講生たちも、JQueryを作る段階で3分の2は授業を聞くことをやめていました。

感想としては、JQueryは4日間で理解できるもんではナイ!!

それだけです。

職業訓練校で3ヶ月Webデザインの勉強をした40代未経験子持ち女の就活

2016年12月末。最後の1週間はJQueryの学習と、2作目の個人制作であっという間に過ぎ、Webデザインについての全てを習得したとは言えないけど、修了することができました。

3ヶ月間ずっとドタバタだったー!

修了者は訓練校側の事情もあり、訓練修了後3ヶ月以内に就職を決めなければなりません。

ですが、Web業界で40代未経験子持ちの女の需要は少なそう・・・。

そもそも、なぜ職業訓練でWebデザインを学ぼうと考えたか?というと、以下の理由があります。

  • 上の子(長女)が小学校入学控えている

    長女の性格を考え学童の利用を考えていない

  • 下の子(長男)の保育園を続けるため

    長女の学童問題があり仕事をやめると、長男は保育園を続けられないので、自宅でできる仕事をしたい

  • 元々デザインに興味があった
  • 夫が起業した時の役に立ちそう
  • これといった資格がない

さて、こんなワタシが働きやすくて、こんなワタシを採用してくれる会社はあるのでしょうか?!

職業訓練でWebデザインを勉強したけど5社落ちた

4月から長女は小学生。どのように働いたらいいのか、自分でも分からない状態。

訓練校に行くタイミング間違ったな・・・。

と、後悔しても後の祭りです。

先に進むしかないのだけれど、当時のワタシには下の4つの決定的な欠点があるため不採用になるかもなぁ、という自覚もありました。

  1. Webデザイン未経験

    1から教えないとできないことが多い

  2. 短時間勤務のパート希望

    残業ができない

  3. 40代という年齢
    • 物覚えが悪そう
    • 融通がきかなそう
    • せっかく教えても先が短い
    • 体調面(更年期など)でめんどくさい
  4. 幼児2人の子持ち
    • いつ休むか分からない
    • 子供を理由に仕事に支障が出そう

元々自分をアピールすることは得意なのですが、Webデザイナーの求人応募ってなかなか面接まで行かないんですね。

書類は送ったけど4社落ちました。面接まで行ったけど1社落ちました。

全部で5社落ちました。

理由は教えてくれないけど分かっています。だけど、コッチにも譲れない条件があるんです。

そこでワタシは自分が譲れる部分を拡げることにしました。

40代未経験の子持ち女はWebライターになった

Webデザイナーの求人を探していると、Webライターという職種があることを知りました。

書類応募で不採用になった会社からも、「Webライターの方で応募しませんか?」と、言われたこともありましたが、一途にWebデザイナーを目指していました。

でも、とにかく落ちるんです。ここは頭を切り替えて、Webライターで応募してみよう!

と、いうわけで現在の会社でライターをして3年目になります。

他社のWebライターの仕事がどうなのか知りませんが、職業訓練で学んだこと以外(SEOやWordPressなど)の知識も増えました。

記事によってはデザインをさせてもらえることもあります。

ワタシは職業訓練でWebデザインを学んでも、Webデザイナーにはなれませんでした。

でも、人間ってやろうと思えばできるもんや!という、妙な自信だけはつきました。

なので、もう少し子供が大きくなって働き方を変えることができたら、50歳でも60歳でも再チャレンジするつもりです。

ちなみにワタシと一緒に受講していた、未経験・40代の子供がいない女性2人はWebデザイナーとして活躍されています!

「もう40歳だから・・・」「ママになったから・・・」といって、新しいスキルを学ぶことを諦めることはありません。

何歳からでも新しいスキルの習得にチャレンジしていただきたいと思います!